メルセデス・ベンツ E63AMG 試乗レポート(3/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
感じ取れるのはC63のスポーティテイストとS63の上質感
ドライビングプレジャーの度合いはだいぶ変わるものだ。今回は限られた中での公道での試乗だったが、もっと別のハードなシチュエーションで試したときに、その真価をより感じ取ることができるはずだ。
こうして述べると、けっこうスパルタンなクルマを想像するかもしれないが、そんなことはない。
AMGの中でいうと、C63は快適性を少々犠牲にしてでもスポーティな走りを取ったクルマであり、S63はあくまでSクラスの頂点らしく快適性の確保に余念がなかったように感じられた。
そしてE63は、C63と同等か部分的にしのぐスポーティテイストと、S63に匹敵する上質感を身に着けている。いわばSLのセダン版のようなクルマだと思う。その点では、ずっと高価なS63に対しても、こちらを積極的に選ぶ価値があるのではと思えたほどだ。
一方で、AMGではないE550も相当に高級かつ高性能なセダンであり、E63との価格差は400万円たらずだが、E63は単にE550のさらなる高性能版にとどまらず、これまでのAMG以上に特別感がある。
まるで、乗ると自らの高性能をもっと引き出せと挑発してくるような雰囲気すらあるのだ。それはW210やW211のAMGにはなかった感覚だ。
これまで走りっぷりに感銘を受けたクルマはたくさんあるが、E63にもひとつの究極の姿を見たと感じている。このクルマを所有し、日常の足とし、好きなときに駆り出せる人は本当に幸せ者だと思う。
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