新型「プリウスPHV」はエコカーの今後を占う試金石、日本でEV普及なるか(2/2)
- 筆者: 桃田 健史
この新型プリウスPHVが売れなければ、EVは当分売れない
逆の見方をすれば、新型「プリウスPHV」が売れなければ、日本でのEV普及は相当遅れるということだ。
トヨタとしては、累計1000万台に達したハイブリッド車という「母数の顧客」に、トヨタが目指す究極のエコカー「燃料電池車」に向けてステップアップしてもらいたい、という願いがある。高度成長期の「いつかはクラウン」のように、「いつかは燃料電池車」とでも表現すればよいだろうか。
当初、トヨタはもっと早く、ハイブリッド車からプラグインハイブリッド車のステップアップのトレンドが生まれると予想していた。
2012年1月の初代「プリウスPHV」発売当時、そうした「希望と期待」をトヨタ側は示していた。しかし、結果的には、初代の累計販売台数は日本国内で2万2000台、グローバルで7万5000台にとどまった。つまり、1000万台というハイブリッド車の母数に対して、0.75%と1%以下という厳しいい現実である。
HVとPHVの「壁」を超えることができるか
こうした、初代「プリウスPHV」が売れなかった理由について、トヨタは徹底的な調査を行い、その教訓を目いっぱい、新型に反映させた。そのため、新型は「プリウス」に比べてさらに先進性を増したスタイリング、急速充電や太陽光による充電装備、さらに大型11.6インチのモニターによる最新型のコネクテッドカー装備など、各種装備の「てんこ盛り」で登場した。
プリウス「PHV」が、ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車の「壁」を超えない限り、EVも、燃料電池も、本格的な普及は見込めない。米テスラや、日産など、EV事業を強化する自動車メーカーはあるが、1000万台という「母数」を持つトヨタの底力には敵わないかもしれない。
新型「プリウスPHV」、世界のエコカーの今後を占う試金石になることは間違いない。
[Text:桃田健史]
この記事にコメントする