エンジンもマニュアルも“専用チューニング”、新型「アルトワークス」は“買い”か [徹底解説](3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
「アルトワークス」は軽自動車に新たな新風を巻き起こすか
価格は5速AGS、5速MTともに同額で、2WDは「150万9840円」、4WDは「161万7840円」だ。
5速AGSにはレーダーブレーキサポートとアイドリングストップが加わるので、5速MTに比べて実質的に4万円ほど割安と判断できる。
またターボRSに比べるとワークスは21万6000円高い。RECARO製のシートは少なく見積っても10万円程度に価格換算されるから、残りの11万6000円でエンジンや足まわりのチューニングが行われたと考えれば、おおむね納得できる。
RECARO製シートをメーカーオプションにするとさらに良心的だが、販売促進面では、ワークスを最上級グレードに位置付けたいだろうからオプションにするのは難しい。またオプション化すると価格が高まってしまう。
納期をディーラーに尋ねると、在庫車がない場合は2~3ヶ月だから軽自動車では少し長い。5速MTの販売比率が高めで、5速AGSに比べると納期が長引く傾向にある。
またボディカラーはシルバー/ホワイト/ブラック/レッドの4色をそろえるが、レッドは計画台数が少ないこともあって時間を要するとのことだ。
それにしてもアルトワークスは、地味だがスズキらしく手堅い商品。150万円少々の価格設定は、ワゴンRスティングレーのT(ターボ)に比べて10万円以上安い。
1.2~1.3Lエンジンを積んだコンパクトカーの買い得グレードとほぼ同じ価格で、軽自動車とはいえ「ワークス」の名前を冠したチューニングモデルが手に入る。
しかも現行アルトは後席の居住性を大幅に向上させたから、ターボの動力性能と相まって、長距離移動を除けばファミリーカーとしても使いやすい。
多くのクルマ好きが求めていたのは、アルトワークスのような身近な存在で、なおかつ本物指向のスポーティモデルだと思う。
また今の軽自動車は便利で快適になって安全装備も充実、燃費も向上したが、どれも背が高く似通った商品が並ぶ。アルトワークスはそこに新風を吹き込んだ。
「最近の軽自動車は面白いね」と、軽自動車市場全体のイメージリーダーにもなるだろう。
2016年も軽自動車が注目されそうだ。
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