先代は9割が女性ユーザー!新型もウサギとマルをモチーフに~新型アルトラパン解説~(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也
実は50年以上の歴史を持つ「女性を意識したクルマ」
オートックワンを愛読いただいている皆さんの中にも、女性ドライバーは数多くいらっしゃると思います。
2015年6月3日にフルモデルチェンジを受けたスズキ アルトラパンは、まさに女性向けの軽自動車です。「女性が購入を考える時、まっさきに思い浮かべるクルマにしたい」という願いを込めて開発されました。
このような「女性向け」の先駆けは、1961年に2代目ブルーバードに設定された「ファンシーデラックス」でした。
ハイヒールスタンド、化粧品を入れるボックス、車内清掃用の電源コンセント、カーテンなど36品目の特別装備を持ち、方向指示機のスイッチを入れるとオルゴールが鳴りました。女性を意識したクルマは、すでに50年以上の歴史を持つのです。
1980年代に入ると、2代目スズキアルトが特別仕様車の「麻美スペシャル」を設定するなど、「女性仕様車」が数多く発売されました。しかし、やがて廃れていきました。
理由は「男性目線の女性仕様車」であったからです。ボディやシートの色をパステル調にして、スカートを履いた時でも乗り降りしやすいように、運転席が外側に向けて回転する機能を付ける。それなりの工夫はしましたが、長続きしていません。
改めて考えると、クルマに女性も男性もないのでしょう。以前はスポーツカーやSUVは男性のクルマとされましたが、今は女性も普通に使っています。奥様がコンパクトで運転のしやすいクルマを選ぶ傾向はありますが、これは日常的な買い物などに使う機会が多く、小さくて運転しやすい方が用途に合っているからです。性別の話ではないでしょう。
女性ユーザーを中心として大ヒットした初代アルトラパン
という具合に「女性向けのクルマはあり得ない」となったところで、2002年に初代アルトラパンが登場しました。直線基調のボディでありながら、角の部分に丸みを持たせて柔和な雰囲気を感じさせます。
今はアルトラパンに「女性向け」のイメージが根付いていますが、2002年の発表時は、取り立てて女性指向をアピールするクルマではありませんでした。
「癒し/いやし」という言葉が流行った時代でもあり、コンセプトは「広くて心地好い室内空間」。家具とか雑貨など、自宅にある親しみやすいアイテムをモチーフにデザインされ、リラックスできる街乗りグルマとしていました。
この後は皆さんもご存じの通りで、アルトラパンは若い女性ユーザーを中心に大ヒット。
そこで2008年に発表された2代目の先代型は、デザイン、ボディカラー、装備(例えば色彩の鮮やかなリモコンキーカバーなど)に、改めて女性指向を表現しています。
先代型の売れ方を見ると、ユーザーの約90%が女性です。年齢別では、10~20代が約37%、30代と40代がそれぞれ21%です。つまり全体の58%が10~30代。アルトラパンは若い女性が買うクルマになりました。
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