トヨタ・日産・ホンダ・スバルの“4大ワークス”が手がけたチューニングカーを試乗!|vol.2 日産 NISMO/ホンダ 無限(2/3)

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R35 GT-R 2008年モデルをNISMOがチューニング!?

進化はフルモデルチェンジやマイナーチェンジだけではない

一方、R35 GT-Rは最新モデルではなく初期モデル(2008年式)がベース。発売から10周年を迎えるが、今後も末永く楽しんでもらうために、ストリートでの扱いやすさを重視したチューニングが施されている。

パワートレインはGT3用のカムや2011モデルのタービンを用いた「VR38 S1エンジンメニュー」で、エンジンとトランスミッションのOHまで実施するフルコンバージョンキットで最高出力/最大トルクのアップはもちろん、中低速域のフラットなトルク、高回転域の伸びの良さを実現させたエンジン特性。

フットワーク系は10年に渡るノーマルの進化を活かし、日常~ワインディング、高速道路で爽快かつ快適なドライビングを楽しむための「サスペンションバージョンアップ」を開発中だが、今回は2017モデルのショックアブソーバー&スプリングとタイヤの組見合わせ。更にスーパーGT GT500の空力エンジニアが担当、日産のGT-Rデザインチームがまとめた専用エアロパーツも必見だ。

その走りは、初期型の荒々しい乗り味の面影はなく、パンチがありながらもシームレスなパワートレインと初期型とは思えないトランスミッションの滑らかさ、重量級ボディを感じさせない軽快な動き、凹凸の多い群サイの路面を捉えるしなやかさ、そしてアンダー知らずのライントレース性の高さなど、歴代のノーマルで例えるならば、2013モデルの「キレの良さ」と2014モデルの「しなやかさ」が融合したようなNISMO独自の乗り味に仕上がっていた。今回、NISMOアンバサダーのミハエル・クルム選手の横で限界走行を体感したが、GT-Rには狭いはずの群サイのコースが広く感じたのと、最高で時速180キロに近いスピードを出しながらも懐の深いハンドリングで恐怖感は全くなかった。

R35 GT-Rの基本性能の高さを再確認できたと同時に、進化はフルモデルチェンジやマイナーチェンジだけではないことを実感。もちろん、全てを盛り込むと価格はそれなりだが、この先もR35 GT-Rライフを続けていく人にとっては、単純なオーバーホールよりも意味があるメニューだと思う。

コンプリートモデルと同じ思想で開発されたエクストレイル ニスモパフォーマンスパッケージ

そして最後はエクストレイルだが、こちらはコンプリートカーに近い仕様に仕立てることができるパッケージオプション「ニスモパフォーマンスパッケージ」を装着。エアロパーツやサスペンションなどをアドオンパーツながら、全てコンプリートモデルと同じ思想で開発・設計されているのが特徴である。

19インチタイヤ&ホイールの30mmローダウンのサスペンションにより、かなりスポーティな味付けだが、以前乗ったマイナーチェンジ前モデルよりも足の動きのしなやかさとストローク感は明らかに増しており、走りと快適性のバランスが最適化されていた。ただ、ノーマルのパワートレインでは完全なシャシー勝ち状態。個人的にはジュークニスモ用の1.6リッターターボが搭載できれば、より面白い上にバランスのいいクルマに仕上がると思う。

商品自体はワークスチューナーの中で一番本格的だが、一つ残念なのは同じ「NISMO」と言いながらも、様々な意味合いを持っているため、クルマ好きであっても混乱してしまう事だ。コンプリートカーとパッケージオプションでは、もう少し明確で解り易い標記に分けてもらいたいのが本音である。

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

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