フォルクスワーゲン e-up! 海外試乗レポート/川端由美(3/3)

  • 筆者: 川端 由美
  • カメラマン:フォルクスワーゲンAG
フォルクスワーゲン e-up! 海外試乗レポート/川端由美
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3段階の回生調節で、マニュアルで変速しているような気分になれる!

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とはいえ、EUモードで走行可能な距離が最大160kmと聞くと、電費も気になる。ある程度スピードがのった段階で、シフトレバーの近くにある「eco」と書かれたボタンを押して最高出力50kw/最大トルク167Nmに絞って走る。さらに、もう一回押せば、「eco+」モードになって、出力は40kW/133Nmまで絞られる。当然、最高速もノーマルの130km/hから、ecoモードでは120km/hに制限される。なお、、eco+モードはどうしても走行距離を伸ばしたいときのエマージェンシーと考えるべきだろう。というのも、最高速は95km/hに抑えられて、エアコン・レスになるほどの徹底したエコ走行だからだ。

欧州では珍しいことに、今回の試乗コースは信号機が多く、ストップ&ゴーの連続だった。さすがに日本市場も意識しているというだけあって、「e-up!」はこの点でも抜かりがない。赤信号が目に入ったときには、ブレーキを踏むのではなく、シフトレバーを手前に倒してBモードに入れると、減速Gが最大になり、最大で40kW(100km/h時)ものエネルギー回生が可能だ。つまり、従来のブレーキでは熱として捨てていたエネルギーを、電気的に回生して再利用する仕組みがかなり細やかに備わっている、というわけだ。

面白いのはここからだ。回生を強めて低電費走行をするなんてことは日本車メーカーもすでにやっている。e-up!が面白いのは、Bモードほどではないものの、シフトヘッドを左に傾ければ3段階で回生を強めることができる点だ。単に低電費を狙うのではなく、擬似的に変速をすることで、マニュアルで変速しているような気分になれる。

アクセルやブレーキなどの操作ではエコランを意識しつつ、しっかり流れに乗って加速をして、113kmを走った結果の電費は11.1kW/100km。計算すると、18.7Whのリチウムイオン電池を使い切れば、168km走ることができる。今回のエコランで最も優秀な電費を叩きだしたオーストリアのジャーナリストの9.3kW/100kmで換算すれば、200km以上もの走行が可能という計算になる。

e-up!はチャデモ採用するのか?

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巡行距離の次に気になるのは充電時間。ヨーロッパで一般的な200V電源で9時間、3.6kWでの入力が可能なウォールボックス型なら7時間でフル充電できる。

欧米が推奨するコンボ方式による急速充電にも対応し、30分で80%まで充電ができる。日本でも来年には発売されることが決まっているが、日本のチャデモ方式への対応をするかどうかが販売の行方を占う鍵になるだろう。というのも、BMW「i3」やテスラ「モデルS」は、日本仕様車ではチャデモ方式の採用を明言しているからだ。

世界的にも、日本の急速充電器の設置数は群を抜いており、コンボはまだ運用実績が乏しいのに対し、チャデモはかなり実績もある。こと日本国内に関しては、チャデモ方式に対応して利用する方が懸命との判断だ。

正直なところ、まだエンジン車と比べたら割高だし、走行距離も160kmでは心もとない。とはいえ、2018年までに世界最大の自動車メーカーを目指すと公言するフォルクスワーゲンが、小さなup!で電化に向かって大きな一歩を踏み出したことは自動車業界にとって重要な変化だ。そしてなによりも、「e-up!」をドライブして、エンジン車とは違ったドライビング・プレジャーを感じられたことが嬉しかった。

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川端 由美
筆者川端 由美

1971年生まれ。大学院 工学専攻 修士課程修了。1995年住友電工にて、カーエレクトロニクスやタイヤの研究にたずさわる。1997年、二玄社『NAVI』編集部に編集記者として転職。2004年からフリーランスの自動車ジャーナリストとなる自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開する。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員ほか。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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