キャデラック 新型CTS 試乗レポート/西川淳(2/2)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:ゼネラルモーターズ・ジャパン
このにぎやかさ自体、大陸好み
ひとまわり大きく、長くなったCTS。スタイリング的には過去二世代のイメージを踏襲するが、いっそうロングノーズショートデッキスタイルとなり、さらに、Eセグメントに見合うよう後席と荷室のスペースを広げた。特徴的なフロントマスクなど、モダンアメリカンラグジュアリィをストレートにかつ力強く感じさせるデザインで、光輝パーツの質感などはもはやアウディレベルに達していた。
インテリアも、欧州プレミアム勢を差し置いてクラス随一のフィニッシュレベルに達している。旧型でもかなりのフィニッシュレベルに達していたが、今回はいっそう念入りだ。フルラップレザーの“カット&ソー”ダッシュボード&トリム(これは先代からの継承だ)はもちろんのこと、人気のマテリアルアイテムをこれでもか!とふんだんにあしらい、見栄え質感も非常に高い。ひと昔まえの、プラスチッキーなアメリカンインテリアとは完全に手を切ったようだ。
もっとも、デザイナーにこれまでのうっぷんが溜まり過ぎていたのだろうか、はたまた何でもかんでもできるようになったからか、雰囲気にちょっとビジーな印象も持った。このにぎやかさ自体、大陸好みというものなのかも知れないが。
ドイツプレミアム勢にとっても十分に脅威となる完成度の高さ
肝心の走りの方は、どうか。試乗したのは、日本導入予定の4気筒+6ATモデルである。
第一印象は、『メルセデスとBMWのライドフィールのいいとこ取り』というものだった。全般的にやや硬めでフラットな乗り心地ながら、強靭軽量ボディのしっかり感と鍛えられたシャシーの良質なレスポンスに恵まれているため、自在に動かせるという確信と、全てを任せてもかまわないという安心にみちている。そのハンドリングアジリティではBMWに勝るとも劣らず、ライドフィールの安定感はメルセデス級だ。ドイツ車ではないけれども、伝統的なドイツ車の走り味が好みという方には、もってこいの乗り味になっている。「それでいいのかアメリカ車!」と言われると、答えに窮するが。
なかでも2リッターターボがみせる瞬発力はクラス最強だ。でかいボディに積まれても尚、そう感じることができるのだから、エンジンの強力さと車体の軽さがもたらすインセンティブは相当に大きい。
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