国内新車販売500万台以下のクルマ需要は本当の姿なのか?それとも不本意?(2/3)

国内新車販売500万台以下のクルマ需要は本当の姿なのか?それとも不本意?
ホンダ Z(1973年) ホンダ アコード(1980年) ホンダ トゥデイ(1992年) ホンダ ライフ(1997年) ホンダ オデッセイ(1998年) ホンダ シビック(1998年) ホンダ インテグラ(1999年) トヨタ アクア トヨタ ヴォクシー トヨタ エスティマ トヨタ プリウス 画像ギャラリーはこちら

運転免許の女性保有率が大幅に増え、クルマの選び方が変わった2000年代

ホンダ フィット

これと歩調を合わせるように、1990年代の中盤以降は、実用的な5ナンバーサイズのミニバンが続々と登場。1998年10月には軽自動車に新規格が導入され、ほぼ一時期に16車種のニューモデルが発売された。背の高い小型車も増えて、ミニバン/コンパクトカー/軽自動車という今日の需要構造が築かれた。

運転免許の保有動向も見逃せない。1970年の運転免許保有者数は2645万人で、この内の82%を男性が占めた。女性は18%にすぎず、ファミリーカーでも運転するのは夫のみ。妻と子供は同乗者であった。

それが1980年には保有者数が4300万人に増えて女性比率が29%に高まり、1990年は6091万人で女性比率は38%に上昇する。2000年は7469万人で女性比率は41%、2010年は8101万人で女性比率は44%だ。

このように運転免許保有者の男女比が50%ずつに近づくと、クルマの選び方も変わる。夫がファミリーカーを使うのは週末だけだが、妻は買い物や子供の送迎など毎日運転する。妻が運転免許を保有するようになり、趣味性よりも日常的な実用性で選ばれる傾向が強まった。

>>1970年代~2000年代の人気クルマの移り変わり(画像33枚)

販売チャンネル統合が生んだ実用指向

日産キューブ

別の理由として、私を筆頭に近年の夫が弱くなったこともあると思う。「スポーツセダンが欲しい」と思っても、奥さんから「車内が広くて運転のしやすい燃費の優れた小さなクルマを買おうね」と言われれば「うん…」とうなずいてしまう。

このようにいろいろな条件が同時に進み、国内のクルマが一気に実用指向へ発展した。

そして日産は2005年、ホンダは2006年に、全車を全店で扱うようになった。これも売れ行きが実用指向の割安な車種に偏る傾向を加速させた。全店が全車を売れば、販売しやすいミニバン/コンパクトカー/軽自動車が中心になるのは当然だ。

この時にメーカーは「すべての店舗で全車を売る方がお客様が便利で購入しやすい」と言ったが、これは表向きの理由にすぎない。本音は店舗や車種を簡単に減らせることだ。系列化があるのに店舗を削減すれば、その地域に供給できない車種が生じるが、全店が全車を扱えば近隣の店舗で補える。車種も同様で、全店が全車を扱えば売る車種数を減らせる。

ただしこれは消極的なやり方だ。系列によって取り扱い車種が異なれば、高級セダンでもスポーツカーでも、愛着を持って真剣に売る。メーカーも商品開発で手を抜けず、売れ行きを伸ばす。だから1960年代から1980年代に、面倒な系列化が築かれたのだ。これを撤廃すれば、前述の低価格化が進んで人気車と不人気車の格差が広がる。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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