「みんなやってる」は言い訳にならない! 社用車の私的利用が危険な理由
- 筆者: MOTA編集部
引っ越しに社用車を使う!?
その昔、社用車で引っ越しをした。という強者がいた。
会社の営業車を金曜日の退勤時に確保し、仲間と一緒に土日、そして祝日の月曜日という3連休を使って、無事に引っ越しを完了させたというのだ。
見上げた根性ではあるけれど、本人にしてみれば「どうせ連休は使われないクルマだし、ちょっと距離は伸びるかもしれないけど、週明けからまた営業でアチコチ回るからバレないでしょ。」とあっけらかんとしていた。ちなみにガソリンは減った分を給油して戻したという。
>>社用車の無断使用はかなりヤバい![フォトギャラリー]
これはかなり強烈なパターンだけど、実は社用車を私用で使ったことがあるという人は、結構いるんじゃないだろうか。
例えば、「明日は直行だから乗って帰ろう」と営業車で帰宅。途中、ちょっと家族の出迎えやスーパーの買い出しに使ったとか、出勤のついでに家族を駅まで送ったとか。
きっとその程度だとは思うけれど、やったことがある人は案外多いのではないかと思う。
社用車の王道は営業マンの強い味方である営業車
ちなみに社用車とは、自家用ではなく、会社で業務に使用している車両のこと。まず思い浮かぶのは、営業マンの乗るライトバン系の営業車だろう。はたらくクルマの代表格であるトヨタ プロボックス/サクシードは、耐久性の高さや使い勝手の良さで多くの営業マンたちの闘いの日々を支えている。モデルチェンジによるハイブリッド化も手伝って、もはや営業車としては敵ナシ状態かもしれない。
もっと荷物を積む必要がある職種の場合は、やはりハイエースだろう。タフな使用条件でももくもくと走るハイエースは、営業車の鏡と言ってもいい。
その他、上役の移動のために車両(主にクラウンなどの上級サルーン)を用意している会社もあるし、個人事業主のなかには税金対策のために社用車として高級車を購入しているという例もあるけれど、今回は前述の営業車に絞って話を進めてみよう。
就業規則によって異なるけれどホントはヤバい
まず、就業規則で私的使用が禁止されているか否かで、話は変わってくる。禁止されている場合は、明らかに就業規則違反になる。また通勤に使用していいという規定があったとしても、そこに社員以外の人間は含まれてはいないだろう。(もちろんそこまで厳密に明記されていないとは思うが…)
つまり会社の資産を私的に使って会社に損害を与えたということになり、法律的には業務上横領ということになる。
会社側には責任はないのか?
会社的にも実は問題がある。社用車の管理の甘さだ。会社は、自社の社用車の運行状況を管理する義務があり、それを怠っているということになってしまう。
そうなると、管理する担当者の責任問題も生じてしまうので、余計に厄介だ。
ヤバいのは事故の当事者になること!
もっと問題なのは、事故にあってしまったときだ。
業務中であれば、社用車による事故は「運行供用者責任」と「使用者責任」いずれかの観点から会社にも責任が生じ、被害者への賠償は会社の保険を使って支払われることになる。そして会社側は、賠償の一部を、事故を起こした従業員に請求するケースもあるという。
これが業務ではなく私用で社用車を使い、事故を起こした加害者となると、話は複雑だ。
業務外であったとしても会社は「運行供用者責任」もしくは「使用者責任」を問われる可能性があり、被害者に対して賠償金を義務が生じるというわけだ。(使用者責任も条件が厳しいので、運行供用者責任を問われることが多い)
そして加害者である従業員には、会社に損害を与えたとして賠償の負担が業務中の事故以上に増えることにもなりうる。
トップセールスが閑職に追いやられて……
こんな話を聞いたことがある。
とある商社の営業部に、毎月上位の成績を叩き出す優秀な営業マンがいた。取引先からの信頼も厚く、評判もすこぶるよく、そして上司の評価も高かった。そんな彼が、金曜日の業務が終わった後に直帰し、翌週の月曜日になっても出社してこないというのだ。
どうしたんだ!?何があったんだ!?と社内では彼の話で持ち切り。
その後警察と弁護士から連絡が入り、週末に社用車を私用で使っているときに重大な事故を引き起こして、なんと逮捕されていたのだった。
彼はというと、不起訴処分で解雇とはならなかったが、部署異動となり閑職に追いやられて、結果的に自主退社してしまったとか。
ちょっとの出来心が招いた、悲しいケースといえるだろう。
私用では使わないことが一番
結論としては、社用車を私用では使わないのが無難だ。法律的にも大きな問題があるし、道義的にもNGだろう。
「ちょっと使いたい」という気持ちはわからなくもないが……。どうしても私用で使う必要が生じた場合には、会社に承認を取ることを強くお勧めする。
[筆者:MOTA編集部]
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