ホンダ 新型(5代目)ステップワゴン 新型車解説/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志・本田技研工業株式会社
新開発のダウンサイジングターボエンジン搭載で、燃費が12~13%向上
エンジンは新たに開発された直列4気筒1.5リッターのターボを搭載する。いわゆる「ダウンサイジングターボ」で、排気量を小さく抑えることにより、通常の走行では燃料の消費量を節約する。登坂路などではターボを活用して、動力性能を高める仕組みだ。
最高出力は150馬力(5500回転)、最大トルクは20.7kg-m(1600~5000回転)。先代型の150馬力(6200回転)/19.7kg-m(4200回転)に比べると、最大トルクが1kg-m高まって発生回転数が大幅に広がった。低回転域から高いトルクを発揮するのがターボの特徴で、新型の数値は2リッタークラスだが、動力性能はバランス良く向上している。
JC08モード燃費は、2WDで見ると最も優れた標準ボディのGやBが17km/L、17インチタイヤを装着するスパーダクールスピリットが15.4km/Lだ。
先代型は最も優れた仕様が15km/L、17インチタイヤ装着車が13.8km/Lだったから、1.6~2km/L向上した。比率に置き換えれば12~13%になる。
これによって平成32年度燃費基準が達成され、購入時に納める自動車取得税が60%、同重量税が50%軽減され、購入の翌年度に納める自動車税も75%カットされる。
プラットフォームは先代型と共通。サスペンションも先代型と同様にフロント側がストラットの独立式、リア側は2WDがトーションビームの車軸式、4WDは半独立ともいえるド・ディオンアクスルになる。
その一方で、ボディはピラー(柱)やサイドシル(乗降時に跨ぐ敷居の部分)の接合部分、リアゲートの開口部、ボディ骨格などを補強した。静的な曲げ剛性は8%、静的なねじれ剛性は25%向上している。
多数の安全装備を用意
装備は安全面に注目したい。ホンダセンシングを全車にオプション設定した。ミリ波レーダーと単眼カメラをセンサーとして使い、車両のほかに、歩行者も見分ける。衝突の危険が迫ると、自動的に緊急ブレーキを作動させることも可能だ。
カメラが装着されるので、車線も見分ける。走行中に車線を逸脱した時は、警報を行うと同時に車線に戻るように電動パワーステアリングを制御する。車線の中央を走れるように支援する機能も併せ持つ。
ミリ波レーダーを利用して、車間距離を自動制御しながら追従走行できるクルーズコントロールの機能も備えるが、作動する速度域は時速30~100km。スバルのアイサイトなどと違って、停止状態までカバーする全車速追従型ではないから注意したい。
このほかのメーカーオプションとして、車庫入れを支援するスマートパーキングアシストなども用意した。
後発の利を活かし、ライバル車種より割安となった
グレード構成は、標準ボディがB/G/G・EXの3種類。エアロパーツを装着したタイプはスパーダ/スパーダクールスピリットの2種類で、合計5グレードになる。駆動方式は全車に前輪駆動の2WDと4WDを設定した。
この内、Bはわくわくリアゲートなどが装着されず、LEDヘッドライトのオプション設定もない。価格は228万8000円と安いが、推奨できるグレードではない。
Gはわくわくリアゲート、左側スライドドアの電動機能、スマートキーなどを標準装着して、LEDヘッドライトなどもオプション装着できる。これが標準ボディの買い得グレードだ。
Gの価格は248万円。ヴォクシー&ノアのX(246万8571円)、セレナ20X(245万2680円)など、ライバル車の買い得グレードとほぼ同額で、厳しい価格競争に対抗すべく割安感を強めた。
エアロパーツを装着したスパーダは、上級シリーズとあってサイド&カーテンエアバッグなども標準装着した。価格は272万5000円。これもヴォクシーZS&ノアSi、セレナハイウェイスターなど、エアロパーツを装着したライバル車の買い得グレードと同等になる。
なのでグレードを選ぶ時は、標準ボディのGとスパーダを目安にして装備内容を検討。オプションを加えたり、G・EXやスパーダクールスピリットへのグレードアップを考えると良い。
オプション価格は、ホンダセンシングが10万8000円(サイド&カーテンエアバッグを含めると14万5800円)、右側スライドドアの電動機能が5万4000円という具合。サイド&カーテンエアバッグが実質3万7800円で加わるなど、オプション装備も割安になった。
新型の価格を先代型と比べると、装備の違いを補正して約4万円の価格上昇だ。動力性能と燃費性能の優れた1.5リッターのターボエンジンを採用した対価としては、これも割安と判断できる。
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