フォルクスワーゲン e-up! 海外試乗レポート/川端由美(1/3)

  • 筆者: 川端 由美
  • カメラマン:フォルクスワーゲンAG
フォルクスワーゲン e-up! 海外試乗レポート/川端由美
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キュートな外観は保ったままに、「up!」がEV化!

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あれは、もう6年も前のことだ。2007年のフランクフルトショーで「up!」をひと目みた瞬間、恋に落ちた。当時はエンジンをリアに搭載し、フロントから空気を取り入れる必要がないからという理由でグリルがなく、その代わりにニカッと笑ったような顔立ちを得た、と聞いた。クルマ好きのおじさまたちの中には、すわ、「ビートル」の再来か!なんて盛り上がった人もいた。

でも、私は違った。まだ若く、昔を振り返ることを知らなかったから、断然、「up!」そのもののオリジナリティと可愛らしさに恋い焦がれた。……なんて、フランソワーズ・サガンの小説のような(?)出足を書いてしまうほど、私にとって最初に「up!」が登場したときの衝撃は大きかった。市販版ではフロントエンジンになったが、あのキュートな外観はほぼ保ったままだったことが嬉しかった。自動車デザイン界の鬼才、ワルター・ダ・シルバだからこそなせる技だろう。

でも、何かが少しだけ違う、そんな気持ちがあった。そんな私にとって、元々のコンセプト通り、“フロントに(もちろん、リアにも)”エンジンが搭載されていない「e-up!」との出会いは、初めて合うのにまるで初恋の人に再会したかのような感情がこみ上げてきた不思議な瞬間だった。まあ、そんな勝手な思い込みをして、嬉しがっているのは私くらいかもしれないが。

現在の価格は高めだが、量産効果での電池価格低下に期待

フォルクスワーゲン e-up!
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さて、個人的な思い入れはこれくらいにして、その本質をみていこう。いきなりお金のことをいうのもなんだけど、サガンのように処女作の印税でアストンマーティンを買える身分ではないので、価格はいくらなのか、電費がどれくらいなのか気になる。

ハッキリ言おう。価格は2万6900ユーロ(約350万円)と、エンジン車の「up!」の1.5〜2倍、今の日本のEV相場からするとちょっと高め。日本では補助金を考えると、300万円以下で手に入る可能性が高いが、ライバルは三菱「i-MiEV」の廉価版が260万円(補助金62万円支給で、実質198万円)、今年どーんと値下げした日産リーフが298万935円(補助金78万円支給で、実質220万935円)。

ただし、VWグループ初のEVであることを考えると、今後に期待ができる。というのも、来年にはアウディがPHVの「A3 eトロン」を、フォルクスワーゲンは「eゴルフ」を、それぞれ発売する予定があり、グループ全体でEVやPHVに力を注ごうとしている。世界有数の巨大自動車メーカーがリチウムイオン電池を使いはじめれば、量産効果で電池価格が大幅に下がるはずだ。

フォルクスワーゲン e-up!

100km走って消費する電力は11.7kWhと言われてもピンとこないので金額に換算すると、ドイツの電力価格では3ユーロ/100km。ドイツなら20km/L走るクルマでも100km走るには約8.5ユーロ(約1100円)、日本でも800円以上になる計算だから、かなりオトク。既存のEVの中で最も電費の好いフィットEVに僅差に迫り、市販EVとしては世界最高の燃費性能を誇る。

次に気になるのは修理代。EVの中でも突出して高いリチウムイオン電池が壊れたら大変な出費だ。電池の寿命は、走行パターンや充電環境によるところが大きい。正直なところ、市販第一号車の場合、十分なデータの蓄積がないだけに予測がしにくい。「e-up!」の電池には8年間/16万kmの補償が付いていてる。

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川端 由美
筆者川端 由美

1971年生まれ。大学院 工学専攻 修士課程修了。1995年住友電工にて、カーエレクトロニクスやタイヤの研究にたずさわる。1997年、二玄社『NAVI』編集部に編集記者として転職。2004年からフリーランスの自動車ジャーナリストとなる自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開する。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員ほか。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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