国内新車販売500万台以下のクルマ需要は本当の姿なのか?それとも不本意?(3/3)

国内新車販売500万台以下のクルマ需要は本当の姿なのか?それとも不本意?
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国内市場に合った新型車を地道に投入すべき

ホンダ N BOX

今は各メーカーとも、人気の3~4車種の販売台数が、総台数の50~70%を占めるようになった。1か月の平均販売台数が1000台以下の車種は膨大にあるが、大半は戦力になっていない。販売ランキングの上位に入るのは、実用的な一部のミニバン/コンパクトカー/軽自動車だ。

一番マズイのは、この状態が10年以上も続くと、ユーザーの欲しいクルマが減って「クルマを買いたい気分」が萎えることだ。 例えば「映画を観に行きたい」「コンサートに出かけたい」と思いながら、仕事に追われて先送りにしていると、やがて映画や音楽に対する興味や欲求が薄れてしまう。

クルマも同じだ。実用的な移動手段でもあるから代替えは行われ、精査して選ぶが、実用重視だから今使っているクルマに大きな不満が生じない限り代替えしない。そうなると前述の代替え周期が長引き、平均車齢や平均耐用年数も伸びる。

しかも今のメーカーは日本を軽く見ているから、新型車の発売も滞り、フルモデルチェンジのサイクルが長い。ますますクルマを買わなくなってしまう。

「欲しいクルマがなければムダが生じないからイイじゃないか」という見方もあるが、クルマ好きの気持ちは満たされず、基幹産業である自動車産業も活性化しない。海外向けの車種でも、開発者には日本人が多いから、国内の自動車産業が沈滞すると有能な人材も集まりにくい。

有効な対策は、当たり前の話だが国内市場に合った新型車を地道に投入することだ。多額の開発費用を捻出できないなら、インプレッサスポーツをベースに開発したXVのように、SUV風の派生モデルでも良い。不人気車をベースにしても話にならないが、人気車なら相応に注目される。SUVの多くはXVのように実用的なワゴンや5ドアハッチバックをベースに開発されるので、売れ筋のコンパクトカーとも相性が良い。

>>1970年代~2000年代の人気クルマの移り変わり(画像33枚)

日本車としての個性をもっと大切に

トヨタ ヴィッツ(現行)

ハイブリッドの追加も効果的だ。オーリスのように元々不人気の車種では売れ行きを伸ばせず、ヴィッツも未知数だが、カローラアクシオ&フィールダーは成功した。ノートe-POWERも注目されている。

特に今の日産でマトモに売れる車種は、セレナ、ノート、デイズ&ルークス、エクストレイル程度だ。これらを有効に活用することが大切で、SUVやクロスオーバーモデルを加えたり、エクストレイルにハイウェイスターがあっても良い。理屈に捕らわれず、費用対効果の高い商品開発をすべきだ。次期型ジュークやマイクラ(マーチ)は日本では売らない模様だから、このままでは2017年の新型車は次期型リーフだけになってしまう。

マツダは走行性能を突き詰めて、安全装備にも積極的で好ましいが、車種数が限られてクルマの持ち味が硬直化してきた。日本の市場に合った新しい発展が必要だ。

日本のメーカーが国内市場を軽視したら、日本車としての個性が次第に薄れていく。それが海外市場でプラスに作用することはないと思う。自らの将来を守るためにも、もう少し日本の市場を大切にして欲しい。

[Text:渡辺陽一郎]

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筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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