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自動車評論家コラム 2009/11/26 10:00

不思議で楽しい移動体「U3-X」/松下宏のコラム

Text: 松下 宏 Photo: オートックワン編集部
不思議で楽しい移動体「U3-X」/松下宏のコラム

不思議で楽しい移動体「U3-X」/松下宏のコラム

ホンダ U3-X

ホンダが東京モーターショー2009に出展した「U3-X」という移動体の取材会があり、これに試乗することができた。

なかなか具合の良い乗り物で、規約が許すのであれば、これこそが今年のカー・オブ・ザ・イヤーにふさわしい存在ではないかと思った。それくらいに不思議で楽しい乗り物だった。

モーターショー会場で見た人も多いと思うが、U3-Xは一輪車だ。なので、普通なら自立するのは難しいはず。設置面が小さな車輪なので、相当にうまく置いても立てたままにすることはできずに倒れてしまうはずだ。

でも、U3-Xは電源さえ入れれば、取り敢えず一人で勝手に立っていることができる。どちらかの方向に倒れそうになると、その反対方向に力を発生させて倒れないようにする仕組みが働くからだ。

この仕組みは、ロボットのASIMOが2足歩行する技術を開発する中で確立されたものだという。立っていること自体がけっこう不思議なのだが、でも倒れずに立っている。

ホンダ U3-Xホンダ U3-X

そしてU3-Xは、誰でも簡単に乗ることができるのが良い。アメリカで開発されたセグウェイやそれと似たトヨタのウイングレットなど、比較的簡単な移動体はほかにもあるが、いずれも乗るまでに多少の慣れが必要だ。

ところがU3-Xは、軽く手を添えて腰を下ろすだけで簡単に乗ることができる。座れたなら足をペダルに乗せれば良い。U3-Xに座った状態を真上から見ると、U3-Xが見えない。つまり人間の横方向の断面積よりもU3-Xの断面積のほうがよりコンパクトなのだ。

ついでに書いておけば、正式には発表されなかった重さも10kg以下というから数kg程度で軽くて持ち運びが可能だ。

U3-Xに座ったなら、動かすのは簡単。少し体を傾けるだけで良い。前方に傾ければバランスを取って倒れなくなるように前に進み、後ろに傾ければ後ろに進む。横に重心を傾ければ左右どちらにでも進むことができる。歩くような速度(最高速度は6km/h)で、ゆっくりと移動するので怖さを感じることもない。とても不思議な感覚の乗り物だ。

一輪車の車輪の部分にも工夫があって、前後方向にも左右方向にも移動できる点もまた不思議で面白い。ホンダは現時点で、このU3-Xを販売する計画はないということだが、何とか市販する方向を目指して欲しいと思う。

現在は室内でしか使えないなど、限界もある移動体だが、道路などでも使えるようになれば、幅広い層に受け入れられる可能性がある。

それにしても、直接商品にならないようなこんな移動体の研究開発を進めているとは、ホンダも相当に懐の深い会社だと思う。

筆者: 松下 宏
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