トヨタがC-HRと新型カムリにそっくりな謎のコンセプト2台を発表【上海ショー2017】
- 筆者: 鈴木 ケンイチ
2台の謎のコンセプトモデルとは?
2017年4月19日の上海モーターショー初日、トヨタブースのメインステージには2台の赤いコンセプトカーが飾られていた。
ところがトヨタからは正式なリリースはない。赤い2台のコンセプトカーは、クロスオーバーSUVとセダンである。パッと見は、カムリとC-HRにそっくりだ。しかし、この2台が公開されたのは今回が初めてだという。どういうことなのか?
実のところ、この2台がアンヴェールされたのは、上海モーターショーの前夜。トヨタが開催した「TNGAナイト」でのことだ。
今回のショーで、トヨタは公式なプレスカンファレンスは実施しない。その代わりに前夜祭でメディアを呼ぶイベントを行ったのだ。
トヨタの未来に対する挑戦
そこで発表されたのが、「トヨタの未来に対する挑戦」であった。具体的な挑戦は3つ。
まず、「新しい組織・体制」だ。日本国内では、すでにアナウンスされているカンパニー制導入を詳しく説明した。
2つめの挑戦は「環境への取り組み」。2050年に全世界のトヨタ車のCO2排出量を90%削減するという目標を説明。それにあわせて、中国で発売しているハイブリッド車(HV)の「カローラ双撃」「レビン双撃」に、プラグインハイブリッド(PHV)版を開発中であり、2018年に販売を予定していると発表。プラグインハイブリッド(PHV)は「双撃」ではなく「E+(イージャー)」とのロゴを使うという。さらにFCV「MIRAI」の中国での実証実験を2017年10月から開始するとも。水素ステーションも建設するという。
C-HRやカムリは、中国導入では独自仕様のデザインか?
そして最後の3番目の挑戦が「TNGA」であった。
プラットフォームの共用にとどまらず「もっといいクルマづくり」への「クルマづくりの構造改革」と説明。その具体例として、発表されたのが、冒頭の2台のコンセプトカーであったのだ。しかも、作成したのは、中国人スタッフだという。つまり、すでに販売されているC-HRとカムリの開発の途中に作ったコンセプトカーではなく、わざわざ、この上海モーターショー用に新たに製作されたものであったのだ。
中国にTNGAのコンセプトを伝えるために、中国人の手によるTNGAコンセプトカーを製作する。それが赤い2台のコンセプトカーであった。ちなみに名称は、カムリベースと思われるモデルが「豊巣FUN」、C-HRベースと思われるのが「豊巣WAY」。
中国市場は、セダンとSUVの人気が高い。普通に考えれば、TNGAによって生まれたC-HRも今年の1月のデトロイトでデビューした新型カムリも、中国市場に導入されてもおかしくはない。しかし、もしかすると、グローバルで販売されるそのままではなく、中国独自仕様のデザインで導入されるかも?そんな可能性を彷彿させる2台のコンセプトであった。
[TEXT:鈴木ケンイチ/PHOTO:鈴木ケンイチ、トヨタ自動車]
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