BMW 1シリーズ 海外試乗レポート(2/3)
- 筆者: 菰田 潔
- カメラマン:こみや いわお
ボディは小さいがBMWそのもの。柄は小さくてもあくまでも高級車
基本シルエットはBMWには珍しい4ドア+ハッチバックである。30年以上前に02シリーズでこれに似たスタイルがあった記憶がある程度だ。ツーリングと呼ぶワゴン以外では2ドアハッチバックの316ti、318tiがあるくらいで、4ドアのハッチバックはなかった。
フロントフェイスは意外と大顔である。ヘッドライトは切れ長で大きめだし、キドニーグリルも立派である。だからひと回り大きなクルマという感じがする。バックミラーに映った1シリーズはクラスを超えた大きさに見え、とても堂々としている。
今回ミュンヘンに試乗車として用意された1シリーズは120i、120dの2車種。iはガソリンエンジン、dはディーゼルエンジンである。このうち日本に入ってくるのは120i、来年になってから118iと116iも加わる予定だという。日本仕様はみな右ハンドルATになる模様。魅力的な120dは輸入の予定はない。
120iのエンジンは現在318iに搭載されている直列4気筒バルブトロニックであるが、110kW(150ps)/6,200rpmと5kW(7ps)パワーアップしたバージョンだ。これに組み合わされるのはなんと6速トランスミッションである。日本に入ってくるATも6速である。
注目したいパーツはタイヤだ。全車RFT(ラン・フラット・ライヤ)が標準になった。BMWはRFT導入を積極的に進めているが、台数が多い1シリーズに100%採用したことは画期的な出来事である。RFTはパンクしてもフル積載でも80km/hのスピードで150km程度の距離は走れるタイヤだ。これによってスペアタイヤを積まなくても良くなり、無駄なスペースと重量を運ばなくてもよくなった。
一般ドライバーのパンクの経験はドイツでは8年に一度、日本でも8万kmに一度と言われている。スペアタイヤをまったく使わずに捨ててしまうケースがほとんどだった。そう考えるとRFTは理にかなっている。それだけでなく危険な雨の高速道路でのタイヤ交換をしなくても済むだけでありがたい。これから普及していく商品だが、BMWは先取りしている。試乗車にはすべてBSポテンザREO50A☆が装着されていた。
7シリーズや5シリーズに搭載されているのと同じようにダッシュボードには大きなモニター画面がある。オプションでナビを選ぶとiDriveもセットされる。1シリーズでここまでやるか、という贅沢さである。
BMWが1シリーズをどう見ているかが、これらの仕様と装備を見ると判るような気がする。1シリーズはBMWのボトムエンドではなく、ボディは小さいがBMWそのものなのである。柄は小さくてもあくまでも高級車という位置付けは外していない。
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