“水平対向4気筒ターボ”を搭載した新型ボクスターの実力は!?「ポルシェ 718ボクスター」試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 金子 浩久
  • カメラマン:ポルシェジャパン
“水平対向4気筒ターボ”を搭載した新型ボクスターの実力は!?「ポルシェ 718ボクスター」試乗レポート
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可変ジオメトリーでレスポンスに優れる「S」

次に乗ったのが、「2.5リッターエンジン」に「PDK」を組み合わせた718ボクスターS。

最高出力、最大トルクともに上回る高性能版である。718ボクスターSが最も大きく異なるのは、ターボチャージャーのブレードに可変ジオメトリーを採用している点だ。

「Sの可変ジオメトリーは、エンジンレスポンスを向上させるためのものです」(前出のバウマン氏)

718ボクスターの“ベストチョイス”は

ポルシェ 718ボクスターS

バウマン氏の言う通り、718ボクスターSは可変ジオメトリーターボの効能があり、レスポンスに優れていた。アクセルペダルを踏み込んで加速していく最中に、いったんペダルを踏み込むのを止めて再度踏み込んでいくような場面での加速のレスポンスが違う。

ここで、排気音とスポーツエキゾーストの関連性が気になったので、次に「2.0リッター」の「PDK」でスポーツエキゾーストが装着されていない718ボクスターの幌を開けて確かめてみた。

停止するような低い速度でアクセルペダルを開閉してみたら、ボロボロ、ポロポロいう排気音は気にならないレベルであることがわかった。アクセルペダルを深く踏み込んだ時の迫力あるサウンドを特に求めないのならば、「スポーツエキゾースト」を装着する理由はなくなってくる。

個人的なベストチョイスは、718ボクスターSのPDK仕様でスポーツエキゾースト無しのモデルだ。

“ポルシェ”がインターネットの接続を断行した意味は大きい

ポルシェ 718ボクスターS

冒頭で、モデルチェンジのもうひとつのポイントとして挙げた“インターネットへの常時接続”は、「PCM」(ポルシェ・コミュニケーション・マネージメントシステム)が新たに718ボクスターに搭載されたことで実現した(911はひと足先に搭載している)。

インターネット経由でカーナビの地図ソフトを最新に更新出来ることをはじめとして、さまざまなことがPCMによって可能になったのは大変に喜ぶべきことだろう。なぜなら、これまで日本仕様のポルシェ各車には型遅れのとても古いカーナビが搭載されていたからだ。

ラジオだって、ストリーミングで世界中の放送局を聴くことができる。

他にも便利で楽しい使い途がたくさん用意されていて、インターネットへの常時接続がカーライフを大きく広げてくれるはずだ。同時に、アップルのiPhoneを車内でもほぼ同じように使える「CarPlay」が装備されたことも画期的だ。

スポーツカーと言えども、インターネットへの接続を専業メーカーであるポルシェが断行したことの意味は大きい。

718ボクスターの登場は、その歴史の中でも最も大きな変化だ

ポルシェ 718ボクスターS

718ボクスターは、エンジンの変更によってドライビングから受ける印象が大きく変わった。これをどう受け止めるべきなのか?

「718ボクスターのエンジンを4気筒としたのは、ポルシェのミッドシップスポーツカーを(時代に合わせて)再定義したことを意味します」(バウマン氏)

たとえ、自然吸気6気筒から得られていたエンジンの感覚とは異なっていたとしても、それは時代の要請に応えた結果なのである。

それよりも、熟成されたシャシーやサスペンション、PDKの電子制御の精緻さなどから構成されるクルマ全体の総合的な完成度の高さを評価したい。また、PCMとCarPlay搭載の意義の大きさも忘れずに付け加えておきたい。

718ボクスターの登場は、ボクスター20年の歴史の中で最も大きな変化が起きたフルモデルチェンジだ。

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金子 浩久
筆者金子 浩久

モータリングライター 1961年東京生まれ。 自動車と自動車に関わる人間について執筆活動を行う。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』など。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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