マツダ 新型CX-8 試乗レポート|SUVに3列シートという新たな価値観を提案する(1/2)

マツダは3列シート車をあきらめてはいなかった!

マツダの“スカイアクティブテクノロジー”と“魂動デザイン”を全面採用した「新世代商品」は、企画/一括開発のメリットを活かし、2012年に登場の初代CX-5を皮切りに、アテンザ、アクセラ、デミオ、CX-3、ロードスターと短期間でラインナップを刷新。更に2017年にCX-5がフルモデルチェンジし、新世代商品は第2フェイズへと突入した。これらマツダの新世代モデルは国内外で高い評価を受け、マツダブランドを大きく引き上げることに成功している。

その一方で、後継モデルが開発されず現行モデルでフェードアウトするモデルもある。それはMPV/プレマシー/ビアンテと言った3列シートのミニバンたちだ。これまで様々な経営危機を乗り越えてきたマツダとしては、安定した経営基盤を構築するために「選択と集中」が必要と言う判断だが、日本には既納ユーザーが数多く存在するのも事実。マツダは本当に3列シートモデルを諦めてしまったのか? そのヒントは世界の3列シートモデル市場の大きな転換にあった。

実は北米市場のトレンドは、ミニバンからミドルクラスの3列シートSUVにシフトしており、2008年を境に販売台数が逆転。フォード エクスプローラーやマツダ CX-9、トヨタ ハイランダー、ホンダ パイロットなどが人気で、スバル アセントやVW アトラスと言った新規参入組も存在。欧州市場も同様の動きで、2012年の1万7234台に対し2016年は4万1016台と237%の増加をしている。

実はこの流れはミニバン人気の日本市場にも…。

昨今のクロスオーバーSUVブームでミニバンからの乗り換え組が増える一方で、「これで3列シートなら完璧なのに」と言う要望も多く、3列シートSUVがトレンドの中心になりそうな気配があるのだ。

マツダはこのような市場動向の変化から、新たな3列シートモデルの提案を行なった。それが今回紹介する日本向けマツダ新世代商品初となる3列シートクロスオーバーSUV「CX-8」である。

>>マツダ 新型CX-8を画像で見る!

CX-8は3列シートでもデザイン性の高い内外装と走りの性能もあきらめない!

マツダ CX-8の開発コンセプトは「多人数乗車」と「デザイン」と「走り」を両立、だ。

CX-5と比較すると、3列シート化のために全長は4545→4900mm、ホイールベースは2700→2930mm、全高は1690→1730mmとボディサイズを拡大させた。ただし、日本での取り回しを考慮し、全幅は1840mmと変更はない。大柄なのは事実だが、視界の良さや360度ビューモニターなどにより、サイズを考えれば取り回し性などはいいと思う。

イメージ的にはCX-5のロング版のようなイメージに思われがちだが、プロポーションのバランスは一から見直されている。

2代目の新型CX-5より、マツダは魂動デザインの第2フェイズに突入。「スタンスの良さ」、「造形を線→面で表現」などにより、躍動感をシンプルに表現することで品格や質感が大きくアップされたが、CX-8は更に伸びやかさと大人の落ち着きがプラス。各部に施されたシルバーやメッキの加飾も効果的で、「CX-8が本命だったのでは?」と思えるような佇まいの良さを感じた。

個人的にはマシングレーのボディカラーで高輝度塗装の19インチアルミホイールを履くXD LパッケージがCX-8の世界観を一番表現しているように感じた。

日本車離れした色合いが魅力|シックで上質なCX-8のインテリア

インテリアはインパネ周辺はCX-5と共通ながらも、コクピット感を高める専用コンソールや、何とユーノス コスモ以来の採用となる本杢パネルやピアノブラック/金属調加飾、更にブラックのルーフトリムの採用などによりプレステージ性をアップ。適度なタイト感の中の居心地の良さを実現した。特に最上級グレードの“XD Lパッケージ”はナッパレザーを採用。内装色は2色から選択可能だが、中でもディープレッド内装は日本車離れしたシックな雰囲気に仕上がっている。

CX-8の特等席である2列目は3タイプが用意される。XDとXD プロアクティブは6:4分割のベンチシートとセンターウォークスルーが可能なキャプテンシートを選択できる。XD Lパッケージには、フォーマルセダンを彷彿とさせるセカンドシートアームレスト付コンソールボックス採用のキャプテンシートが組み合わされる。どのシートも120mmのロングスライド機能付だ。

個人的には、触感やかけ心地の良さは圧倒的にXD Lパッケージ推しだが、利便性を考えると6:4分割のベンチシートとセンターウォークスルーが可能なキャプテンシートも捨てがたい。そう思うと、シートアレンジはどのグレードでも選択可能にしてほしいと思った。

CX-8の3列目シート、その乗り心地に興味津々

3列目はエクステリアから想像する以上の居住性で、2列目スライドを最後端から1~2ノッチ前にするだけでも必要十分なスペースだ。

実際に座ってみると、シアターレイアウトによる解放感(個人的にはキャプテンシートがお勧め)がある。また、この手のモデルにありがちな体育座りになりにくいポジションも良好。2列目下につま先を差し込めるスペースも用意され、ミニバンのような広々スペースではないものの、決して応急用ではない3列レイアウトである。

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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