THE NEXTALK ~次の世界へ~ マツダ プログラム開発推進本部主査 猿渡健一郎 インタビュー(3/5)

THE NEXTALK ~次の世界へ~ マツダ プログラム開発推進本部主査 猿渡健一郎 インタビュー
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数値目標ではなく、価値観の合意を求めた

【猿渡健一郎】私は、数値目標が大嫌いです。最低限、この数値を満足すれば良いという気になってしまう。本来は、価値観を達成することが大切であり、開発メンバーとは、数値達成より価値観を合意しようとしてきました。

とはいえ、技術開発に性能達成のための数値は欠かせない。どのように開発メンバーの目的意識を、数値ではなく価値観へ導いていったのか?

THE NEXTALK マツダ 猿渡健一郎 インタビュー

【猿渡健一郎】開発メンバーとの評価トリップ(日帰りで何台もの車種に乗り、試乗した印象を互いに評価し語り合う:筆者注)を、何度もしました。そのあとには呑み会も付けてね(笑)。

また、各開発については何度も担当者と話し合いを繰り返しました。だから、時間もかかります。こうやれと頭ごなしに言っても、腹に落ちていかないし、言われたことをやりました、となってしまう。ですから、一人一人と話ながら「どう思うか?」と問い続け、答が返ってくるのを待ちました。何度も何度も担当者をつかまえては「(開発している部品を:筆者加筆)ちょっと見せてくれ」とか、「結果を見せてくれ」と聞いていくうちに、「こんなのはどうですか?」とか「こんな良い物ができました」と、向こうから言ってくる。

こうして、価値観の合意ができたなというのを実感していきました。ですから、結果的に開発が終わったのが、今年(2011年)の6~7月になってしまったのです。

私は、プロセスというのも大嫌いなんです。プロセスって、守ることが大事なのではなく、物事をスムーズに運ぶための手段でしょう?今回の開発は、本来なら去年(2010年)の末に開発を完了することになっていました。ということは、それ以後は仕様を変更してはいけないわけですが、私はしつこいから、ずっと開発を続けていました。そして、ステアリングの特性が決まったのが今年3月、パワートレイン(エンジンやトランスミッション:筆者注)の適合が終わったのが今年6月です。

開発が終わった後には、新車生産のための準備がある。新車が技術的に開発できたからといって、すぐ量産車を生産できる訳ではない。量産車としての精度や品質を保てるように、工場の製造準備期間が必要である。だから、発売の何か月も前に、開発は終わっていなければならないことになるのである。

開発期限をあえて無視してでも、良いクルマを作り上げようとする猿渡の姿勢を貫くには、開発陣だけでなく工場や事務方の人々の理解を得ることが必要だ。また、ビジネスとして収益を確保できるようにしなければならない。

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【猿渡健一郎】こうしたやり方(完了期限を超えて作り込みを行う:筆者注)をする上で、評価トリップでは開発の各担当部署のエンジニアやデザイナーだけでなく、収益管理の担当者も加えました。お金を見る人にも色々なクルマに実際に乗ってみるという場に一緒に居てもらったのです。これは社内でもたぶん初めてのことではないでしょうか。

その収益担当者には、ずっと私のそばに付いて居てもらいました。私は開発に突っ走ってしまう性質で、お金のことはからっきしダメなので、彼らに私をコントロールしてくれと頼んだ訳です。いくら良いクルマを作ったと言っても、収益がついてきて初めてビジネスになります。クルマの商品力を売っているマツダにとって、バリュー・フォア・マネーをきちっとおさえた開発をすることは大事です。

収益を作り込むうえで気を付けたのは、変化のための変更はしないということ。すべての変更は、機能に結び付ける。機能と関係ないことはすべてカットしました。

企業は、お金を稼ぐということもあるけれど、お客様に夢を与える仕事だと思っています。私は物づくりが好きだし、作った結果、お客様の声を聞き、自分が作った物へ回答が返ってくるのが楽しい。それが自分の仕事への意欲となります。だから、仕事を辛いと思ったことはありません。

仕事にのめり込むあまり、猿渡はかつて二度肺気胸になり、また円形脱毛症にもなった。

しかし「体調が悪くなったらスパッと休めばいい。行き詰まったらリフレッシュすべきで、それでないと良い仕事はできません。部下にも常にそう言っているし、部下を私は信じています。幹部で私が一番休んでいるんじゃないですか」と、ケロリと話す。

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御堀 直嗣
筆者御堀 直嗣

1955年東京出身。自動車ジャーナリスト。玉川大学工学部機械工学科卒業。1978年から1981年にかけてFL500、FJ1600へのレース参戦経験を持つ。現在ではウェブサイトや雑誌を中心に自動車関連の記事を寄稿中。特に技術面のわかりやすい解説には定評がある。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。また現在では電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副会長を務める。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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