トヨタ 新型ランドクルーザー70 新型車解説/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
価格は若干割高だが許容範囲
車両価格はバンが「360万円」で、ピックアップは「350万円」。同じエンジンを積んだFJクルーザーが「324万円」だから、機能や装備を考えるランドクルーザー70は少し割高だが、許容範囲に収まる。
それでもバンがアルミホイール、ワイドフェンダー、リアワイパー、さらにカーペットを敷いた荷室を備えることまで考えると、ピックアップの価格は20万円安い「340万円」前後が妥当だろう。単純に損得勘定だけを判断すれば、バンが買い得になる。
今は硬派なオフロードモデルが減ったから、ランドクルーザー70は生粋のSUVファンには魅力的に感じるはずだ。価格が少し割高とはいえ、ピックアップのラインナップも注目される。
ランクル70を購入検討する際には「安全装備」の少なさに注意を
ランドクルーザー70を選ぶ際に注意したいのは「安全性」だ。昨今、大多数のSUVに装着される横滑り防止装置が備わらず、サイドエアバッグも装着できない。1984年に登場した時からフルモデルチェンジを受けていないので、衝突安全性能も当然ながら今日のクルマとは異なる。
ランドクルーザー70の「復活」は、1ナンバーの商用車だから可能になったともいえるだろう。1ナンバーだから車検は毎年受ける必要がある。任意保険は今は自由化されて一概にいえないが、年齢条件などを付帯できない場合があり、保険料が高まることも考えられる。その代わり税額は大幅に安く、バン仕様の自動車税は年額1万6,000円だ。商用車の税額は最大積載量に基づき、ランドクルーザー70バンは500kg、ピックアップでも600kgと少ないために税額も下がる。
任意保険料や車検の手間はともかく、クルマの安全性はこの30年間で大幅に進化した。トヨタを含めた各自動車メーカーも、衝突安全性や走行安定性の向上、安全装備の充実を積極的にアピールしている。
このような2014年の日本の路上に、1984年に誕生したランドクルーザー70が現われた。彼の目には、30年後の日本のクルマ達がどのように映っているのだろうか。「SUVは軟弱になりやがって」と思う半面、「みんな安全で環境性能の優れたクルマに成長したね」と喜んでいるのではなかろうか。
ランドクルーザー70を手に入れるユーザーも、またしかりだ。まだ若かった時代の、安全や環境性能では未熟なクルマなので、どうか優しいドライビングを心掛けていただきたい。
トヨタ 新型ランドクルーザー70 主要諸元
新型ランドクルーザー70 4ドアバン [価格:3,600,000円(税込)]
全長×全幅×全高:4,810×1,870×1,920mm/ホイールベース:2,730mm/最低地上高:200mm/最小回転半径:6.3m/車両重量:2,120kg/乗車定員:2/エンジン:4リッター V型6気筒エンジンDOHC(1GR-FE)/最高出力:170kW(231ps)/5,200rpm/最大トルク:360kW(36.7N・m)/3,800rpm/トランスミッション:5速マニュアル/燃料タンク容量:130L/燃費:6.6km/L(JC08モード)
新型ランドクルーザー70 ダブルキャブ ピックアップトラック [価格:3,500,000円(税込)]
全長×全幅×全高:5,270×1,770×1,950mm/ホイールベース:3,180mm/最低地上高:225mm/最小回転半径:7.2m/車両重量:2,220kg/乗車定員:5/エンジン:4リッター V型6気筒エンジンDOHC(1GR-FE)/最高出力:170kW(231ps)/5,200rpm/最大トルク:360kW(36.7N・m)/3,800rpm/トランスミッション:5速マニュアル/燃料タンク容量:130L/燃費:6.6km/L(JC08モード)
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