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自動車評論家コラム 2010/2/12 18:46

プリウスのリコール問題について/松下宏のコラム

プリウスのリコール問題について/松下宏のコラム

プリウスのリコール問題について/松下宏のコラム

トヨタ プリウス

毎月前半のコラムは販売ランキングを書いていたが、今月は大きな問題になったプリウスのブレーキ問題について感想を書いておきたい。

まず、指摘されていたようなブレーキ抜けの現象は、私の試乗時には発生することがなかった。プリウスの試乗はドライのオンロードだけだったので、ABSが作動するような滑りやすい路面での軽いブレーキングという状況に遭遇することがなかったためだと思う。

また、一人で試乗するときには、ブレーキは大抵強めに踏んでいる。もし助手席に誰か乗っていたなら、その人への配慮で軽めにブレーキするが、ふだんはしっかりブレーキを踏むことを心がけているので、ますます今回指摘されたような状況にはなりにくかったのだと思われる。

試乗時にこうした現象を確認できなかったのは、自動車評論家として正直に言ってかなり悔しい気持ちだが、メーカーが用意した試乗車でこの現象を確認できるくらいにまで走り込むのは現実には難しいという言い訳をせざるを得ない。それもまた残念なことだ。

温暖な首都圏などで考えると、今回の事例は雪道などでないと簡単には発生しない特殊な事例のように思われるが、新型プリウスは1年足らずの間に20万台近い売れ行きを記録しただけに、そのユーザーが雪道を含めてさまざまな路面で色々な走り方をすれば、数十件くらいは発生する現象だったようだ。

トヨタがプリウスの開発を進める過程でも、さまざまな路面において何十万km、あるいは100万kmを超えるような距離を走行しているはずで、開発中にも今回指摘されたような現象が発生するシーンもあったと思うが、それが言われるような「フィーリングの問題」として片づけられていたのかどうか、このあたりがやや気になる部分だ。

日本はリコール=欠陥車という認識

いずれにしてもクルマを仕上げるには、少しでも多くの距離を走り込むことが必要で、それも様々なシーンで様々なユーザーの走り方を再現するような走り方が要求されるということが改めて分かった。

プリウスのブレーキ抜けはマスコミが大きく取り上げられる中で、結果的にリコールによって対応することになったが、リコールについてはかねてから言っていることがある。

明るいリコールにしようということだ。残念なことに日本では、マスコミがリコール=欠陥車として扱っているため、リコールがとても悪いこと、決してやってはならないことのようなイメージになっている。

リコールに無償修理とか、更新とか改善といった日本語を充てたなら、もう少しイメージが良くなるのではと思う。人間の生命を乗せ、ときには他人の生命を奪ってしまうこともあるクルマだけに、安全に関しては不具合が許されないのは確かだが、人間のやることに完全はあり得ない。ときには間違えることだってあるのが現実だ。

発売したクルマに不具合が発生したとき、リコール=欠陥車だと騒がれると、エンジニアがかえって萎縮してしまうのではないか。今回のプリウスではなく過去の事例などを見ても、リコールを隠そうとしたり、あるいはリコールではない形で処理したいということになったことがある。

だから、クルマの安全に間違いがあってはいけないけれど、間違いが発生することだってあり得るという前提に立ち、リコールは決して悪いことではなく、クルマを改善しようする良いことだという感覚をみんなが持てたら良いのにと思う。そうなれば、メーカーもむしろ積極的にリコール対応ができるようになるのではないか。

今回のプリウスについて前原国土交通相が、「リコールは悪いことではない。国交省としては疑わしきものは素早く行動するよう奨励してきた。国民がリコールに対して悪いイメージを持たず、企業が製造者責任を果たしていると前向きに捉えてもらっていいのではないか」と語っていることに大いに賛同しておきたい。

運輸省時代からのリコール対応を振り返ると、必ずしも役所の対応が正しかったとはいえない事例もたくさん想起されるが、少なくとも今回のこの発言には賛同できる。最後に、今回のトヨタの対応は結果として後手後手に回ってしまったと思う。

アメリカなどでのアクセルペダルの大量リコールに始まって、今回のプリウスでは完全にサンドバッグ状態になっていたから、どんな対応をしたところでうまくいかなかったことは想像に難くないが、豊田章男社長の登場のタイミングと、一般に公開することなくプリウスの制御プログラムの書き換えを始めていたことは、特に対応を誤った点だ。

より早く対応するとともに、可能な限り情報を公開することが大切である。

筆者: 松下 宏

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