ホンダ 新型フィット(プロトタイプ) 試乗&解説|圧倒的なパノラマ視界で、日常を大切にするコンパクトカー(1/2)

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2019年10月に発表されたホンダ 新型フィット。新開発の2モーターハイブリッド「e:HEV」や、好みに合わせた5タイプのモデルなどが特徴だが、2020年2月の発売を目前にプロトタイプをテストコースで試乗することが出来た。開発理念や、パノラマ視界などインテリアのポイントのほか、気になる運転フィールについて、自動車ジャーナリストの飯田 裕子氏が緊急レポートする!

>>極細Aピラーでこんなにも視界ばっちり! 新型フィットの内外装を画像で見る[フォトギャラリー]

目次[開く][閉じる]
  1. コンパクトカーで諦めてきたことを、諦めない
  2. コンセプトは「用の美・スモール」
  3. インテリアのポイント1:圧倒的なパノラマ視界
  4. インテリアのポイント2:新設計シート~フロント~
  5. インテリアのポイント3:新設計シート~リア~
  6. 乗り心地は、ひとクラス上に
  7. 気になるパワートレイン、新設計「e:HEV」の実力
  8. 安全装備 ホンダセンシングも進化!
  9. 新型フィットに用意された5つのバリエーション、あなたはどれが好み?
  10. まとめ:早く街中で乗ってみたい!

コンパクトカーで諦めてきたことを、諦めない

フィットらしさは変わらず

北海道にあるホンダの鷹栖テストコースで初対面したホンダ 新型フィットは、一塊感のあるコンパクトカーであるのは変わらないのに、グリルの鼻先にホンダの“H”マークがなければそれがフィットだとわからないほど、デザイン的変身を遂げている印象を受けた。

「ボディサイズはほとんど変わらない」という事前説明を聞いてからの対面だが、これまでよりその存在は少々大きく見えるほどだ。

しかし、そのフォルムは歴代フィットを踏襲する1モーションフォルムであり、かつセンタータンクレイアウトもそのままだが、室内の広さはコンパクトな外観からは想像できないものだった。

つまり、「これまでのフィットらしさ」に、“異常”なし。ただし4代目となる新型フィットのその“実”は、従来“以上”と言っても過言ではないと思う。

知らずに諦めていたニーズを掘り起こす

初代フィット以来受け継がれてきた魅力は、コンパクトながら広々とした室内や燃費の良さ、そして比較的手頃な価格だろう。

新型フィットは、取材時には細かなスペックや価格は明かされなかったが、開発段階からさらに室内を広く、少しでも燃費は良くという目標を掲げていたのはもちろん、これまでユーザーが知らず知らずに諦めていた潜在的なニーズに新たに応えることが命題だったという。

取材中のお話で印象に残るのは、潜在的に諦めていたことは“潜在”であるがゆえに、直接聞いても具体的な答えは返ってこないわけで、世界中のユーザーと丁寧なクリニックを行ったらしい。

その結果、コンパクトカーではまだ満たされていない、快適・リラックス・癒やしが求められていることがわかった。日常を支えるコンパクトとして有益な点は変えずに、一方でその変わらない良さに“心地よさと美しさ”を新たに加え、その言葉にならないニーズに応えようということになったのだそうだ。

ホンダ/フィット
ホンダ フィットカタログを見る
新車価格:
165.6万円274.9万円
中古価格:
15万円283万円

コンセプトは「用の美・スモール」

見過ごされてきた“体験”に注目

ホンダはこの新型フィットで、日常を支えるコンパクトモデルとしての“体験”、ある意味では日常のこととなれば当たり前のこととしてやり過ごして、見過ごしていた“体験”に注目し、その日常の質を上げる改良をし、進化させた。

先ずフォルム。

ホンダはそれについて、二輪で揺るがない存在である「スーパーカブ」を例に挙げ、「意味のあるカタチは変わる必要がない」として、初代フィットからのアイコニックなフォルムを新型でも受け継いだ。

これまで少々イカつい印象もあったエクステリアデザインは、力強さと柔らかさを併せ持つ、シンプルでクリーンな印象へと変わった。

フロントマスクではライトの縁取りをアンダーラインにLEDのデイライトを採用したことで目力が増し、コンパクトなこのフォルムにこの目力を持つ姿は女性から見るとカッコ・可愛い印象を受ける。またボディカラーや新設グレードのSUVライクなタイプのクロスター(のちほど詳しく紹介)など、少しの違いで個性も変わる。

インテリアのポイント1:圧倒的なパノラマ視界

細いAピラーで開放感と安全を確保

インテリアも、毎日が心地よく楽しくなるという“体験”にこだわっていた。

まずは圧倒的なパノラマ視界と水平基調の薄型インパネだ。今回運転席に座って最初に驚いたのは、何よりも前方視界。フロントウインドウの両サイドのAピラー(柱)をごく細く、これは単に開放的な心地よさを抱くだけでなく、コーナーや交差点での対向車や歩行者に対する死角を軽減している。

ちなみに、Aピラーは衝突安全ボディ構造のために太くする必要があった。今回は衝突荷重を2番目のサブピラーへ流すことによってフロントピラーはガラスを保持する性能を満たすだけでよくなり、従来に比べ半分以下の太さにすることができたのだ。

液晶表示もシンプル

この視界についてはフロントピラーだけでなく、ワイパーも設計を工夫し、また水平なインパネ造形もこれに貢献している。

そしてさらに、メーターバイザーがない。これはフル液晶メーターを採用することで実現している。視界→認知認識という点では、液晶表示としながらあまり多くの情報を詰め込んでいないのが万人に優しい。情報もシンプルでわかりやすかった。またホンダセンシングの作動もわかりやすく表示してくれる。

インテリアのポイント2:新設計シート~フロント~

小柄な人も運転しやすく

新設計されたフロントシートは線で支えるバネ構造から面で支えるマット構造となり、個人的にはチルト(高さ調整)の工夫を特筆したい。

座面の前端が膝裏をしっかり支える構造は、小柄な人が座面を上げると視界は良くなるものの膝裏がより強くシートに当たり、ペダル操作がしづらいものが多い。

新型フィットでは座面を上げるとシートの前側がやや下がるので、小柄な人を含め、より自分の体型に合った理想的なドライビングポジションを取りやすくなっているのだ。

また使い心地については、電動パーキングブレーキの新採用によって、これまでハンドブレーキがあったエリアにバッグを収めるスペースが実現。テーブルコンソールにはアタッチメントが付けられる工夫にくわえ、レールを用いて大きなアームレストなど好みの用品でカスタマイズできるようになった。

インテリアのポイント3:新設計シート~リア~

柔らかな厚みで快適性アップ

またリアシートも骨格から新設計。センタータンクレイアウトによって前席以降のスペースアレンジが魅力のフィットだが、これまでリアシートの快適さが若干犠牲になっていたことは否めない。

しかし新型ではその点も見直され、柔らかさを感じる厚さを確保することで快適性は増している。シートのファブクックの素材感や風合いも良く、ライトグレージュに包まれた空間の印象はとても優しい。

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飯田 裕子
筆者飯田 裕子

OL時代に始めたレース活動をきっかけに、クルマへの興味/関心を深め、フリーの自動車ジャーナリストに転身。自動車雑誌への執筆や自動車系TV番組出演などから、活動の場を広げ、現在では女性誌および一般誌、新聞、Web、ラジオ番組でのパーソナリティ、TV、トークショーと活躍の場は幅広い。ドライビングインストラクターとしてのキャリアも長く、自動車メーカーをはじめ、一般企業、保険会社、警視庁などが主催するスクールでの指導にも定評あり。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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