電動バイク「zecOO(ゼクー)」試乗レポート/森口将之(1/2)

電動バイク「zecOO(ゼクー)」試乗レポート/森口将之
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さまざまな人たちのつながりによって形になったマシン

電動バイク「zecOO(ゼクー)」

まずは写真を見ていただきたい。

AKIRAに出てくる「金田のバイク」を思わせるが、模型ではない。ちゃんと人間が乗って走れる。

しかも一品モノのコンセプトカーではなく、3月25日に発売された、れっきとした市販車だ。その名はzecOO(ゼクー)。バッテリーでモーターを回して走る電動モーターサイクルだ。

電動バイク「zecOO(ゼクー)」

コンセプトとデザインはznug design(ツナグ デザイン)、製作はカスタムバイク製作歴約30年というキャリアを持つオートスタッフ末広、モーター制御系は日本でエンジニアとして活躍するエリック・ウー氏など、我が国の先進技術スペシャリストが集結したビジネスユニットが生み出した。

デザインを担当したznug designの根津孝太さんは、トヨタ自動車でパーソナルモビリティi-unitのコンセプト開発リーダーなどを務めたあと、2005年に会社を設立。自動車業界ではコンセプトカーのトヨタ「Camatte(カマッテ)」のほか、「LOVE LOCAL」と銘打ったダイハツ「コペン」のコミュニティ活動のデザインも担当。僕といっしょにグッドデザイン賞の審査委員も務めている。

電動バイク「zecOO(ゼクー)」

車名のzecOOは色即是空から取った。この世にあるすべてのものは、因と縁によって存在しているだけで、本質は空であるという意味の四字熟語だ。zecOOがさまざまな人たちのつながりによって形になったことを表しているという。

プロトタイプは2011年の東京デザイナーズウィークに初出展。それから市販まで4年が掛かったのは、電動モーターサイクルの肝となるバッテリーとモーターの調達に苦労したから。しかし最終的に、電動バイク市販実績のある米国ZERO MOTORCYCLESなどの協力があり、市販に漕ぎ着けた。

電動バイク「zecOO(ゼクー)」

日本では250㏄と同じ、車検のない軽2輪登録なので維持費は安そう。充電時間は200Vで4時間、航続距離は60㎞/h定速で160㎞。

驚くべきは、最高出力の68psは軽自動車並みだが、最大トルクは14.7㎏mとスズキ「隼(ハヤブサ)」の15.8㎏mに近いこと。しかもモーターの常で最大トルクを超低回転で発生するから、発進加速は隼に匹敵するとか。

隼のゼロヨン加速は10秒未満で、ブガッティ「ヴェイロン」と同等だ。

僕も高速道路でフル加速を試したことがあるけれど、凄いという次元を超えて、その瞬間だけ違う世界に行ってしまったような感覚だった。それと同じパフォーマンスの持ち主とは。こんなにドキドキする試乗はひさしぶりだ。

フロントサスペンションは沈み込みとしなりを避け、クルマのダブルウィッシュボーンを思わせるタイプを採用

電動バイク「zecOO(ゼクー)」
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zecOOのデザインにはもちろん理由がある。

前輪と後輪の間に、リチウムイオン式バッテリーとモーターを低い位置に置き、左右からアルミプレートのフレームで包み込む構造を採用した結果なのだ。だから重心は低い。前後重量配分はライダーが乗った状態で約50:50と理想的だ。

フロントサスペンションが一般的なモーターサイクルが使うテレスコピックフォーク式ではなく、クルマのダブルウィッシュボーンを思わせるタイプであることも目を惹く。アームの先端に前輪を支えるハブがあり、ハンドルから連結したロッドでこのハブが首を振る、ハブセンターステアリングという機構を採用する。

電動バイク「zecOO(ゼクー)」

テレスコピックフォーク式はブレーキを掛けると沈み込む。ライダーはその動きをコーナリングに利用するわけだが、zecOOは大容量のバッテリーを積む関係で車両重量は280㎏と、1300㏄のスポーツバイク、隼の266㎏より重いので、沈み込みが大きくなる。しかもテレスコピックはコーナーでしなり方向の変形が出てしまう。それらを嫌ってハブセンターステアリングを採用したという。

[次ページへ続く]

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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