先代は9割が女性ユーザー!新型もウサギとマルをモチーフに~新型アルトラパン解説~(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也
後席が広くなって、4名乗車も快適に
プラットフォーム(クルマの土台になる部分)は、現行アルトと同じ設計の新しいタイプです。なのでホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、先代型に比べて60mm長い2,460mmになりました。
クルマの室内空間は前輪と後輪の間にあるので、ホイールベースを伸ばすと車内を広げやすいメリットがあります。
全高(路面から天井までの高さ)は1,520mmなので、立体駐車場を使いやすく、なおかつ後席が広くなったから4名乗車も快適です。ワゴンRのような背の高い軽自動車ではないので、荷室はさほど広くないですが、リヤゲート(ボディの後部に装着された荷室の扉)が低い位置から開くように改良しました。荷物の出し入れをしやすくしています。
エンジンはアルトと同じタイプに
エンジンはアルトと同様に新しいタイプになりました。アイドリングストップなども採用しています。
さらに先に述べたプラットフォームの刷新を含めて、ボディが軽くなりました。先代型の車両重量は、前輪駆動の2WDが790~800kgでしたが、新型は650~680kgです。これは加速力と燃費性能の両方を向上させます。
ATは無段変速式のCVTと、5速タイプのシングルクラッチ式を用意しました。これらの相乗効果によって、JC08モード燃費は、売れ筋のCVTになると35.6km/Lです。アルトの37km/Lには届きませんが、かなり優れた数値になりました。先代型はアイドリングストップ付きでも26km/Lでしたから、燃費数値は137%に達します。
先代型から新型に代替えすれば、数値上は燃料代を27%節約できることになります。
アルトラパンは女性ターゲットというだけでなく「軽の本質」を突いている
グレードは4種類。売れ筋になるのは、ディスチャージヘッドランプを装着して内装の質を高めた中級のSでしょう。価格は2WDが128万5200円。衝突回避の支援機能などを装着して燃費も大幅に向上させながら、先代型のXLより約2万円安くしています。
ライバル車のミラココアXが129万6000円なので、これを意識した値付けでもあるのでしょう。今の軽自動車では、全高が1600mmを超える背の高い車種が売れ筋です。車内が広くて自転車なども積みやすいですが、立体駐車場は使いにくく、中心的な価格帯も135~150万円くらいに高まりました。
その意味で立体駐車場を使えて価格も求めやすいアルトラパンは、若い女性をターゲットに開発されたクルマであると同時に、軽自動車の本質を突いた商品でもあるでしょう。ボディカラーには、ブラックやブラウンもあるので、男性の読者諸兄もチェックしてみる価値はあると想います。
先に述べた「ユーザーの大半が若い女性」というデータも、多分に宣伝とか、イメージによるところが大きいものです。ユーザーとクルマの相性に、性別や年齢は関係ないと想います。
人とクルマの関係を、そんな風にデータで単純に割り切ってしまうのは、ちょっと寂しいですし…。
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