“水平対向4気筒ターボ”を搭載した新型ボクスターの実力は!?「ポルシェ 718ボクスター」試乗レポート(2/3)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:ポルシェジャパン
先代よりニュル北コースのラップタイムを大幅に短縮
シャシーにも多くの最適化が施された。主なものを取り上げてみても、リアサスペンションへのラテラルメンバーの追加によるリアサブフレームの強化、前後のショックアブソーバーのピストンとシリンダーチューブの大径化、リアホイールの1/2インチワイド化、電動ステアリングの10%のダイレクト化等々。
ブレーキも718ボクスターには先代ボクスターSの、718ボクスターSには911カレラの新しい「4ピストンキャリパー」と厚みが増した「ブレーキディスク」が採用されて頼もしい。マルチコリジョンブレーキシステムも採用され、2次衝突時の被害を軽減する。
タイヤの標準サイズは、718ボクスターが18インチ、718ボクスターSが19インチ。20インチはどちらもオプション。
他にも数え切れないほどの速さのための改良と最適化によって、718ボクスターSはニュルブルクリンク北コースのラップタイムを先代Sよりも「16秒」も短縮した7分42秒を記録した。
約8分を要するニュルのラップタイムで16秒もの短縮は驚異的である。
先代も良かったが、走りにより一層磨きがかかった新型ボクスター
最初に乗ったのは、2.0リッターエンジンを搭載する718ボクスター。トランスミッションはPDK。
第一印象は「とても良い」。電子制御ダンパーのPASMは、ノーマルとスポーツのどちらを選んでも走行中の動きを良く抑制し、ボディをフラットに保とうとしている。
乗り心地も必要以上に引き締まっておらず、むしろ「快適」と言って良いほどだ。ステアリングも切れ味が鋭く、身のこなしは小気味良い。
市街地などでは安定していて雑味がなく、快適。にもかかわらず、山道に一歩踏み入れると水を得た魚のように活き活きとしてくる。これまでのボクスターの身のこなしも素晴らしかったが、718ボクスターでは一層磨きが掛かっている。
良好な仕上がりのエンジンだが、一つだけ「気になる点」が
注目のエンジンだが、1,950回転から発生する310Nmの最大トルクは、体感上ではさらに低い回転域から発生しているように感じる。これまでの2.7リッター6気筒でもトルクは十分以上であったが、それよりもさらに太く感じ、即座に強力な加速に貢献していることがわかった。
また、最大トルクばかりが強化され、高回転域での回転の伸びが鈍くなっているようなこともない。
PDKを「スポーツモード」や「スポーツプラスモード」に設定しておけば、7,000回転を超えて易々と回っていく。心配していた、アクセルペダルの踏み込みに対するレスポンスの衰えもない。
718ボクスターは良好な仕上がりだったが、ひとつだけ気になったのが「排気音」だ。
走行している最中は問題ないのだが、渋滞中の歩くようなスピードでゆっくりと進んでいる時に、「ボコボコ」あるいは「ポコポコ」という排気音が気になる。これは、スポーツエキゾーストをオンにしてもオフにしても、あまり変化はなかった。
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