フォルクスワーゲン Eos 海外試乗レポート(3/3)

4シーターのクーペカブリオレモデルらしい性格の持ち主

試乗となると、まずきちんと乗れるのかが、身長161.5cmの私としては気になるところだが、Eosは他のフォルクスワーゲンと同様しっかりとポジションを取ることができた。ちなみに、電動シートとマニュアル操作シートの両方に試乗したのだが、どちらも十分納得できるレベルのポジションが取れたのでまずはひと安心である。

オマケにフォルクスワーゲン初となる、電動式のイージーエントリーシステムも用意されている。これは運転＆助手席のシートポジションをメモリーできるものなのだが、2ドアクーペという性格上、後席に人を乗せるときは当然前席を動かさなければいけないわけで・・・。この辺りを考えて設定された装備のようだ。

その後席だが、ヘッドクリアランス的にはさすがに厳しく、175cmの身長の日本人でギリギリといったところ。しかし、横方向にはしっかりと広い。よくありがちなエマージェンシーシートではなく、フルサイズのものが採用されているので、背もたれは若干立ち気味なものの、ロングドライブもこなせるハズだ。乗降性に関しては、さすがにクーペなのでドアが大きいし、サイドシルなどもしっかりしているのでタイトミニスカートだと少々大変かもしれないが、オープンモデルにありがちな頭を避けなければ乗り降りできないといったことはない。これも5分割機構式のルーフのおかげで、フロントウィンドウフレームを短くできたため。乗り降りの際に気を使う必要がないばかりでなく、乗っていてももちろん開放感は高い。

さて、いよいよ走り出すことになるワケだが、今回は2Lターボエンジンとディーゼルモデルの試乗となった。ちなみに本国では、4気筒直噴ガソリンエンジンが3種類、V6エンジンが1種類、ディーゼルエンジンが1種類と、都合5種類のエンジンが用意されているが、そのうち日本への導入は4気筒直噴2Lターボエンジンと、V6エンジンモデルとなる。

200psを発揮する2Lターボ、250psを発揮するV6となると、つまりはゴルフGTIとゴルフR32と同じエンジンがやってくるというワケだ。今回ギリシャでの試乗では、いずれも6MTモデルだったが、日本にやってくるのはDSGになる予定。実際のところこの6MTはすこぶるなめらかフィーリングというわけではなかったので、Eosの性格を考えてもDSGのほうが似合うはずだ。 というのも、最近フォルクスワーゲン車をイメージすると、スポーティという単語が浮かんでくる人が多いのだと思うのだが、Eosは決してスポーティテイストバリバリのクルマではないからである。

ボディサイズは、全長4,407m×全幅1,791mm×全高1,443mmと全幅が広め。トレッド幅もフロント1,545mm、リア1,553mmとワイドである。ちなみにホイールベースは2,578mm。このディメンションのおかげで、安定感と乗り心地のよさは抜群なのだが、パッケージングからして、4シーターのクーペカブリオレモデルであるから、決してスポーツマインド溢れるロードスターではない。したがって、乗り心地は235/45R17という扁平タイヤを履いているとは思えないほど、すこぶるソフトライド。デコボコを乗り越したときも、カツンというショックなどはまるで伝わってこないのだ。

逆に、フロントの接地感が若干少ないので、スポーティに峠を攻めるには向かない。どちらかと言えば、まだ生産が始まっていないV6エンジンモデルのほうが前後の重量配分的にはバランスがいいのかもしれない。ただし、同じV6エンジン搭載車でも、R32は4モーション、EosはFFとなる。この辺りもこのクルマの性格を表していると言えるだろう。 しかし、ゴルフGTIでお馴染みのパワートレインもパワー的にはまったく申し分なく、ゆったり余裕を持って走らせることができるし、ハンドリングも非常に素直なので、心地のよさは抜群である。エーゲ海の青い海を眺めながらのドライブは、一生の思い出になりそうだ。