メルセデス・ベンツ Gクラス「G350d ヘリテージエディション」試乗|熟成の極み! 最後のW463型ゲレンデヴァーゲンを味わうシアワセ(1/2)
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:小林 岳夫
もうすぐ会える新型Gクラスではなく、あえて最終モデルに乗ってみる
2018年1月の北米国際自動車ショー、通称”デトロイトショー”で、メルセデス・ベンツはフルモデルチェンジしたクロスカントリー4WDモデル「Gクラス」を発表しました。長きに渡り人気を集めた現行Gクラス同様のラダーフレーム形式で、デザインの印象も全てそのまま受け継ぐ超キープコンセプト。とはいえ中身はほぼ全て一新。最新の先進安全装備も備わり、ボディサイズも拡大しています。遅からず日本へもやって来るようで、今から期待大です。
そんな中、メルセデス・ベンツ日本より「Gクラスを試乗しませんか」とのお誘いが・・・お、もう新型に乗れちゃうの!?
いえいえ、現行W463型Gクラス「G350d」の試乗車を用意しましたとのこと。む!むしろそれ、最後にちゃんと乗ってみたい!
試乗会場には3台のGクラスが並び、その中の1台は、2018年4月4日四駆の日に463台(!)限定で発売された「G350d Heritage Edition(ヘリテージエディション)」の姿も。朝っぱらから前のめりな姿勢で会場へ一番乗りした我々取材班は、わき目も振らずその特別仕様車のGクラス試乗を予約したのでした。
他にないGクラス独特の世界観
メルセデス・ベンツのSUVラインナップの中でも特別なポジションに位置する「Gクラス」。マニアはゲレンデヴァーゲンと呼びます。もともとは軍用車としての需要を発端に設計されたため、極めてシンプルな外観と堅牢なラダーフレームが特長で、1979年に市販化を開始して以来、その基本は変えずにやってきました。4輪駆動システムがフルタイム式に変わった1989年以降、2018年現在まで続く現行モデルをW463型と区別しているとはいうものの、車体自体は39年の間そのままです。
今回改めて2018年式Gクラスに乗り込んでみましたが、よっこいしょとよじ登るラダーフレーム車特有な着座位置の高さと、”幅が細くて真四角な車体”との組み合わせは、やっぱり独特の眺め。ちなみに全高は1,970mmもあります。全長は4,575mm、ホイールベースは2,850mm。
ほとんど垂直に立っているかのようなサイドウィンドウは下端も低く見晴らし良好です。そして隣の席が近い! 最新の360度カメラやセンサー類がないとちょっと街乗りに不安が残る最新SUVとは違い、Gクラスの運転席に座ると「これなら乗りこなせるかも!?」なんて思えてくるから不思議です。実際、ワイドフェンダーになる前のW460型は車幅も1700mm代と、ほとんど5ナンバー車に近い寸法でした。
しかし2018年式Gクラスはフェンダーがモリモリと外側に張り出し、幅は1,860mmまで拡大。だからいくら見晴らしが良いとはいえ、慣れない新米オーナーは車幅感覚を見誤り、ついついフェンダーをガリっとやってしまうこともあるそう。ひぃいい・・・。
独特の運転感覚は慣れるまでちょっと時間がいる・・・
車体の四隅に気を張り巡らせながら、東京のど真ん中、六本木にあるメルセデス・ベンツ日本の施設「Mercedes me NEXTDOOR」をいざ出発。東京ミッドタウンや六本木ヒルズを横目に、緊張なんかしてませんよと、さもGクラスに乗り慣れたIT系社長の気分で街を流すと・・・正直なところ猛烈な違和感。
600Nmの最大トルクを1,600回転から2,400回転の低速域からモリモリ発生させるV6 3.5リッターのパワフルな直噴ターボディーゼルエンジンとはいえ、2,580kgの重量級ボディは、反力の強いアクセルペダルを軽く踏むだけじゃぐいぐいとは進まない。
メルセデス・ベンツ Gクラスの目線の高さは、宅配便の2トントラックと同じくらい。ラダーフレーム特有の動きなのか、太くて背の高いタイヤ(265/60R18)のせいなのか、ステアリング形式が特殊だからなのか、とにかく操縦感覚もちょっとトラックっぽく、ふだん乗ってる乗用車とは色々と違うのりものだということがわかります。
目の前を右へ左へと目まぐるしく車線を変えるタクシーの一群に翻弄されながら、どうにかこうにか10分ほどで流入出来た首都高も、いきなりアップダウンやくねくね道が多い!
にわかドライバーの不安を同乗するKカメラマンに悟られまいと、スムーズにG350dを走らせることに集中してしまい、車内はいつしか無言に。都内でGクラスを涼しい顔でシレッと乗ってるオーナーの方々、ホント尊敬します。
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