スズキ 新型エブリイワゴン 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志/茂呂幸正
国産乗用車メーカーの半数がOEMを扱うモデル
スズキの軽自動車といえば、「ワゴンR」や「ハスラー」、先ごろターボRSを加えた「アルト」などを連想するが、今回取り上げるのはエブリイワゴンだ。軽商用バンのエブリイをベースに開発されたワゴンになる。バン仕様と併せて、2015年2月にフルモデルチェンジを受けた
今は軽自動車の人気が高く、新車販売されるクルマの約40%に達したが、軽自動車の約20%は商用車が占める。
しかもエブリイと同ワゴンは、ほかのメーカーに供給されるOEM車が多い。ワゴンであればマツダ「スクラムワゴン」、日産「NV100クリッパーリオ」、三菱「タウンボックス」として3メーカーに供給される。日本の乗用車メーカーは8社だから、半数がエブリイワゴンかそのOEM車を扱うわけだ。
トヨタ「ヴェルファイア&アルファード」を上回る車高
新型エブリイワゴンの外観は、先代型に良く似ている。新旧の写真を比べると、間違いを探すクイズのようだ。商用車は荷室の広さが重要だから、ボディやドアパネルは直立させ、フロントウインドーと前席はなるべく前へ押し出したい。となれば先代型と変えようがないのだ。
それでも細部は異なり、新型ではラジエターグリルが直線的になった。ヘッドランプの上端部分は少し切り上げて、にこやかだった表情に適度な引き締まり感を与えている。
ボディサイドでは、サイドウインドーの前端が少し下がり、ドアミラーの視認性を向上させた。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は30mm拡大されて2430mmになり、若干の違いではあるが視覚的な安定感も増している。
軽自動車だから全長と全幅は変わらず3395mm/1475mm。全高は標準ルーフが20mm高まって1815mm、ハイルーフは30mmプラスされて1910mmになった。全高はトヨタ「ヴェルファイア&アルファード」を上まわるほどだ。
スライドドアの開口幅は、ホイールベースの拡大によって15mm増えて775mmになる。スズキ「スペーシア」の580mm、ホンダ「N-BOX」の640mmよりも大幅にワイドだ。
ちなみにスライドドアの開口幅を広く取れたのは、ボディの側面が長いから。エンジンはボンネットの内部ではなく、前席の座面の下に搭載する(ホンダ「バモス」は荷室の床下)。そのためにフロントウインドー、前席、フロントドアが前進して、スライドドアの開口幅が広がった。もちろん車内の後部も広い。
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