N-BOXが負けた!? BYD 新型ラッコの「買い得」「やめとけ」グレードはどれ? 残クレの注意点や安く買って高く売る方法も解説

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:茂呂 幸正/渡辺 陽一郎/MOTA編集部/BYD Auto Japan
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BYDが初めて手がけた軽自動車、RACCO(ラッコ)が2026年7月28日(火)に発売されました。

価格は214万5000円から249万7000円で、国からの補助金15万円を差し引くと、ベーシックな「200」は実質199万5000円に収まります。

では、装備と価格のバランスを踏まえて選ぶなら、買い得なグレードはどれなのか。安いグレードはお得なのか。売却時に高く売れるグレードとボディカラーはどれか。残価設定ローン「RACCO楽っとプラン」に潜む注意点とは何か。

購入を検討されている方に向けて、カーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが、販売店への取材とホンダ N-BOXとの価格比較をもとに解説します。

目次[開く][閉じる]
  1. BYD 新型ラッコはN-BOXの電気自動車版を狙った
  2. 「買い得」グレードと「やめとけ」グレードはどれ?
  3. 高く売れるのはどのグレード・色?
  4. 残価設定ローン「RACCO楽っとプラン」の注意点
  5. N-BOXと比べて優れる点
  6. 乗り心地の硬さと上質感の不足に注意
  7. 乗り心地と質感を許せるなら、ラッコは十分に「買い」

BYD 新型ラッコはN-BOXの電気自動車版を狙った

中国の自動車メーカー、BYDが日本専用の電気自動車として、軽自動車のRACCO(ラッコ)を開発しました。2026年7月28日(火)に販売を開始しています。

なぜ日本専用の軽EVを開発したのか

海外の自動車メーカーが日本専用車を開発することは珍しいです。しかもラッコは軽自動車なので、同じボディを使った車両を海外で売るのは困難になります。

さらに日本では、電気自動車の販売が低調で、乗用車に占める販売比率は2026年1~6月でわずか3%です。

つまりBYDにとって、ラッコの開発と販売は、大損しかねない危険を伴います。

その代わり成功すれば、今は3%にとどまる電気自動車市場のリーダーになり、今後はBYD中心のカテゴリーとして拡大を図ることも可能です。BYDは小さな軽自動車で、大きな賭けに出ました。

N-BOXに似せたサイズとパッケージ

ラッコの外観は、ホンダ N-BOXに似ています。

全長と全幅は、ほかの車種と同じく、軽自動車の規格いっぱいのサイズです。全高は1800mmと高く、この数値もN-BOXとほぼ同じです。

後席側にはスライドドアを装着して、狭い場所での乗降性を向上させており、これもN-BOXなど全高が1700mmを超える軽自動車の特徴です。

日本の軽市場で主力の背高スライドドア車

日本では軽自動車の販売比率が国内販売総数の40%近くに達しており、全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた車種が、軽乗用車全体の50%以上を占めます。

その代表がN-BOXで、先代型が発売された2017年以降、ほぼ一貫して国内販売の1位であり続けています。ラッコは好調に売れるN-BOXの電気自動車仕様を目指したわけです。

「買い得」グレードと「やめとけ」グレードはどれ?

まずは、ラッコの買い得グレードと、やめとけグレードを選びましょう。

ラッコのグレードは、ベーシックな「200」、中級の「300Plus(300プラス)」、上級の「300Premium(300プレミアム)」です。

グレード構成と補助金込みの実質価格

国がラッコに交付する補助金額は、15万円と少ないですが(日産 サクラやホンダ N-ONE e:は58万円)、「200」であれば車両価格から補助金額を引いた実質価格が199万5000円に収まります。

そのために「200」が話題になりますが、機能や装備の内容も含めて、本当に買い得なのか解説します。

ラッコのグレード別価格と補助金差引後の実質価格

グレード車両価格補助金差引後の実質価格
200

214万5000円

199万5000円

300プラス

239万8000円

224万8000円

300プレミアム

249万7000円

234万7000円

実質価格は車両価格から国の補助金15万円を差し引いた金額です。補助金額は全グレード共通で、車両登録の時期や予算の状況によって変わる場合があります。

電気自動車の補助金額の一例

車種国の補助金額
BYD ラッコ

15万円

日産 サクラ

58万円

ホンダ N-ONE e:

58万円

2026年度のCEV補助金の交付額です。補助金額は車種ごとに評価され、年度や予算の状況によって変わります。

各グレードの電池容量と装備

「200」は総電力量が22.4kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載して、1回の充電により、WLTCモードで210kmを走行できます。

装備は運転支援機能の「アダプティブクルーズコントロール」、事故時の緊急通報装置、LEDヘッドランプ、両側スライドドアの電動開閉機能、後席サンシェードなどを装着しました。実用的には十分な内容です。

中級の「300プラス」は、駆動用電池の総電力量を35.84kWhに拡大して、1回の充電により320kmを走行できます。

装備は「200」の内容に加えて、幼児置き去り検知機能、ステアリングホイール&シートヒーター、シートバックテーブル、アルミホイールなどを装着しました。シート生地は防水効果のある上質なファブリックです。

ラッコの総電力量と一充電走行距離

グレード駆動用電池の総電力量一充電走行距離
200

22.4kWh

210km

300プラス

35.84kWh

320km

300プレミアム

35.84kWh

320km

一充電走行距離はWLTCモードの総合値です。

ラッコの標準装備一覧

装備200300プラス300プレミアム
アダプティブクルーズコントロール

緊急通報装置

LEDヘッドランプ

両側スライドドアの電動開閉

後席サンシェード

幼児置き去り検知機能

×

ステアリングホイール&シートヒーター

×

シートバックテーブル

×

アルミホイール

×

防水ファブリックのシート生地

×

×

合皮のシート生地

×

×

アラウンドビュー機能

×

×

運転席の電動調節

×

×

カップホルダーの保温機能

×

×

本文で触れた主要装備を抜き出したものです。装備の詳細は最新のメーカー公式情報をご確認ください。

手放しでスライドドアが開く目玉機能にも注目

カギを持って足元をかざすだけでドアが開く「足元投影ガイド付きハンズフリースライドドア」(「300プレミアム」のみ)の使い勝手は、以下のYouTubeショートでチェックしてみてください!

装備価値を価格に換算して比較する

「200」「300プラス」の比較

「300プラス」では、「200」に比べて駆動用電池の総電力量が13.44kWh拡大され、1回の充電で走れる距離が110km、比率に換算すると1.5倍に増えています。そうなると駆動用電池の拡大に伴う価格アップは15万円に換算されます。

「300プラス」に加わる幼児置き去り検知機能やシート表皮の上級化などに伴う価格換算額は、21万円と考えられます。

駆動用電池の拡大も含めると、「300プラス」は、「200」に36万円相当の価値を加えました。

しかし実際の価格アップは25万3000円なので、「300プラス」の価格は、「200」に比べて11万円割安です。

「200」から「300プラス」で加わる装備価値と価格アップ

項目200→プラス
装備価値の換算額

36万円

実際の価格アップ

25万3000円

割安額

11万円

装備価値の換算額は、駆動用電池の容量差と追加装備の内容から筆者が試算した金額です。メーカーの公表値ではありません。

「300プラス」「300プレミアム」の比較

次は「300プラス」と上級の「300プレミアム」を比べます。「300プレミアム」は、「300プラス」と同じ駆動用電池を搭載して、装備はドライバーの死角を補う「アラウンドビュー機能」、運転席の電動機能、カップホルダーの保温機能などを加えました。シート生地も合成皮革に変わります。

「300プレミアム」に加わるこれらの装備は、合計15万円に換算されますが、「300プラス」と比べた時の価格アップは9万9000円にとどまります。「300プレミアム」の価格は、「300プラス」に比べて約5万円割安です。

「300プラス」から「300プレミアム」で加わる装備価値と価格アップ

項目プラス→プレミアム
装備価値の換算額

15万円

実際の価格アップ

9万9000円

割安額

約5万円

装備価値の換算額は、駆動用電池の容量差と追加装備の内容から筆者が試算した金額です。メーカーの公表値ではありません。

買い得グレード「300プレミアム」、やめとけグレード「200」

ラッコの機能や装備と価格のバランスを見ると、上級グレードほど割安になります。したがって買い得グレードは「300プレミアム」で、やめとけグレードは「200」です。

とくに「200」は、1回の充電で走れる距離が短く、電力消費量を抑えられるステアリングホイール&シートヒーター、ラッコの特徴とされる幼児置き去り検知機能も装着されません。「200」は安価でも、推奨しにくいため、やめとけグレードなのです。

やめとけ200
航続210kmと短く、装備価値に対して最も割高
買い得300プラス
200より11万円分割安。航続320kmを確保
最も買い得300プレミアム
300プラスよりさらに約5万円割安。装備も最も充実
「買い得なのは上級グレード、と言われても予算が…」とお悩みではありませんか?

「200」と「300プレミアム」の価格差は約35万円。割安なのは上級と分かっても、この差を埋められるかどうかは悩みどころですよね。

判断材料としていちばん効くのは、いま乗っている愛車がいくらで売れるのかを先に知っておくことです。下取り額を「だいたいこのくらい」で見込んだままだと、狙えるグレードの線引きができません。

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高く売れるのはどのグレード・色?

ここからは、購入後の資産価値を左右するグレードとボディカラー、内装色の選び方を見ていきます。

販売店に聞いた人気グレード

販売店も以下のように述べています。

「ラッコの人気グレードは300プレミアムで、販売総数の約80%を占めます。逆に200はわずかです」。

この人気度は、中古車市場でも同様と予想されるため、ラッコを高値で売りたいなら「300プレミアム」を選ぶとよいでしょう。

ボディカラーの選び方

ボディカラーは6色が設定され、高値で売りたいならホワイトでしょう。

軽自動車の場合、エアロパーツを装着したグレードは中古車市場でブラックが人気ですが、ラッコのような標準ボディはホワイトです。売却時の金額も高くなります。

結論をいえば、資産価値を高く保つには、「300プレミアム」のホワイトボディがベストです。ブラックが2位に続きます。

内装色の選び方

内装色はブラック&ベージュも選べますが、ラッコのような背の高いスライドドアを装着した軽自動車は、電気自動車でも、子供のいる世帯が街中を移動するセカンドカーとして使うことが多くなります。

ベージュは汚れが目立つと避けられる傾向もあるため、高値で売却したいなら内装色はブラックです。

ラッコの資産価値を高く保つ選び方まとめ

グレード

300プレミアム

ボディカラー

ホワイト(2位はブラック)

内装色

ブラック

残価設定ローン「RACCO楽っとプラン」の注意点

一方、安く使う方法としては残価設定ローン(RACCO楽っとプラン)の利用が考えられますが、重要な注意点もあります。

それは5年後で50%といった残価が保証されないことです。契約期間満了時に、車両を買い取らずに返却する場合は、改めて査定を行います。ボディのキズなど使用中の問題点がなくても、ラッコの市場価値が下がっていれば、精算による支払いが生じます。

ちなみに日本のメーカーや販売会社が新車に適用する残価設定ローンは、今は基本的に残価を保証しています。

輸入車も以前は残価を保証しないローンがありましたが、今は保証型が増えました。車両を返却する時の精算を巡って、顧客とトラブルが生じることも多かったからです。ラッコで残価設定ローンを利用する時は、残価が保証されないことに、十分に注意しましょう。

「RACCO楽っとプラン」と一般的な国産残価設定ローンの違い

項目RACCO楽っとプラン一般的な国産の残価設定ローン
残価の保証

なし

あり

満了時の再査定

あり

なし

市場価値が下がった場合

精算による支払いが生じる

追加の支払いは生じない

一般的な国産の残価設定ローンも、走行距離の上限や車両の状態について規定があり、無条件に残価が保証されるわけではありません。契約条件は取扱会社や商品によって異なります。

N-BOXと比べて優れる点

N-BOXに対してラッコが上まわった点を、装備、運転環境、価格の3つの角度から確認します。

国産軽の便利装備を積極採用

ラッコの実用性を確認すると、N-BOXなど、スライドドアを装着した背の高い国産軽自動車の機能を多く採用しています。

例えばラッコでは、後席の座面を持ち上げると、車内の中央に背の高い荷物を積めます。これは後席の格納方法なども含めて、N-BOXとほぼ同じといえます。

先に挙げたカップホルダーの保温機能は、ダイハツ ムーヴキャンバスで人気の装備です。ロールサンシェードやシートバックテーブルなども含めて、国産軽自動車の装備を積極的に採用しています。

軽では珍しいテレスコピック機能

さらにラッコは、軽自動車でありながらステアリングの調節機能を充実させました。

上下に調節するチルト機能は、日本の多くの軽自動車が採用しますが、ラッコは前後に調節するテレスコピック機能も備えています。

ユーザーからは「テレスコピック機能がないから軽自動車は選ばない」という話も聞かれ、ラッコは対応しています。

N-BOXと装備水準を揃えて価格を比べる

ラッコが強く意識したと思われるN-BOXの価格は、ラッコと同様の標準ボディでは176万8800円です。

N-BOXに後席右側スライドドアの電動機能など含んだセットオプション(7万8100円)を追加して、ラッコ「200」と装備水準を合わせると、合計184万6900円になります。

ラッコ「200」の価格から国が交付する補助金額の15万円を引くと199万5000円なので、ラッコは電気自動車でありながら、N-BOXと比べた時の実質価格差を約15万円に抑えました。

前述の通り、「200」は最も割高なやめとけグレードなので、上級グレードになると、ラッコはN-BOXに比べてさらに割安です。

以上のように国内販売1位のN-BOXも、装備と価格による買い得度、モーター駆動による優れた動力性能、駆動用電池を低い位置に搭載したことで得られた走行安定性については、ラッコに負ける結果となりました。

ラッコ「200」とホンダ N-BOXの装備水準を揃えた価格比較

項目ラッコ 200ホンダ N-BOX
車両価格

214万5000円

176万8800円

セットオプション

7万8100円

装備水準を合わせた価格

214万5000円

184万6900円

補助金15万円の差引後

199万5000円

184万6900円

N-BOXの価格は標準ボディの車両価格です。セットオプションは後席右側スライドドアの電動機能などを含みます。補助金額はラッコに交付される国の補助金です。

乗り心地の硬さと上質感の不足に注意

ただしラッコにも注意点があります。

乗り心地とロードノイズ

まずラッコは乗り心地がN-BOXよりも硬いです。

転がり抵抗を抑えた低電費指向のタイヤを装着して、タイヤの指定空気圧も電費向上のために250kPaと高く、時速40km以下で舗装の荒れた路面を走るとデコボコを伝えやすくなっています。タイヤが路上を転がる時に発する騒音も大きく感じられる場合があります。

エアコンのヒートポンプシステムも採用されません。

衝突安全性の向上を踏まえてスペースを節約したり、コストを抑えるためですが、エアコンを作動させた時の電力消費量が多くなります。

運転席まわりとシートの使い勝手

内装ではATレバーの操作に慣れが必要です。

シートのホールド性も、腰の収まり方を中心にあまり良くありません。後席は座面が少々短く、30mmほど増やすと快適になるでしょう。

内装の仕上げと質感

このほか電動スライドドアの部分にワイヤーが露出していたり、ドアの内張りも、部分的に途切れてスチールパネルが見えています。

乗り心地も含めた上質感では、ラッコは日本の軽自動車に追い付いていません。日本の軽自動車からラッコに乗り換える時は、違和感が生じないか、販売店の試乗車で入念に確認しましょう。

ラッコとホンダ N-BOXの項目別評価

項目ラッコホンダ N-BOX
装備と価格の買い得度

動力性能

走行安定性

乗り心地

静粛性(ロードノイズ)

内装の仕上げ・質感

本文の評価をもとに整理したものです。○△は筆者の相対評価です。

乗り心地と質感を許せるなら、ラッコは十分に「買い」

それでもラッコは、海外メーカーのBYDが初めて開発した軽自動車としては、良くできています。ラッコは日本のメーカーに刺激を与え、これから登場する軽自動車サイズの電気自動車をさらに進歩させるでしょう。

ラッコは輸入車なのに、カッコ良さとか豪華といった既存の価値観に依存していません。日本のユーザーにとって、本音で選べるメリットの大きな輸入車です。

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【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:茂呂 幸正/渡辺 陽一郎/MOTA編集部 画像提供:BYD Auto Japan】

BYD/BYDラッコ
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新車価格:
214.5万円249.7万円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

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