三菱 アウトランダーPHEVは買っても後悔しない? 気になる燃費やサイズ、価格など10のホントとウソ
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:佐藤 正巳/茂呂 幸正/トヨタ自動車
三菱 アウトランダーPHEVは、PHEVのパイオニアとして、その独自の魅力で多くのユーザーを惹きつけています。
この記事では、2024年10月に大幅改良を受けた新型アウトランダーPHEVの燃費やサイズ、価格、車中泊の使い勝手など「10個の気になるウワサ」をカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが検証、解説します。
「実際のところどうなの?」「買って後悔しない?」といった疑問をお持ちの方、購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
三菱 アウトランダーPHEVとは?
三菱 アウトランダーPHEVは3列シート設定のある5〜7人乗りのミドルサイズSUVです。広い室内空間と高い走行性能を持ち、アウトドアレジャーや日常の移動など、幅広い用途に対応します。
現行型は2021年に発売され、2024年10月末にマイナーチェンジ(一部改良)を受けました。
現行型からは従来のガソリンやディーゼルといったエンジンの設定はなく、外部給電が可能なハイブリッド車であるPHEV(プラグインハイブリッド)のみが搭載されています。
パワーユニットと駆動方式には、前後にモーターを搭載した4WDシステムが採用されています。そして、走行シーンに応じて以下の3つのモードを自動で切り替えることで、効率的な走行を実現します。
アウトランダーPHEVの走行モード
日常の走行シーンで、バッテリーに十分な残量がある場合、バッテリーに蓄えられた電力を使用し、モーターのみで静かに走行します。
加速時や急な登坂走行時、バッテリー残量が少なくなった際には、エンジンが発電機として働き、その電力でモーターを駆動します。これにより、バッテリーの残量を気にせずに力強い走行が可能です。
高速走行時には、エンジンの駆動力を主体とし、モーターがアシストすることで、効率の良い走行を実現します。
また、これらの自動で切り替わる走行モードとは別に、アウトランダーPHEVにはドライブモードも搭載されています。ドライブモードでは、走行シーンや路面状況に応じて、車両の制御を最適化します。
アウトランダーPHEVは、パワーユニットに限らず、一般的なハイブリッド車とは異なる特徴を多く持つSUVであるため、「買って後悔しないのか?」という懸念の声も聞かれます。
しかし、これらの不満のいくつかは、2024年の改良によって改善されました。
ここでは、アウトランダーPHEVに対する不安の声を10個取り上げ、それぞれの疑問について検証します。
テーマは大きく5つに分け、「燃費」「ボディサイズなど運転のしやすさと乗り心地」「価格とリセールバリュー」「居住性と車中泊の使い勝手」「充電性能と航続距離」とし、それぞれの真偽を検証していきます。
・燃費
(1)ハイブリッド車として走る時の燃費が悪い?
・ボディサイズなど運転のしやすさと乗り心地
(2)ボディが大きくて運転しにくい?
(3)レスポンスが良すぎて運転しにくい?
(4)乗り心地が硬い?
・価格とリセールバリュー
(5)価格がビックリするほど高い?
(6)リセールバリューが悪い?
・居住性と車中泊の使い勝手
(7)3列シート仕様があるけど3列目はかなり狭い?
(8)ミニバンではないから車中泊には使いにくい?
・充電性能と航続距離
(9)1回の充電で走行できる距離が短い?
(10)充電がしにくい?
燃費
ここでは、アウトランダーPHEVの燃費に関するウワサを検証します。
ハイブリッド車として走る時の燃費が悪い?:ウソ
アウトランダーPHEVのハイブリッド走行時のWLTCモード燃費は17.2km/Lです。
トヨタ ハリアーPHEV(20.5km/L)には劣りますが、マツダ CX-60 PHEV(14.3km/L)より優れています。
また、ハイブリッドで4WD設定のあるSUV車とも比べてみましょう。
日産 エクストレイル X e-4ORCE(3列シート車)は18.3km/L、レクサス RX350hは18.7km/Lです。アウトランダーPHEVの17.2km/Lと比べてそれほど大きな差はありません。
そのため、アウトランダーPHEVはハイブリッド車としての燃費が悪いとは言えないでしょう。
車種名 | WLTCモード燃費 |
---|---|
アウトランダー | 17.2km/L |
ハリアーPHEV | 20.5km/L |
CX-60 PHEV | 14.3km/L |
エクストレイル※ | 18.3km/L |
RX350h(AWD) | 18.7km/L |
ボディサイズなど運転のしやすさと乗り心地
ここではアウトランダーPHEVのボディサイズや運転席に座った際の視界、走行安定性などの運転のしやすさに関わる部分と乗り心地に関するウワサを検証します。
ボディが大きくて運転しにくい?:ホント
アウトランダーPHEVのボディサイズは、全長4720mm、全幅1860mmと、日本の道路環境においては大きめです。
後方のピラーも太く、斜め後方の視界も良好とは言えません。そのため、日本車の中では運転しにくい部類に入ります。
ただし、SUVとしては平均的なサイズであり、ボンネットの見切りも良く、車幅も把握しやすいため、SUVに乗り慣れたユーザーであれば問題ないでしょう。
不安な方は、購入前に縦列駐車や車庫入れを試すことをおすすめします。
参考:PHEVの設定があるSUVのボディサイズ比較
車種名 | 全長 | 全幅 | 全高 | ホイールベース |
---|---|---|---|---|
アウトランダー | 4720 | 1860 | 1750※ | 2705 |
ハリアー | 4740 | 1855 | 1660 | 2690 |
CX-60 | 4740 | 1890 | 1685 | 2870 |
※Mグレードは全高1745mm。
レスポンスが良すぎて運転しにくい?:ウソ
一部改良前のアウトランダーPHEVでは、旋回中にアクセルを戻すと後輪が横滑りする傾向がありましたが、2024年の改良で走行安定性が大幅に改善されました。
操舵感が穏やかになり、後輪の接地性が向上したことで、安心して運転できるSUVになっています。
乗り心地が硬い:ウソ
足回りの設定も一部改良で見直され、乗り心地も改善されました。20インチタイヤを装着していても、不快な突き上げ感はほとんどありません。
価格とリセールバリュー
ここでは、アウトランダーPHEVの価格とリセールバリューに関するウワサを検証します。
価格がビックリするほど高い:ウソ
アウトランダーPHEVの最上級グレードのPエグゼクティブパッケージ(7人乗り)は668万5800円ですが、買い得グレードのG(5人乗り)は587万9500円です。
PHEVであるため、国から55万円の補助金が支給され、実質価格は約533万円となります。自治体によっては、追加の補助金も期待できます。
アウトランダーPHEVのグレード別価格は以下のとおりです。
グレード | 乗車定員 | 価格(税込) |
---|---|---|
M | 5人 | 526万3500円 |
G | 5人 | 587万9500円 |
7人 | 597万800円 | |
P | 5人 | 631万4000円 |
7人 | 640万5300円 | |
Pエグゼクティブパッケージ | 5人 | 659万4500円 |
7人 | 668万5800円 |
リセールバリューが悪い:ウソ
アウトランダーPHEVの残価設定ローンでは、3年後の残価が新車価格の52%に設定されており、一般的な水準である43〜48%よりも高くなっています。
残価は数年後に売却する時の価値を基準に設定されるため(高すぎるとメーカー系列のクレジット会社が損をします)リセールバリューとそれほど大きくズレが発生することはありません。
このように、残価設定ローンの残価率の高さを参考にすることで、アウトランダーPHEVのリセールバリューが高いことがわかります。
居住性と車中泊の使い勝手
ここでは、アウトランダーPHEVの3列目シートの居住性や車中泊での使い勝手に関するウワサを検証します。
3列シート仕様があるけど3列目はかなり狭い?:ホント
アウトランダーPHEVの3列目シートは、他のSUVと同様に補助席という位置づけです。身長170cmの大人6人が3列目を使用する場合、2列目を大きく前方にスライドさせる必要があります。しかし、この状態では2列目と3列目の膝先空間がかなり狭くなり、乗員の膝が前席の背もたれに接触してしまいます。
3列目が窮屈に感じる理由は、SUVの床面形状と空間効率が、3列目が快適なミニバンとは異なるためです。足元のスペースが狭いことに加え、燃料タンクの影響で床が高くなり、膝を抱え込むような姿勢になってしまいます。そのため、大人が快適に移動できる距離は、片道15分程度までと考えた方が良いでしょう。
ミニバンではないから車中泊には使いにくい?:ウソ
アウトランダーPHEVの車内空間はミニバンほど広くはありませんが、アウトランダーPHEVは車中泊にも利用できます。
2/3列目を格納し、1列目と2列目の間にクッションなどを配置することで、2m以上の荷室長を確保できます。
また、PHEVであるため、100V・1500Wの電源コンセントが2列目足元と荷室に装備されており、電子レンジの使用やヒーターの利用も可能です。
これにより、アウトドアや災害時にも役立ちます。
充電性能と航続距離
ここではアウトランダーPHEVの一充電あたりの走行距離や充電時間に関するウワサを検証します。
1回の充電で走行できる距離が短い?:ウソ
アウトランダーPHEVは2024年の改良により、駆動用電池の総電力量は20kWhから22.7kWhに増加し、一充電あたりの走行距離は85kmから102kmに伸びました。
エンジンを始動せずに100km以上走行できるPHEVは、市場でも数少ないです。
車種名 | 一充電あたり走行距離 |
---|---|
アウトランダー | 102km |
ハリアー | 93km |
CX-60 | 71km |
充電がしにくい?:ウソ
アウトランダーPHEVは、急速充電器と普通充電の両方に対応しています。急速充電を利用すれば、32分で80%まで充電可能です。
普通充電(200V)の場合は、7時間半で満充電になります。
2種類の充電に対応し、充電時間も比較的短いため、充電の使い勝手は良いと言えるでしょう。
アウトランダーPHEVの評価とまとめ
アウトランダーPHEVは、価格は高めですが、内外装の質感、運転感覚、静粛性など、多くの魅力を持つSUVです。上級SUVを検討しているなら、選択肢に入れるべきでしょう。
特に、国産車で人気の高いトヨタ ランドクルーザーシリーズが受注停止中の現在、アウトランダーPHEVは貴重な選択肢の一つとなります。
外観 | 4.0 | ★★★★☆ |
---|---|---|
内装・居住性 | 4.0 | ★★★★☆ |
走行性能 | 5.0 | ★★★★★ |
運転のしやすさ | 2.0 | ★★☆☆☆ |
乗り心地 | 4.0 | ★★★★☆ |
燃費 | 4.0 | ★★★★☆ |
価格の割安度 | 2.0 | ★★☆☆☆ |
〇 アウトランダーPHEVの良い点
・優れた走行安定性とスポーティな運転感覚を両立させている
・PHEVは1回の充電で100km以上を走行できて急速充電器も使える
・内装は上質で、車内空間もSUVでは広い部類に入る
× アウトランダーPHEVの気になる点
・全幅が1800mmを大幅に超えるボディは混雑した街中で運転しにくい
・3列目のシートは補助席で、大人の多人数乗車は片道15分まで
・補助金が交付されるものの、実質価格は500万円を超える
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:佐藤 正巳/茂呂 幸正/トヨタ自動車】
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