かんぽ生命もびっくり!? カーディーラーの仰天営業3選

不正やインチキは実はあなたの身近に転がっている

令和元年。2019年もはや1/4を残すのみとなったが、人気芸人の闇営業問題を始め、記憶の新しいところでは、かんぽ生命の不正契約問題などが大きなニュースとなった。また、海外でも韓国大統領の側近にまつわる不正が、テレビや新聞、インターネットなどで連日報道されている。

私たちは、どうしても規模の大きな不正や悪事のニュースに目を奪われがちだが、実は小さな不正行為は私たちのすぐ近くで行われているものである。

そこで今回は、自動車整備士として車業界に15年以上籍を置いてきた筆者の経験と、クルマ業界がより良くなることを願い、ディーラーで実際に行われている不正行為についてお話ししていきたいと思う。

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下取り車を横流し着服

ディーラーや中古車販売店でクルマを購入する際、それまで乗ってきたクルマをある程度の価格で引き取ってもらう下取りは、自動車販売のごく一般的なサービスだ。ところが、最近では下取りではなく、より査定額が高くなると言われる“買取り”を利用するユーザーが増えつつある。

ディーラー側もそのあたりは十分承知していて、提示した下取り価格よりも買取り価格の方が高い場合は、下取りではなく買取りを勧めることが往々にしてある。もちろんそのこと自体は問題ではなく、むしろユーザーの利益を考えれば正しいことかもしれない。

しかし、問題なのは、決まった買取専門店と手を組み、下取り車を横流しして、紹介料を得ている営業マンが存在するということだ。

関東にある国産車ディーラーで実際に起こった、特に悪質な例を1つご紹介しよう。詳しい店名は伏せるが、ディーラーの公式サイトでも、問題の経緯と謝罪文が掲載されている。

内容は、買取専門店への売却を、ユーザー本人ではなく営業マンが引き受け、その売却代金を誤魔化し、差額を着服したというもの。不自然な振り込みを不審に思ったユーザーが、ディーラーのカスタマーセンターに問い合わせたことで問題が発覚。もちろん、差額はユーザーに返金され、その営業マンは懲戒解雇された。

現金一括ではなくわざわざローンを進める

一般ユーザーにあまり知られていないことと言えば、ディーラーでは現金一括払いよりもローンでの購入を勧めたがっているということだ。これは、上記のような不正や犯罪ではないのだが、ユーザーの利益として考えた場合には少々注意する必要がある。

ディーラーがローン勧めてくる一番の理由は、ユーザーがローンを利用すると、ローン会社(信販会社)からキックバックがあるからに他ならない。

最近では、そのキックバック分を値引きに回しているケースがあるため、ユーザーとしては一概に損をするとは限らないが、ローンを組めば当然金利が発生する。そのため、一括で支払える余裕があるのであれば、どっちが得なのかは慎重に検討する必要があるだろう。

取付工賃をオマケする代わりに営業マンが作業

これも違法行為とまでは言わないが、ぜひ一般ユーザー皆さんに知っておいてほしいことの1つ。それは、新車購入時に発生する用品の取付作業や移設作業を、整備士ではなく、営業マンが代行していることがあるということだ。

もちろん、整備士資格が必要になるような分解整備を行うことはないはずだし、中には整備士上がりの営業マンもいるため、過度な心配をする必要はないかもしれない。しかし、当然そのディーラーにいる現役の整備士が作業していると思っている人にとっては、あまり気持ちの良いことではないだろう。

整備士ではなく、営業マンが作業を行う場合のほとんどが、取付や移設に掛かる工賃を請求できなかったケースがほとんど。もちろん、双方合意の上で契約を行っているため、ユーザー側に責任は無いのだが、より安心を求めるのであれば、正規の工賃は支払う方が賢明かもしれない。

また、筆者自身が整備士だったから言うわけではないが、餅屋は餅屋。やはり現役の整備士が行う作業と、営業マンが行う作業では、作業そのもののクオリティがまったく違う。せっかく新車を購入したのであれば、しっかり作業工賃を掛けてでも、完璧に仕上げたいものではないだろうか。

困ったときの駆け込み寺だからこそ不正は“0”にしてほしい

今回ご紹介した例は、ディーラーで行われてている不正やインチキと言われることのごく一部だ。このように書くと「ディーラーはけしからん!」という感覚を覚えた方も少なくないかもしれない。

しかし、今回は、筆者自身がお世話になり育ててもらったディーラーやクルマ業界が、今よりもさらに良くなり発展していくことを願うからこそ筆を執ることにした。これからも、ディーラーが一般ユーザーにとって、“困ったときの駆け込み寺”として、いつまでも機能するよう願うばかりである。

[筆者:増田 真吾]

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増田 真吾
筆者増田 真吾

和太鼓とROCKを愛する自動車ライター。国産車ディーラー、車検工場でおよそ15年自動車整備士として勤務したのち、大手中古車販売店の本部業務を経験。その後、急転直下で独立しフリーの自動車ライターに転身。国家資格整備士と自動車検査員資格を保有し、レースから整備、車検、中古車、そしてメカニカルな分野まで幅広い知見を持つ。昔の彼女が付けた肩書は「熱血太鼓車バカ」。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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