14歳で!?元EVの仕掛け人が原付免許で乗れる小型EVを目指す「リモノ」って何だ?(1/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史
オモチャじゃなくて、本当のクルマ
「あら、なんの騒ぎかしら?」
表参道界隈の、青山セレブたちがビックリ仰天。平日の真っ昼間、住宅街の一角にカメラマンやビデオカメラがズラリと並んだ。
登場したのは、全長2.2m×全幅1.0mのオモチャのような“ちっちゃいクルマ”。オモチャっぽいのは、ボディサイズだけじゃない。なんだか、ボディがフワフワしているように見える。なんと、ボディ表皮が布製なのだ。
これは、帝人フロンティア社がレストランやカフェの日よけ・雨よけとして使う素材を流用したもの。ゴワゴワした手触り感を想像するが、実際に触ってみると意外とスベスベしている。
さらに、布製ボディを押してみると、ソファーのような感触だ。布の裏には、三井化学製のウレタンフォームが入っている。
ドアを開けてみると、車内は前後二人乗り。当然だが、内装もボディ外装を同じくウレタンフォームと布の組み合わせ。
こうしたクルマ全体の雰囲気が「とってもやさしい」。
それにしても、こんなオモチャのようなクルマ、本気で売ろうというのだろうか?
既存の自動車産業をぶっ壊せ!
この奇妙なクルマを造ったのは、ベンチャー企業の「rimOnO(リモノ)」社。語源は、「乗り物」から「最初の“の”」をとって、「リモノ」とした。
創業したのは、伊藤慎介さん。伊藤さんは、京都大学大学院工学部を卒業し、経済産業省に入省したキャリア官僚だった。在任中は、EVの普及促進となった「EV、PHEVタウン構想」や、スマートシティ関連の政策立案を担当。つまり、彼は「EVの仕掛け人」という立場で、EVのプロだったのだ。
その伊藤さんが、「既存の自動車メーカーと国による連携だけでは、EVを使ったより良い社会作りはできない」と判断。「だったら、自分でやってやろう」と、霞が関から飛び出し小型EVのベンチャーを立ち上げてしまったのだ。
クルマ作りの面では、共同経営者として元トヨタのカーデザイナーの根津孝太氏を迎えた。同氏は、パーソナルモビリティ「i-Unit」や、子どもでも乗れるEV「カマッテ」を手がけたことで知られる。
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