アウディ S3スポーツバック・SQ5・RS7スポーツバック試乗レポート/今井優杏(2/2)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志
「RS6 Avant」のようにゴリゴリしたスポーツ丸出し感はきれいに払しょくされて(まぁそれはそれで大好きなんだけど)、完璧なスポーツドライビング性能というベースの上に、限界値までラグジュアリーを注ぎ込んだらこうなりました、というようなよく出来たカクテルのように双方の高次元での融合がなされているのである。
それはまず乗り込んだ瞬間、インテリアからも感じ取ることが出来て、随所にカーボンやパンチングされたレザーでレーシングカーライクな雰囲気をブリブリ演出しているが、ふと眼を上げると天井やピラーまでもがアルカンターラで覆われていることとか、またふと見たメーターが、まるでシアターのスピーカーのようにドライバーを向いて配置されているところとか、そのメーターの最高速度が320km/h、8,000rpm!に設定されていることとか。そんな世界観の中に座っていたら、『あ、速いって美しいってことなんだな』と力づくで納得させられるような感じなのである。
こちらもドライブモードが選べるが、この「ダイナミックモード」は本気でダイナミックだ。
映画『スターウォーズ』のダースベーダーの登場音のような低いV8ドロドロサウンドとともに、まるでシートにのめり込むんじゃないかと思うくらいの圧倒的なバイターボ加速に感激することだろう。
ちなみに「コンフォートモード」もあるが、基本性格がかなりハイスペックなので、フィールはひとつもソフトではないのをお伝えしておく。あくまでも“ダイナミックモードに比べてコンフォート”なのだ。ハンドリングはなめらか、かつリニア。S3スポーツバックのような過剰なクイックさは一切感じさせなかった。オ・ト・ナ、って感じなのだ。
普段使いに優しい側面が見える「SQ5」
最後にSQ5だが、恐らく現存するSUVの中でもズバ抜けて軽やか、軽快なフィールを持っていると感じた。
かといって大排気量エンジン感が皆無なのが面白い。するんと走りだしてするんとスピードに乗っていく、まるでコンパクトカーのごとき軽やかさなのだ。
その理由は高い静粛性と制振性にあると思うが、とにかくフィールが爽やか。スーパーチャージャー付きV6 3リッターエンジンを搭載しているのだが、遮音性が高いせいでV6エンジン感はかなり(いい意味で)希薄だ。
ステアリングは先述の2台に比べればSUVらしくややルーズ気味に味付けしてあって、ゆったりとクルージングを楽しめるようにされている。
このSQ5に関しては、Sのバッヂは付いているが、スポーツモードではなく最上級グレードとして受け取った方がよさそうだ。
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