【ahead femme×オートックワン】-ahead 2月号-ダカール ラリー2012日本人の闘い(3/4)
- 筆者:
”怖さ”それはこの競技に必要なもの
第6ステージからはコースがチリに移る。フィアンバラからアンデスを超えてチリのコピアポに至る第6ステージは、雪のためSSは取りやめ。641kmのすべてが移動区間となった。
翌日はコピアポをスタートとしてコピアポに戻るループコースで、難易度の高い砂丘。三橋組は終盤に他の車両と接触してパンク、砂上での交換にやや時間を要するがそれ以外は順調に走破。菅原義正組はクラス3位、菅原照仁組はクラストップ、三橋組も同じくクラス首位で前半戦を終える。
オート部門ではすでに48台が戦線を離脱しており、モト部門では55台、トラック部門では6台がリタイアしている。
中間休息日を挟んで、第8ステージから、チリの最終行程となる第11ステージまでは、菅原照仁組、三橋組ともに2位以下とのタイム差を広げるなどリードを拡大した。一方、菅原義正組は第8ステージから第10ステージの3日間はやや苦戦を強いられた。
中間休息日明けのその日、菅原氏は初めて高血圧を抑える薬を飲む。その影響か、競技区間中に何度もトイレのためにストップすることとなり、思うようにタイムを伸ばせなかった。
今大会最長606kmのSSとなった第9ステージ。砂丘の中でまずラジエーターが故障する。応急処置を施して出発するが、今度はパンク。砂丘の中で、100kgもあるタイヤを交換するのは大仕事だ。体力も奪われる。ドライバーとナビ、協力しあって交換を済ませて、気持ちを入れ替え、再度スタート。
しかしその後、ミスコースを喫し、5、6kmほどをロス。最後のチェックポイントを迎えたところで日没となったため、安全のためにペースダウンし、午後11時頃、ゴールした。
第10ステージ、元気にスタートした菅原組であったが、砂丘でまたもやパンク、そのあと砂丘のてっぺんでスタックしてしまったが、幸い、通りかかった他チームのトラックに引っ張ってもらって脱出。この日も深夜、無事にゴールするが、、杉浦ナビにとって、「このままだとどうなっちゃうんだろう」と不安になるような3日間であった。
しかしペルーに入ってからの終盤、しっかりと調子を盛り返し、大会のハイライトとなるような大砂丘で、ナビに「本格的な大砂丘の走りを堪能できました」といわしめるのは、さすがベテランなのである。
(菅原照仁氏のコメント)
ドライバーとしては今年7回目の参戦ですが、この競技には「怖さ」は常に必要だと思います、恐怖心ではなくてね。何が起こるか分からない、そのことに対する怖さと言うか…。
調子のいい時もただイケイケになっちゃったらまずいわけで。そういう意味では、ここ数年、「危ない!」とか「さっきのはヤバかった!」ということはなくなりましたね。それでも常に、意識して「怖さ」を持つようにしています。
14日間は長いですねとよく言われますが、あまりそういう意識はありません。昔は20日間もあったので、その分余裕があるのかも知れません。
今大会では後半の第11ステージでクルマが走れなくなるというトラブルが出ましたが、それ以外はほぼノーミスで走りきりました。それは全競技期間を通じて、体調、メンタル面ともにコンスタントにいい状態に保てているからだと思います。「コンスタントに」というのはとても大事で、たった一日でも、たった一度でも大きなミスをすると結果に大きく影響するのがこの競技。だから1年の大半を、ダカールラリーのこの14日間に照準を当てて、日々を過ごしています。
例年そうですが、後半に向けてどんどん順位が良くなるのは、自分が追い上げているわけではなくて、他のクルマが順位を落としていくからです。総合の順位でより上位を目指すためには、運転の技術だけじゃなく、クルマの性能をもっと上げていく必要があると思っています。
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