トヨタ ル・マンで結果残せず、章男社長「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン…。」コメント全文
6月17日~18日、第85回ル・マン24時間レースの決勝が行われポルシェが総合優勝を果たした。
日本勢で唯一LMP1クラスに参戦したトヨタは、予選で小林可夢偉選手(#7号車)がコースレコードを更新する圧巻の走りでポールポジションを獲得するも、#7号車と#9号車の2台がリタイア、最後まで走り切った#8号車1台が9位という苦しいレースとなった。
この結果を受け、豊田章男社長がコメントを発表した。選手を思い、ライバルを思い、そして応援するファンを思う、章男社長の熱い気持ちが伝わってくるコメント全文を紹介する。
ドライバー達は、初めてル・マンに来る私に、「一緒に表彰台の真ん中に上ってほしい…」「そのために絶対に負けたくない…」「だから共に戦ってくれ…」と言ってくれました。だからこそ、私からは、「思いっきり走れ。メカのつくったクルマを信じて、ル・マンを楽しんで。」という言葉を返していました。
それなのに、思いっきり走らせてあげることが出来なかったことが本当に悔しい…私たちのクルマを信じて走ってくれていたのに…本当に申し訳ない…。その気持ちでいっぱいです。
おそらく、この気持ちは、この戦いに向けクルマをつくってきたトヨタのエンジニア、メカニック、そしてパーツサプライヤーの方々、皆、同じ想いなのだと思っています。なので、そのみんなの気持ちも背負い、代表して、ドライバー達へもう一度、改めて言います。
「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン…。」
そして、その9人のドライバー達も含めて、トヨタチームに関わった全ての人の想いを二つ、私から述べさせてください。
ひとつは、ファンの皆さまへ。
トヨタの勝利を信じて応援してくださったファンの皆さま、期待に応えられず本当に申し訳ありませんでした。そして、24時間、最後まで我々を信じ、熱く応援いただけたことに心から感謝申し上げます。本当に、ありがとうございました。再び、皆様と共に笑顔になれる日を目指してまいります。
ひとつは、ポルシェチームへ。
昨年の戦いの後、ポルシェの皆さまから我々をライバルと認めて頂けるような嬉しい言葉を数々いただきました。“ライバル”と言っていただけたことに応えるためには今年また、ファンの皆さまを魅了するような素晴らしい戦いをさせていただくことだと考えていました。
だからこそ、チームは新しい技術・技能を生み出すことにも果敢にチャレンジして来ることができました。ポルシェチームの皆さま、おめでとうございます。そして、ありがとうございました。
しかし、昨年のようにファンの皆さまを魅了させるような戦いを実現することが出来ませんでした。今回、ポルシェも、我々トヨタも…ル・マンの道に挑んだハイブリッドカーは24時間を無事に走り切れませんでした。
優勝した2号車でさえも、完走した我々の8号車もトラブルにより時間のかかる修理を余儀なくされて、ようやく辿りついたゴールでした。
世界耐久選手権を通じて高めてきたハイブリッド技術は、6時間レースでは、その能力を発揮しきれても、ル・マン24時間の道のりでは、まだまだ歯がたたないということかもしれません。
電気の力は、クルマがもっとエモーショナルな存在になるために絶対に必要な技術です。ル・マンは、その技術に挑戦し続け、極限の環境で試すことの出来る貴重な実験場です。これからも、この場を、大切にしていきたいと思います。
もっともっと技術に磨きをかけ、熟成させ、お客様に本当に笑顔になっていただける技術を…そしてもっといいクルマづくりを続けるために、これからも我々トヨタは、努力を重ねてまいります。皆さま、ご期待いただければと思います。よろしくお願いいたします。
2017年6月18日
トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男
この記事にコメントする