エコカーの真相/第六回 リーフ NISMO RCは本当に必要か?(2/3)

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:オートックワン編集部
エコカーの真相/第六回 リーフ NISMO RCは本当に必要か?
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以下は、筆者が推測する「リーフ NISMO RC、登場の理由」だ。

① 欧米での超高速型EVへの「イメージ対抗」として

メルセデス・ベンツ SLS AMG E-CELL(EV)

この2年ほどで、世界各地に強力な超高速型の市販型EVが続々登場する。

メルセデスの「SLS AMG E-Cell」、アウディ「e-tron」、e-WOLF「α-2」などだ。

現在ではスポーツタイプの量産EVはテスラ「ロードスター」のみ。

当初、自動車関係者の間では「EVの普及初期はファミリータイプや商用タイプがほとんど。スポーツタイプの本格的な登場は、まだまだ先だ」と言われてきた。

そのため、当面は「リーフ」とそのルノー兄弟車たち、三菱「i-MiEV」とその兄弟車たちが世界EV市場の中心的存在になると思われてきた。

ところがそこに、ドイツ勢たちが「スーパーEV」という花火をぶち上げてきた。彼らはEVにレーシングな雰囲気をぶつけてきたのだ。

日産の本音としては、「リーフ」→商用の「NV200バネットEV」→小型スポーツタイプEV→レーシング仕様という正攻法を歩みたかったはず。

だが、ドイツ製の「スーパーEV」というマーケティング戦略に対抗するために、日産も「GT-RのNISMO」をマーケティング戦略に活用したのだ。

「リーフ NISMO RC」は、日産EVイメージ戦略の新旗手である。

② 日産ディーラーでの「アフターパーツの販売促進」として

近年、日本ではカーディーラーの経営について悩みが多い。

カーディーラーは、新車販売利益+アフターサービスの利益で運営されている。だが、新車が売れない昨今、値引き競争も激しく、販売で大きな利益を確保するのは難しい。

また、最近の車は壊れない、不具合も出ない、さらに各部品の耐久性も上がっているため、アフターサービスで利益確保するのも大変だ。

そうしたなか、近年注目されているのが、オプション設定のアフターパーツたちの販売益。

ホンダ 無限インサイト

その代表格が純正エアロパーツだ。

それが、エコカーと結びつかないと思うかもしれない。だが、ホンダ「インサイト」では無限仕様がかなり売れた。今後、「リーフ」が市場に多数出回るなかで、当然、エアロパーツの需要も出る。

さらには、「リーフ」に次ぎ市販される日産のEV、「NV200バネット EV」でも個人ユースでのエアロチューンのブレイクがあるやもしれぬ。

そうしたなか、カッコいい「リーフ」は純正アフターパーツ最大の販売促進となる。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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