86supercharger試乗レポート/今井優杏 ~TOM'S製スーパーチャージャーを搭載したTeam Netz特別コンプリートモデル~(2/4)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志
ディーラーで買える信頼の部品およびキット
今さら言うまでもないが、トヨタのスポーツカー不在時代を打破するモデルとして、2012年4月に登場した86は、発売以来、トヨタのスポーツカー部門の秘蔵っ子として、同社から格別な寵愛を受け続けてきた。
その親心に応えるべく、トヨタの肝煎りモデルにしては圧倒的台数ではないものの、確固たる居場所・存在感を持つクルマとして地位を築いているのだが、その理由のひとつとしては同社も発売当初から推奨してきたとおり、サードパーティーと呼ばれる社外部品メーカー、つまりアフターパーツを作るチューナーが多くのパーツを売り出し、マーケットの盛り上げに一役買っていることが挙げられると思う。
個性的なクルマをさらに個性的に乗りたいと思うのはクルマ好きの常だが、意外とチューニングやドレスアップの世界のドアは気軽な気持ちでノックできるものではない。
チューナーの数も情報もあまりにも膨大だし、一見しただけなら部品やパーツの信頼性が解りにくいからだ。『これ、かっこいいけど車検通るのかな』『信頼性や耐久性はどんな?』なんて疑問が浮かんで来たら、容易にネット注文することもためらわれるだろう。
そこで先述のTOM’Sのような『ディーラーで買える信頼の部品およびキット』だ。
これならディーラーでメンテナンス出来るという購入後の信頼性もさることながら、新車購入の際にそれらを購入し、納車時にすでに組み込まれた形で受け取ることが出来るのもメリットだ。
さらに今回の『TEAM NETZ』のコンプリートカーならば、『パーツを一個一個買うと奥方に怒られそう……』と心配をなさる方でも、『こういうモデルが出たんだよ!』とその内情を説明せずに相当なチューニングが施されたコンプリートモデルをグロスで購入できるという、大人の事情をも網羅する利点もある、かもしれない。
86 オートックワン号
さて、TOM’S製のスーパーチャージャーといえば、忘れてはいけない我らがピンパチくんである。
熱心な読者諸兄なら記憶に新しいと思うのだが、オートックワンでは編集部仕様の86をTOM’Sと組んでチューンアップし続けてきたのだ!
ピンク86=ピンパチ号には実は、TOM’S製スーパーチャージャーのプロトタイプが組み込まれていて、ボンネットを開けると手作り感満載なそれが露呈していた。
過給も荒く、コンピューターチューンも充分でなかったので、キュンキュン・キンキンとよく回るスーパーチャージャーの楽しさは充分に堪能出来ていたのだが、あまりのピーキーさに扱いづらいところもあったのは事実だ。
1年間もの歳月をかけてじっくり開発
製品化されると聞いて、試乗会場で一番最初に気になったのがエンジンルーム。
開けてみると、そこには超美しいスーパーチャージャーが、まるで竹の中に座るかぐや姫のごとく、楚々とかわいらしく納められていたのである。
プロトタイプのように無理やりねじ込んだ感もないし、『配線にめっちゃ気ィ使いましてん!』的な無理矢理感もない。まるで最初から、ソコに納められるスペースがあったかのよう。
86はエンジンルームがかなりタイトなので、発売当初はスーパーチャージャーさえも入らないのではないかと邪推されていたが、このボンネットをあければ見た目にこだわる人でも納得の仕上がりだと言えよう。
ちなみにピンパチにプロトタイプのスーチャーが装着されたのは約一年前。ここまで仕上げるのに1年間もの歳月をかけてじっくり開発されたのだと思うと、なんだか有り難みも増すではないか。
この記事にコメントする