トヨタ 86(ハチロク)試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)

トヨタ 86(ハチロク)試乗レポート/渡辺陽一郎
TOYOTA 86(トヨタ ハチロク) GT Limted[6速MT/ボディカラー:ライトニングレッド] フロントエクステリア TOYOTA 86(トヨタ ハチロク) GT Limted[6速MT/ボディカラー:ライトニングレッド] リアエクステリア トヨタ 86(ハチロク) GT[6速 SPDS/ボディカラー:オレンジメタリック] 試乗1 トヨタ 86(ハチロク) GT[6速 SPDS/ボディカラー:オレンジメタリック] 試乗2 トヨタ 86(ハチロク) GT[6速 SPDS/ボディカラー:オレンジメタリック] 試乗3 トヨタ 86(ハチロク) GT[6速MT/ボディカラー:ギャラクシーブルーシリカ] 試乗4 トヨタ 86(ハチロク) GT[6速MT/ボディカラー:ギャラクシーブルーシリカ] 試乗5 トヨタ 86(ハチロク) GT[6速MT/ボディカラー:ギャラクシーブルーシリカ] 試乗6 トヨタ 86(ハチロク) GT[6速MT/ボディカラー:ギャラクシーブルーシリカ] 試乗7 トヨタ 86(ハチロク) GT[6速MT/ボディカラー:ギャラクシーブルーシリカ] 試乗8 トヨタ 86(ハチロク) GT[6速MT/ボディカラー:ギャラクシーブルーシリカ] 試乗9 画像ギャラリーはこちら

“ホビーアイテム”86(ハチロク)を楽しむために欠かせない「VSC スポーツモード」

86は良くできたホビーアイテムだが、冒頭で「クルマ好きの大人に向けた」と位置付けたのは、相応の節度も求められるからだ。

トヨタ 86(ハチロク) GT[6速 SPDS/ボディカラー:オレンジメタリック] リアエンド

後輪側の横滑りは、ドライバーが求めた時だけ発生するわけではない。

峠道の先読みを間違えて下り坂のコーナーに高い速度で進入し、驚いてブレーキングしながらハンドルを切り込むといった状況でも、後輪の横滑りを誘発する。

このような不安定な走行状態に備えて、今の市販車は、日本車、輸入車を問わず後輪の安定性を最重要視するようになった。後輪の安定性をしっかりと確保した上で、いかに正確に、しっかりと曲げるかが課題になっている。

マツダが、CX-5から採用を開始した「スカイアクティブ・シャシー」の狙いも同じだ。

トヨタ 86(ハチロク) GT Limted[6速 SPDS/ボディカラー:サテンホワイトパール] 試乗11トヨタ 86(ハチロク) VSCスポーツモードスイッチ

ところが86では、上記のバランスが少し曲がり過ぎる方向へと振られている。

後輪を滑らかに横滑りさせられる半面、危険を回避する時のことを考えると、若干の危うさも伴う。ドライバーは、この86の性格を認識した上で運転する必要があるだろう。

86の挙動を楽しみたいが、安全にも配慮したい。そんな時、有効に機能するのがVSC(横滑り防止装置)のスポーツモードだ。

後輪の横滑りが生じた時のVSCの作動タイミングは決して遅くはないが、安定化するためのブレーキ力を弱めにしている。

ドライバーのコントロール領域をある程度は確保しながらも、危険な状態に陥るのを防いでくれる。

その制御は、かなり綿密。不安定になりやすい定常的な下りコーナーを旋回している時、車両が荒れた路面の上に乗ると、小刻みにインジケーターが点滅。4輪に微妙な制動を与えて、車両の動きを安定化させてくれる。

「スポーツモード」という語感を踏まえると、VSCの作動をもう少し遅らせて良いのでは?とも感じたが、それを行えばVSCが働いていながら大きな修正操舵の必要が生じてしまうので、この程度の利き方が適度だろう。

そして、VSCをキャンセルするのは安全が確保されたクローズドコースに限るべきだ。VSCが装着されていながら、故意に作動させないのは、本来の使い方ではない。

大舵角のカウンターステアを伴う86のアピールにも矛盾が生じており、大人としての受け止め方、解釈が必要になる。

タイヤサイズは17インチが本命

トヨタ 86(ハチロク) G 16インチアルミホイールトヨタ 86(ハチロク) GT Limted 17インチアルミホイール

86のサスペンション設定は世界的に共通化され、16/17インチタイヤでも、ショックアブソーバーの減衰力やスプリングのレートは変えていない。

17インチタイヤ(215/45R17)の「ミシュラン・プライマシーHP」は、プリウスのツーリングセレクションと共通。16インチ(205/55R16)の「ヨコハマ・デシベルE70」はインプレッサの2.0iと同タイプになる。

両タイヤともに基本的な挙動は似ているが、後輪の横滑りなどは、当然ながら17インチの方が抑制される。16インチは少し低い速度域から、修正操舵を求められる。

意外だったのは、乗り心地が16/17インチともほとんど同じということだ。

ボディやサスペンション付近の剛性が高いこともあって粗さは感じないが、発進から時速60km程度まで硬いことは確かで、86がスポーツ指向のクルマであることを意識させられる。

快適性が同等ならば、安定化を図れる17インチタイヤが本命だろう。

開発者のコメントで興味深かったのは、

「サイズを大きく変えない限り、どのようなタイヤにも対応できるようにサスペンションを設定した。タイヤの性格が走りに素直に表現されるので、86を購入したなら、いろいろなブランドを試して欲しい」

というものだった。

この言葉には驚いた。通常はタイヤとサスペンションはセットで開発され、緻密にバランスを取る。高性能車になるほど、開発者は「タイヤは標準装着されていた純正品に交換して欲しい」と言う。

86は低重心や前後の優れた重量配分など、走りの素材として入念に煮詰めたからこそ、タイヤの対応でも幅が広い。

トヨタ 86(ハチロク) GT[6速 SPDS/ボディカラー:オレンジメタリック] インパネ周りトヨタ 86(ハチロク) GT[6速 SPDS/ボディカラー:オレンジメタリック] センタークラスター・トランスミッショントヨタ 86(ハチロク) GT[6速 SPDS/ボディカラー:オレンジメタリック] フロントシートトヨタ 86(ハチロク) GT[6速 SPDS/ボディカラー:オレンジメタリック] リアシートトヨタ 86(ハチロク) GT[6速 SPDS/ボディカラー:オレンジメタリック] トランク・ラゲッジ

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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