ベントレー・コンチネンタルGT V8 試乗レポート/金子浩久(3/3)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:オートックワン編集部
ベントレーらしい贅沢を最も強く体現しているのはGTC!?
GTCが重いとは言っても、GTと同じ575馬力を発生するW12エンジンを積んでいるのだから、動きが鈍いわけではない。60~70km/hで左右にパイロンを交わすスラローム走行でもストレスはまったく感じなかった。ボディが捩れるような感じや異音なども皆無である。風の巻き込みも驚異的に少ない。
ダブルレーンチェンジでは、V8のボディの軽さとESCの制御の繊細さが明確に現れていた。ノーズが軽いので、二つ目のレーンチェンジで軌道を乱す量が少なく、それを修正すべく働くスタビリティコントロールが4輪個別に細かく作動している。それに対してGTはボディ重量も大きく、ESCの効き方もV8ほどには細かくはない。パソコンのOSがアップデイトされたような感じだ。
限られた条件での短い試乗だったが、コンチネンタルGT V8は、新しさ、フレッシュさがその魅力となっていた。507馬力もあるのだから、日本で乗る限り、実用的には十分以上の速さを持っている。そこに静けさと身軽さ、電子制御の新しさを備えている。 最新のコンチネンタルGTはV8である。では、これで従来からのW12を搭載したGTの存在意義がなくなってしまうかといえば、そうも断じることはできない。トップモデルとして、いわば“贅沢のための贅沢”として存在し続けることだろう。
ベントレーも、W12をV8に置き換えることなく、将来的にも存続させると言っていた。個人的には、GTCの極上の乗り心地とオープンの快適性に参ってしまった。第2世代のコンチネンタルGTシリーズは3モデル揃ったわけだが、ベントレーらしい贅沢を最も強く体現しているのはGTCだと思う。ボディカラーと内装と幌の組み合わせに悩むのが楽しい。
夢想する楽しみは、オーナーでなくても等しく誰にでも分け与えられている。
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