欧州Dセグ個性的スポーツワゴン 徹底比較(2/4)

欧州Dセグ個性的スポーツワゴン 徹底比較
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スカンジナビア流モダンデザインが昇華

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2007年11月のマイナーチェンジで、走りに関する部分は従来と変わらなかったが、デザインは大幅に変更された。コンセプトカー「エアロ-X」のイメージのフロントマスクをはじめ、ボンネットの「クラムシェル」(=貝のように開く)フードが復活したほか、スモーク加工したホワイトテールランプなど、サーブファンの期待に応える変更がなされた。あらためて見ると、いろいろな要素をギュッと詰めこんだ、凝縮感のあるフォルムだと思われ、スポーティかつダイナミックである。

航空機メーカーであったサーブといえば、ターボエンジンが真骨頂であり、いずれも上手いチューニングを行なっている。かつてのハイプレッシャーターボは少々気難しいところもあったが、現状のターボエンジンは、巧みな制御によりいずれも非常に扱いやすく仕上がっている。

エアロには5馬力アップした255馬力の2.8L V6ターボエンジンを搭載。スペック的にもかなりハイパフォーマンスである。ベーシックな2L直4ターボは、209馬力のベクターと、今回25馬力もアップし175馬力となったリニアという2タイプが用意される。

どちらかというと、2L直4のほうが、ゼロスタートの瞬間はドンと出る印象。V6はジェントルかつ上品な味付けで、しかしながら踏み込めばスムーズで盛り上がり感のある加速を味わわせてくれる。いずれも横置きターボエンジンに前輪駆動という組み合わせのため、不用意にアクセルを踏み込むと、ホイールスピンを伴い、トルクステアを誘発するのだが、的確に作動するトラクションコントロールにより、不快な思いをすることもない。

ハンドリングは、オペル・ベクトラとプラットフォームを共有するが、よくぞここまでサーブらしい乗り味を実現したものだと感心させられる。ドイツ車のドッシリとした感覚とは異なる、軽快なフットワークを持っているのである。実際にはエアロで車重1630kgと、けっして軽くないのだが、ドライブフィールには独特の軽さがある。

コーナリングでは、極端にロールを抑えるような味ではなく、初期をしなやかにストロークさせ、あるところからグッと減衰を立ち上げるような設定。そのためか、速い入力時には多少バタついて感じられるときもあるが、速度が増すにつれてビシッとフラットになっていく味付け。オペルの実力にサーブのノウハウが巧みにミックスされた、安定感が高く、快適かつスポーティな、絶妙な味を持っている。

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2.2JTS+セレと3.2JTS+Qトロはまったく別物

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2006年にセダンの159が登場し、翌2007年に159スポーツワゴンが追加された。先代156にワゴンモデルがデビューしたときには、アルファにワゴンということに違和感を覚えたものだが、数はさておき、今ではイメージはそれなりに定着したかと思う。159のワゴンが出ても不自然ではないだろう。

大胆なフェンダーフレアや、なだらかなルーフライン、キャビンをきつく絞り込ませた美しいスタイリングは、ジウジアーロとアルファロメオスタイリングセンターが手がけたもの。スポーツワゴンとして、あまりワゴンであることを主張していないように思えてくる。

特徴的なフロントマスクは、バンパーと一体化した大きな盾形のグリルを持ち、それを中心とした立体的なデザインとしている。フラッシュサーフェイス化したマスクばかりとなった昨今、こうしたデザインは非常にチャレンジング。個人的にも好みのデザインである。

リアにもフロントマスクと同じような表情としているところも面白い。さらに、ドアノブとサイドマーカーを同じモチーフの形状としている点などにもアルファらしいこだわりを感じる。

今回持ち込んだのは、直4の2.2JTS+セレスピードの組み合わせで、上にV6の3.2JTS+Qトロニックもある。また駆動方式は、前者が前輪駆動で、後者がAWDとなる。この両者において、ドライブフィールがあまりにも異なるのだ。結論からいうと、前者は改善の余地アリだが、後者はなかなかの完成度という印象だ。セレスピードは、変速のたびに前後Gが途切れて船を漕ぐような感覚がある。正直、DSGあたりを見習わねばなるまい。

2.2JTSの動力性能そのものはまずまずだが、すでにいわれているとおり、ドラマチックなサウンドや吹け上がり感が薄れたのは事実。そこに期待するのであれば、3.2JTSを選ばねばなるまい。こちらであれば6速ATのQトロニックが組み合わされ、前述のようなストレスもない。

フットワークは、159のセダンよりもリアが若干固められているようで、空荷であればセダンよりもむしろスポーティな印象がある。従来のアルファ車は、テールを微妙にスライドさせつつ、回頭性の高さを演出していたものだが、156の途中から変化し、159ではまるでドイツ車のように、リアをしっかりと接地させてスタビリティを確保し、その上でステアリングゲインを高めるという味付けに変わった。アルファらしくないと評する向きもあるが、これはこれで個人的には好感を持っている。

全体のドライブフィールも、2.2JTSが軽快、3.2JTSが重厚という印象で、まったく異なる。どちらが好みかというのもあるが、前述のセレスピードの問題もあり、その違いは優劣も含め価格差以上に大きいといわざるをえない。

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このクルマでしか味わえないプジョーの世界

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プジョーでは「SW」に、「スペースワゴン」「スポーツワゴン」「スペクタクルワゴン」といった多彩な意味を込めているという。全高は低めながら、ボディサイズがそこそこ大きく、スタイリッシュなワゴンであり、実に見栄えする。

運転席に腰を下ろすと、クルマのディメンション的にもそうだが、他の2台よりもひとクラス上の大きさのクルマに乗っている感覚がある。実際に大きいというのもそうだが、ハンドルを切ったときのクルマの反応や、ドライブして感じ取れるタイヤの位置の感覚や、眼前の広いフロントウインドウなど、それらが合わさって、そう感じさせるのだろう。

ドライブフィールには、いわゆるプジョーの「猫足」の感覚はある。サスペンションの動き出しのカドの取れた柔らかい感覚には、独特の浮遊感がある。ただし、そこに「一体感」らしきものはあまりない。

最近のプジョー車では、ドイツ車を範にとり、プジョー流に解釈したような印象のモデルが多いと感じているが、407は別物で、あくまでフランスの高級車としてのドライブフィールを持っているように思える。乗り心地をソフトにし、路面の凹凸をしなやかに吸収することに長けていえる。こう書くとスポーティとは反対方向のように思われるかもしれないが、実際に試すと決して侮れない。ストロークたっぷりの足まわりは、タイヤが常に路面に追従し、大舵角を与えてもグイグイと曲がっていくというハンドリングを持っているのだ。

エンジンは、パワー追求タイプのキャラクターではないが、V6は非常にスムーズ。直4との価格差はそれなりにあるが、余力があればこちらを選びたいところである。V6を積むSW3.0は、直4のSW2.2に比べてやや鼻の重い印象で、それを足まわりのチューンイングで吸収しているようだ。決して不快ではないが、微妙に固さがあり、全体としてこなれているのは2.2のほうだろう。

それにしても、あまりに大きなラジエターグリルや、ついにここまで切れ長になったヘッドライトなど、フロントマスクはアグレッシブと表現するには、少々やりすぎかなという気がしないでもない。しかしこの路線が受けているようだから、これでヨシとせねばなるまい。反面、リアセクションは意外なほどシンプルにまとめられている。

エクステリアにはメッキパーツを多用し、サイドモールも付くという、かつての高級車の定番的な手法を用いている。ところで、外見からも明らかだが、フロントオーバーハングの長さを、段差を越えるときなど、意識しなければならない。

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デザイン・スペックの総評

エクステリアの個性はご覧のとおりで、いずれもかなりエスカレートしてきたわけだが、それを多くのファンも歓迎しているようで、その意味では好循環といえよう。ドライブフィールにおいては、もっともスポーティといえるのは159。9-3はスポーティとコンフォートの絶妙なバランスを持っており、筆者の好みからすると9-3がベスト。407はコンフォート路線。いずれのルックスも乗り味も個性的で、ファンの期待に応える味を持っている。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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