電動バイク「zecOO(ゼクー)」試乗レポート/森口将之(1/2)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:島村栄二
コンセプトとデザインはznug design(ツナグ デザイン)、製作はカスタムバイク製作歴約30年というキャリアを持つオートスタッフ末広、モーター制御系は日本でエンジニアとして活躍するエリック・ウー氏など、我が国の先進技術スペシャリストが集結したビジネスユニットが生み出した。
デザインを担当したznug designの根津孝太さんは、トヨタ自動車でパーソナルモビリティi-unitのコンセプト開発リーダーなどを務めたあと、2005年に会社を設立。自動車業界ではコンセプトカーのトヨタ「Camatte(カマッテ)」のほか、「LOVE LOCAL」と銘打ったダイハツ「コペン」のコミュニティ活動のデザインも担当。僕といっしょにグッドデザイン賞の審査委員も務めている。
日本では250㏄と同じ、車検のない軽2輪登録なので維持費は安そう。充電時間は200Vで4時間、航続距離は60㎞/h定速で160㎞。
驚くべきは、最高出力の68psは軽自動車並みだが、最大トルクは14.7㎏mとスズキ「隼(ハヤブサ)」の15.8㎏mに近いこと。しかもモーターの常で最大トルクを超低回転で発生するから、発進加速は隼に匹敵するとか。
隼のゼロヨン加速は10秒未満で、ブガッティ「ヴェイロン」と同等だ。
僕も高速道路でフル加速を試したことがあるけれど、凄いという次元を超えて、その瞬間だけ違う世界に行ってしまったような感覚だった。それと同じパフォーマンスの持ち主とは。こんなにドキドキする試乗はひさしぶりだ。
フロントサスペンションは沈み込みとしなりを避け、クルマのダブルウィッシュボーンを思わせるタイプを採用
zecOOのデザインにはもちろん理由がある。
前輪と後輪の間に、リチウムイオン式バッテリーとモーターを低い位置に置き、左右からアルミプレートのフレームで包み込む構造を採用した結果なのだ。だから重心は低い。前後重量配分はライダーが乗った状態で約50:50と理想的だ。
フロントサスペンションが一般的なモーターサイクルが使うテレスコピックフォーク式ではなく、クルマのダブルウィッシュボーンを思わせるタイプであることも目を惹く。アームの先端に前輪を支えるハブがあり、ハンドルから連結したロッドでこのハブが首を振る、ハブセンターステアリングという機構を採用する。
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