「あぁ、BMWって素晴らしい!」/“愛すべき”魅力あるクルマ達を絶賛する【試乗】(4/5)
- 筆者: マリオ 高野
- カメラマン:青木禎之
BMWならではのハンドリングも健在
エンジンの気持ち良さを語るとキリがないので、次へ行きましょう。
BMWのスポーティなフィーリングは、エンジンのみならず、やはり今でもハンドリングでも別格感があります。最近はSUVはおろかミニバンでさえハンドリング面の不満が少ないクルマが増えたほどですから、スポーティさを訴求する系のセダンやクーペでハンドリングがダメだと指摘したくなるクルマはほとんどなくなりました。
その背景には、多くのメーカーがBMW風味のハンドリングの影響を強く受けてきたことが大きいと思われますが、これだけハンドリングが優れたクルマが激増してもなお、BMWはハンドリング面のアドバンテージもいまだに大きいことを実感します。
足を固めてロールを抑え、ハイグリップタイヤを履くだけで得られたようなスポーティさとは一線を画す「口パクLIVEではないホンモノ感」は、ハンドリングからも感じられるのでした。
M2のような過激な性能ながら、快適な乗り心地も両立
この自然な動きをもたらす大きな要因は、やはり伝統の50対50の前後重量配分にあるのでしょう。
通常時は前後のどちらにも偏っていないため、前後のどちらにも荷重移動がしやすく、かつ早く移動できるところが自然なニュートラル感をもたらします。エンジンの気持ち良さもさることながら、究極に自然な動きをみせるシャシーがあってこそ、エンジンの気持ち良さもより濃厚に感じられるのでしょう。
この自然な動きはエンジンの出力が上がっても基本的には変わらず、BMWのハイパフォーマンスモデルは、FR車の中では飛ばしても怖くない度ナンバーワンといえます。
M235iは、これがM2ですと言われても疑わないほど速く、過激な性能を備えていますが、どこまでもドライバーフレンドリーなので、峠道などでは運転スキルに関係なく頭の中が真っ白になる恍惚の境地に浸れます。
タイトコーナーでは、安定性を損なわず、恐怖を感じさせない範囲で後輪が微妙にウズウズしてくる様子をドライバーは自分のお尻で感じ取れることができるなど、クルマがドライバーに伝える情報量が多くて濃密なところも「らしさ」でしょう。実際にはやりませんが(私にはできませんが)、俺でもこのままドリフトできそうだというイメージをリアルに抱かせてくれるクルマは高揚感がケタ違いに大きくなります。
これほどのハンドリングでありながら、乗り心地は2ドアながらファミリーカーとしても使えるレベルで快適であることも仰天ポイントです。
その乗り味は、クルマ好きを“悶えさせる”
アダプティブMサスペンションは、一番ハードな状態でも硬さが気になりません。M235iはランフラットタイヤではなくミシュランのパイロットスーパースポーツを履いていることも乗り心地の良さに影響しているのでしょう。
細かい部分では、ステアリングの復元力の強さや踏力に応じた制動フィールの変化など、守旧派のクルマ好きが気にするポイントについてもエクセレンス級。
燃費は、エコランを実施しないで市街地をタラタラ転がした時でも7.5~8km/L程度は記録(エコランを実施すれば12km/Lぐらい)できたので、スポーツモデルとしては文句なし。
ただし、車両の静止状態で操作した時は甘美の極みと思えたMTの操作感は、走り出すと多少印象が変わってしまいます。並以上の感触ながらも、「縦置きの直6」から期待するほどのダイレクト感が得られない場面が多々あったのは惜しまれました。
総じてM235iは、当代きっての「クルマ好きを悶えさせる乗り味が堪能できるマシン」として、大激賞せずにはいられないのでありました。
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