あの頃はよく見たのに・・・“レース生地のシートカバー”はどこへ行ったのか

  • 筆者: 小鮒 康一
  • カメラマン:小鮒 康一・トヨタ自動車

レース生地のシートカバーってあったよね・・・

現代において「シートカバー」といえばドレスアップパーツの定番アイテムのひとつで、一見するとシートカバーとは思えないような高級感のある本革調シートカバーなどが人気を集めている。しかし、一昔前のシートカバーといえば、別のモノが定番だったのだ。

>>懐かしさMAXなレース生地のカバーを画像で見る

昭和のファミリーカーでよく見られた光景、それはレースのシートカバーを装着した姿ではないだろうか? しかもすべてを覆うシートカバーではなく、ヘッドレストと背もたれの上部を覆うだけのハーフカバーが主流だった。現代のカッコいいシートカバーとは双璧をなす脱力系シートカバーこそが、このレースのハーフシートカバーといえるだろう。

なぜ見なくなったのか

「じゃあなんでなくなったのか?」というとこれは単純明快、「カッコ悪いから」である。Googleで「シートカバー レース」と検索して出てくるサジェストキーワードは「ダサい」なのだ。もう間違いなく世間はダサいと思っているのだ。悲しいけれど。

そもそもなぜ装着していたのか

ではそんな「ダサい」と思われまくっているレースのシートカバーを、当時のクルマはなぜ装着していたのだろうか?

生憎筆者もその時代には免許がなかったため明確な理由は分からないのだが、昭和のころはとにかくカバーをすることが一般的だったのは覚えている。炊飯器やテレビ、電話機(もちろん黒電話)にまで、妙にヒラヒラしたレースっぽいカバー(というか布)が被せられていた。

おそらく、どれも当時としては高級品。そのため、それらを大切にしたいという気持ちがカバーをかけるという行為に昇華したのではないだろうか? そういえば家のドアノブにもカバーが掛かってたなあ、滑って開けにくかったなあ……。

レース生地のシートカバー、今もあります!

そんな「ダサい」の烙印を押されてしまったレースのシートカバーだが、実は今でもしぶとくディーラーオプションのラインナップに残っている車種もあるのだ。

例えばオーナーの平均年齢が高めのトヨタ クラウンには、なんとエクセレントタイプとロイヤルタイプの2種類が用意される充実っぷり。エクセレントタイプは1台分で54,000円となかなかの高級アイテムである。

ワンオフ品を注文できる業者もあるぞ!

純正品がある車種はいいが、自分の車種専用のレースのシートカバーが欲しい、という奇特な人には、ワンオフ品を作ってもらえるところが存在する。基本的には内装の張替えやシートリペアをしている業者が中心となるが、どうしても愛車にピッタリのシートカバーが欲しい人はぜひ問い合わせてみてはいいがだろうか?

中にはレカロのフルバケットシート用のレースのシートカバーを発注したツワモノも存在する(写真は実際にオーダーした方からの提供・・・!)。

ネットでも手軽に買えます

また、未だにタクシーなどでは使用されていることが多いため、実はAmazonなどの通販サイトでも購入することができる。さすがに車種専用は少ないが、多くの車種に対応できるようにサイズによって分けられているため、正しいサイズをチョイスしてあなたのクルマも“レース仕様”に変身だ!

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[Text:小鮒康一 Photo:小鮒康一・トヨタ自動車]

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小鮒 康一
筆者小鮒 康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後に急転直下でフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、実は現行車に関してもアンテナを張り続けている。また、過去に中古車販売店に勤務していた経験を活かし、中古車系の媒体でも活動中。最近では「モテない自動車マニア」の称号も獲得。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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