【ahead femme×オートックワン】-ahead 2月号-ダカール ラリー2012日本人の闘い(2/4)
- 筆者:
投石、横転。初盤に事件は起きた
第2ステージ。この日はサン・ラファエルに向かう782kmの行程(リエゾン487km/SS295km)。競技区間が始まって間もなくの37km地点だった。
両側の台地が高くなった切り割りの底にある道を走っているとき、突然、菅原義正氏の正面のフロントウィンドウにこぶし大の石が激突。ガラスが割れ、飛んだガラスで顔を負傷した。ガラスの破片はシートの背中や足の下にまで飛び散るが、競技中であるゆえ、痛みに堪えてそのまま走り続けた。
観客の投石によるものだったらしい。
観客に悪気はなく、かつてはアフリカでも同様のことが起こっており、ダカールラリーでは決して珍しくないことだという。幸い菅原氏の傷は大事に至らず、割れたフロントウィンドウはビバークで交換。人もクルマも事なきを得た。
アンデス山麗をめぐる山間コースとなった第3ステージを日本人参加者は手堅くこなし、オート、カミオンともにクラス首位に浮上する。
しかし翌日の第4ステージ。TLCの寺田/田中組はSS中に激しく横転。何とかゴールするものの車両のダメージが大きく、リタイアとなった。
4日目にして、4台中1台を失った日本勢であるが、第6ステージ、アルゼンチンでの山場となる”白い砂漠”フィアンバラを果敢に疾走した。
40度を超える酷暑の中、柔らかいパウダーサンドが覆う大砂丘は傾斜もきつく、こんなときはオーバーヒートがネックとなる。
2台の日野レンジャーはオーバーヒートの兆候も無く手堅くゴール。TLCの三橋組はスタックなしでクリアするが、ゴールまであと数キロというところで水温が上昇。大事を取って5分ほど停止し、エンジンを冷ましてからゴールに向かった。
菅原照仁組はトラック部門総合18位/10リッター未満クラス1位、菅原義正組は総合25位/クラス4位。
TLC三橋組はオート部門総合25位/市販車部門1位でアルゼンチンステージを終えた。
(寺田昌弘氏のコメント)
時速140kmで長い直線を走っていた時、緩やかに左へ曲がるコーナーが見えました。若干減速しながら進入していくと、しかしそのコーナーは予想以上に大きく、しかも急な下りになっていました。減速が足りずコースアウト。7mくらいの崖を横転しながら落ちました。その時点でボディの損傷は大きかったのですが、二人とも無事で、エンジンも掛かったので、そこから川渡りやフェシュフェシュ(パウダー状の柔らかい砂)をクリアし、ゴールまで突き進みました。
が、ビバークでメカニックがチェックしたところ、ロールバーが曲がり、一部が破断していたため、安全上のレギュレーションからリタイアを余儀なくされました。実はルートブックには、その場所にコーション2のマークがあったのですが、ナビが見落としました。
とはいえ、「長い直線の後にコーションがあれば必ずルートブックに記載があるはず」と思い込んでいた私のミスです。昨年より格段に速く走れるようになったことで慢心していた自分が悔やまれます。
献身的にドライビングを教えてくれた三橋ドライバーに、恩返しの気持ちを込めて、万一のクイックアシスタントになろうという気持ちが強すぎて、空回りしてしまったのかも知れません。
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