ヤンマー、自動で畑を耕せる「自動運転トラクター」を発売、農業分野の人手不足解決を目指す
見た目もオシャレでカッコイイ、自動運転トラクター誕生
ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーアグリは、位置情報やロボット技術などのICT(Information and Communication Technology)を活用して農作業の省力・省人化、効率化を実現する”自動運転トラクター”を、2018年10月1日より順次発売する。
この自動運転技術を搭載する機種は、今後「SMARTPILOT」シリーズとしてラインアップを強化していく予定だ。ちなみに、すでにYTトラクターを所有している場合は、工場で改装することで、オートロボット仕様にアップグレードすることも可能。
人手不足の解決と効率化が求められる農業分野
近年、農業分野では、農地の集約による経営の大規模化や就農者減少・高齢化による人手不足といった課題を抱えている。
農林水産省の統計では、平成29年の農業就業人口は約181万人で、そのうち65歳以上は約120万人と6割以上を占めている。昨年に比べると約11万人減っている。一方、新たに農業に参入する人(新規新規就農者)は約60万人(うち49歳以下は約12万人)と、年々増えてはいるものの、全体の人口としてはマイナスとなっているのが現状だ。
今回発表された自動運転トラクターは、少人数化や作業効率化を実現できるとして、これから注目を集めそうだ。
自動運転トラクターの価格
●オートトラクター(YT488A/498A/4104A/5113A)
発売日:2018年10月1日
価格:1072万5000円~1407万5000円(消費税抜)
●ロボットトラクター(YT488A/498A/4104A/5113A)
発売日:2018年10月1日
商品価格:1214万5000円~1549万5000円(消費税抜)
自動運転の概要|遠隔操作と自動運転を切り替え可能
作業内容やオペレーターに応じて設定可能な2つの自動運転モード
「直進モード」では、直進のみを自動で、旋回などの運転操作は手動で行う。「オートモード」では、自動直進に加え、旋回にともなうハンドル操作と作業機の昇降などの操作を自動で行う。これらのモードは切り替えが可能で、オペレーターの人数や作業者のスキル、作業内容に応じて設定することができる。
タブレット操作と高精度な位置情報による作業性の向上
操作・設定には、防塵・防水性に優れた10.1インチのタブレットを採用。タブレット内の情報はアイコンやイラストで表示し、作業領域や経路作成、運転中の軌跡確認など、簡単な操作が可能だ。2台のトラクターでの協調作業時には、随伴(あるいは併走)する有人トラクター内にて近距離監視を行いながら、タブレットにより無人トラクターを操作する。
また、RTK-GNSS(Real Time Kinematic)を活用し、衛星(GNSS)と基地局からの電波で位置情報を取得してトラクターに補正情報を送る。オプションでヤンマー独自の基地局を設置することで高い精度での補正情報取得が可能になる。
安心して作業ができる充実した安全装置(ロボットトラクターのみ)
無人での運転・作業が可能なロボットトラクターには、レーザーや超音波で物体との距離を計測するセンサーや、全方向から自動走行の状態を確認できる3色のセーフティランプを設置し、周囲の安全を確保している。自動運転中にエンジンが停止すると、自動でブレーキがかかるセーフティブレーキも搭載している。
既存のYTトラクターから自動運転仕様へのアップグレードに対応
すでにYTトラクター(YT488A/498A/4104A/5113A/490/5101/5113)を所有されている方は、新たにトラクターを購入しなくても、工場オプションにてオート仕様、ロボット仕様にアップグレードすることが可能だ。
※アップグレードには、工場での改装が必要(ファクトリーオプション)。改装キットの種類によって、対応できる機種は異なる
大型トラクター「YT463/470」シリーズ
今回、自動運転トラクターとして販売を開始したのは、大型トラクターの「YTシリーズ」だ。見ての通りほかのトラクターとは一線を画すデザインで、手掛けたのはヤンマーホールディングスの社外取締役も務める、カーデザイナー・KEN OKUYAMA(奥山清行)氏。
YT463/470は、2015年東京モーターショーのKEN OKUYAMAブースでスポーツカー等と共に公開され、話題を集めた。
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