時間の経過による味わいある自然な運転感覚。スポーツカーの普遍的なモデル、日産「フェアレディZ」試乗レポート(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
Lサイズスポーティセダンと変わらぬ上質な走り
最初に感じたのは乗り心地の向上だ。
装着されていたタイヤは19インチ(前輪:245/40R19・後輪:275/35R19)のブリヂストン「ポテンザRE050A」。指定空気圧は前後輪とも220kPaと常識的だが扁平率は低い。それなのに以前に比べると硬さが薄れ、乗り心地がしなやかに感じられる。特にリアサスペンションの粗さを抑えた印象だ。
19インチタイヤを履いたスポーツカーだから、街中を時速40km以下で走行している時は少し硬めに感じるが、時速50kmを上まわるあたりから、Lサイズのスポーティーセダンとさほど変わらない乗り心地になる。
操舵感は以前に比べて正確性が高まり、なおかつ軽快になった。フェアレディZの操舵感はもともとガッシリと頼もしい手応えだったが、今は舵角に応じて車両の向きが素直に変わるから、走りが上質に感じられる。
そこからアクセルペダルを踏み込んでいくと、駆動を受け持つ後輪に駆動力が加わり、しっかりと踏ん張りながらカーブを抜けられる。アクセルを少し深めに踏み込んで、後輪に過剰な駆動力が加わった時の動きも把握しやすい。
これはカーブを曲がるプロセスとして当たり前の話だが、この流れがスムーズに感じられるのがフェアレディZの特徴だと思う。
最近はカーブの外側に位置する駆動輪に強い駆動力を与え、意図的に回頭性を高めるトルクベクタリングの機能を備えたスポーティーモデルも増えた。ボディの前側がドライバーの予想以上に内側を向く感覚は玩具的で面白いし、旋回軌跡を拡大させにくいが、運転していて不自然さを拭えない。その点でフェアレディZは、運転に慣れると予想した通りの挙動を示す。
この記事にコメントする