マツダ 新型CX-60はCX-5よりもディーゼルの力強い駆動力、FR由来の機敏な運転感覚が特徴┃おすすめグレードは400万4000円の「XD・Lパッケージ(2WD)」だ!【2022年】

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2022年6月末より予約受注を開始し、同年9月より販売開始予定のマツダ 新型CX-60。同車は、直列6気筒エンジンやマツダ初のPHEV(プラグインハイブリッド)などを含む計4種類のパワートレイン(動力源)を設定するなど注目のSUVとなっています。

今回は、そんな新型CX-60について、カーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが詳しく解説します。

目次[開く][閉じる]
  1. マツダ 新型CX-60のボディサイズ
  2. マツダ 新型CX-60では直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボエンジンを搭載
  3. マツダ 新型CX-60、現在の納期状況
  4. マツダ 新型CX-60の内装
  5. マツダ 新型CX-60のパワートレイン(動力源)
  6. マツダ 新型CX-60はCX-5から上級車種へ移行を考えているユーザーに最適
  7. マツダ 新型CX-60の価格・燃費・おすすめグレード

マツダ 新型CX-60のボディサイズ

今のマツダは、ミニバンや背の高いコンパクトカーを用意しない代わりに、SUVを豊富にそろえています。2022年6月には、新型CX-60の予約受注も開始されました。

新型CX-60のボディサイズは、全長が4740mm、全幅は1890mmです。同社のミドルサイズSUVのCX-5よりも大きく、トヨタ ハリアーに近いです。一番の特徴は駆動方式で、CX-5のような前輪駆動(FF)ではなく、新しいプラットフォームを使った後輪駆動(FR)を採用しています。

マツダ 新型CX-60では直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボエンジンを搭載

新型CX-60で後輪駆動を採用した背景には、複数の理由があります。最も大きな理由は、直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボエンジンの搭載です。開発者によると、高い動力性能を得るためでなく、優れた燃焼効率を達成するために3.3Lの排気量が必要になったそうです。

3.3Lの場合、直列4気筒では快適性を含めてバランスが悪く、エンジンの作動に伴う損失も大きくなるために6気筒を採用しました。6気筒ではエンジンを横向きに搭載する前輪駆動は困難なので、縦向きに積む後輪駆動を採用しました。

このほか後輪駆動であれば、前後輪の荷重配分のバランスが良くなり、加速時には荷重が後輪に加わるから駆動力の伝達効率も高まります。後輪駆動ならフロントピラー(柱)と前輪の間隔が広がり、ボンネットの長い「魂動デザイン」の表現にも適しています。いろいろなメリットが生じるために、後輪駆動を採用しました。

マツダ 新型CX-60、現在の納期状況

そこで新型CX-60を試乗しましたが、試乗車は直列6気筒3.3Lディーゼルにマイルドハイブリッドを組み合わせたXDハイブリッドのみです。ハイブリッドを装着しない3.3Lディーゼル、直列4気筒2.5Lガソリン、2.5LガソリンをベースにしたPHEV(プラグインハイブリッド)は、生産開始が遅いために今回は試乗できておりません。

販売店に納期を尋ねると「2022年9月上旬に契約した場合、XDハイブリッドの納期は年末から2023年1月ですが、そのほかのパワーユニットは2023年の2月から3月」とのことです。2022年9月上旬時点で、PHEVの動力性能やWLTCモード燃費は未定とされており、グレードを選びにくい面があります。

マツダ 新型CX-60の内装

新型CX-60の内装は、グレードに応じて格差が大きいです。電動機能を搭載しないガソリンエンジンやディーゼルに用意されるベーシックなSパッケージは、内装の造りがCX-5のプロアクティブに近いです。今回試乗したXDハイブリッドのエクスクルーシブモダン(505万4500円/4WD)、プレミアムモダン(547万2500円/4WD)は、電動機能を備えないディーゼルのXD・Sパッケージ(380万6000円/4WD)に比べて価格が120〜160万円以上も高いですが、内装の質が大きく向上し、装備も充実しています。

特にプレミアムモダンのインパネには「掛縫い」と呼ばれる日本ならではの表現を採用しました。シート生地も、エクスクルーシブモダンとプレミアムモダンは、ナッパレザーで上質に仕上げています。

ATレバーの操作方法には注意が必要

新型CX-60のインパネで注意したいのはATレバーです。P(パーキング)レンジから左側に動かすとR(リバース/後退)レンジに入り、そこから手前に引くとD(ドライブ/前進)レンジにシフトされます。慣れるまでは操作がしにくく感じることもあるでしょう。

前席の座り心地は、シートのサイズに余裕があって快適です。腰から大腿部を少し硬めに仕上げて、長距離を移動する時も疲れにくいです。

後席も良好です。CX-5に似た印象で、体がシートに沈む柔軟な座り心地ではありませんが、腰をしっかりと支えてボリューム感が伴います。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ分です。CX-5と同程度ですが、後席に座る乗員の足が前席の下側に収まりやすく、ゆったりとしています。

乗降性は悪くないですが、SUVとしては、ドアの開口部の上下寸法が少し足りません。頭を若干下げて乗り降りします。

荷室はSUVとあって床が高めです。重い荷物を積む機会の多いユーザーは、販売店の試乗車などで、荷室床面の高さを確認しましょう。

マツダ 新型CX-60のパワートレイン(動力源)

新型CX-60 XDハイブリッドが搭載する直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボは、低回転域から高い駆動力を発揮します。発進して1500回転に達すると、ターボの過給効果が感じられ、ディーゼルとしては吹き上がりも活発です。

フル加速時には、ATのシフトアップは、4000回転を超えた領域で行われます。アクセルペダルを踏んだ瞬間に、蹴飛ばされるような加速が生じるディーゼルらしい設定ではありませんが、ATが8速なので、高回転域を保ちながら効率良く速度を上昇させます。

動力性能は満足できますが、気になったのはエンジンノイズです。直列6気筒ですが、2000回転以下ではディーゼルの粗い音質が響きます。ディーゼルに不慣れなユーザーは、確認した方が良いでしょう。

また低回転域で巡航中にアクセルペダルを踏み増すと、ATがシフトダウンして速度を上昇させるまでに、若干の時間差が生じます。CX-60の8速ATは、トルクコンバーターではなくクラッチを使っており、速度の微調節はしやすいですが、滑らかさでは少し見劣りします。

マツダインテリジェントドライブセレクトでスポーツモードを選ぶと、アクセル操作に対する反応が機敏になります。以前のマツダはこのような演出を「運転感覚が不自然になる」という理由で控えていましたが、新型CX-60では考え方が少し変わってきたように思えます。

カーブを曲がる時の運転感覚にも違いが見られます。新型CX-60のサスペンションでは、ブレーキを作動させた時にボディの前側だけが下がらず、後ろ側を含めてボディ全体が平行に下側へ沈むような挙動を発生させます。

この前後方向の揺れを抑える制御は、同乗者の快適性を高めてクルマ酔いを防ぐ効果を発揮しますが、ドライバーは慣れを要します。峠道などのカーブに入る手前で減速した時、ボディが前側へ傾かないと、前輪に荷重が加わっていないように感じるのです。そのために前輪が外側へ滑り、旋回軌跡が拡大するような不安が生じます。実際には前輪に荷重が加わって問題なく曲がりますが、前後方向の揺れを抑えたことで、一種の錯覚が生じて荷重移動を実感しにくいです。

慣れるとこの違和感も解消されて軽快に良く曲がりますが、後輪の接地性はもう少し向上させて良いでしょう。危険を避ける時など、状況に応じて後輪の横滑りを誘発する面があります。そこが後輪駆動的な挙動ともいえますが、今は安定性を重視する設定が主流です。

試乗車のタイヤサイズは20インチ(235/50R20)とあって、乗り心地が硬めです。段差を乗り越えた時の突き上げ感は抑えましたが、路上の細かなデコボコを伝えやすいです。XDハイブリッドの車両重量は1900kgを超えるため、18インチではカーブを曲がる時にタイヤの歪みが生じるかも知れませんが、19インチならちょうど良いでしょう。20インチは外観のカッコ良さを重視したサイズで、乗り心地を悪化させます。

マツダ 新型CX-60はCX-5から上級車種へ移行を考えているユーザーに最適

以上のように新型CX-60は、車内の広さなどの実用性はCX-5と同等ですが、ディーゼルエンジンの力強い駆動力と、後輪駆動を感じさせる機敏な運転感覚が特徴です。上級グレードは内外装も上質で、趣味性を強めました。マツダ車の走りやデザインが好きで、さらに上級車種へ移行したいユーザーには最適でしょう。また同乗者に配慮した前述のサスペンション設定など、マツダの新しい価値観に触れることもできます。

マツダ 新型CX-60の価格・燃費・おすすめグレード

グレード選びですが、今回試乗したディーゼルのマイルドハイブリッドは、価格が少し割高です。WLTCモード燃費は、XDハイブリッドが4WDを搭載して21.1km/L、ノーマルタイプのXD・4WDは18.5km/Lですから、燃費向上率は14%に留まります。それなのにマイルドハイブリッドの正味価格は約40万円なので、燃費向上率が50%を超えるフルハイブリッド並みです。新型CX-60では、PHEVを含めて、モーター駆動を併用するグレードは価格が割高です。

従って新型CX-60の買い得ベストグレードは、ノーマルタイプのディーゼルを搭載するXD・Lパッケージ・2WD(400万4000円)です。この価格帯にはトヨタ ハリアーハイブリッドG・2WD(400万円)、日産 新型エクストレイルe-POWER・G・2WD(429万8800円)、スバル レガシィアウトバックXブレイクEX(414万7000円)などが用意され、上級SUVの激戦区です。競争に勝ち抜くためにも、新型CX-60・XD・Lパッケージでは、価格を割安な設定に抑えています。

[筆者:渡辺 陽一郎 撮影:小林 岳夫]

マツダ/CX-60
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新車価格:
322.3万円646.3万円
中古価格:
288.5万円663.3万円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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