ドライブレコーダーの装着で、交通事故の裁判が有利に進む!?

ドライブレコーダーの装着で、交通事故の裁判が有利に進む!?
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2020年には4輪車の約半数がドラレコ装着車に!?

富士通テン ドライブレコーダー

クルマのボディの前側、あるいは前後にカメラを装着して、走行中の映像を録画するのがドライブレコーダーだ。スイッチを入れておくと走行中は常に作動しており、一定以上の衝撃を検知したり、スイッチを押すと、その前後の映像が録画される。つまりカメラの撮影可能な範囲において、事故が発生した時の状況を記録できるため、ユーザーとしては安心感が高い。一種の保険ともいえるだろう。

価格は1万円から1万7000円前後が売れ筋で、機種によっては5000円くらいの安価なタイプもある。最近はドライブレコーダーの認知度が高まって普及も進み、1年間に60万台以上が出荷されている。一般社団法人ドライブレコーダー協議会によると、ドライブレコーダーの出荷台数を年間300万台以上に増やし、2020年には累計で2000万台に到達する目標を立てている。

日本における車両の保有台数は8090万台。そのうち、ドライブレコーダーの装着比率が高い4輪車は約4491万台だ。ドライブレコーダー業界としては、今後のさらなる普及と高い装着率をねらっている。そのためにも重要なのが「ドライブレコーダーに記録された映像が証拠としての能力を備えるのか」という点だ。

万が一の事故の時、自分を守る強い味方になるドライブレコーダー

資料提供:富士通テン

ドライブレコーダーには、運転ミスをした時の様子を後でチェックして、安全運転に役立てるという使い方もあるが、最も重要なのは交通事故や取り締まりの状況を映像として記録できることだろう。要はドライブレコーダーの証拠能力が問われる。

この点について富士通テンがまとめた「交通事故の状況とドライブレコーダーの法的有効性について」によると、ドライブレコーダーを装着していた場合は記録映像として事故の状況が鮮明に映っているため、事故当事者同士の主張が違っても、片方の主張に合致する映像があると強い証拠になるとしている。そのため裁判には至らず、示談交渉で済むことも多いという。

かつては画像データを改ざんされる可能性が指摘されて証拠能力が議論されたが、今ではドライブレコーダーの性能も高まり、時間なども記録されるために信憑性が高まってきた。

基本的なことをいえば、交通事故が発生すると、警察による実況見分(通称現場検証)が行われ、その結果に基づいて実況見分調書が作られる。この実況見分調書が裁判になった時は証拠として使われるわけだ。ドライブレコーダーの映像が実況見分調書に沿ったものであれば、映像は調書を補う証拠になり得る。完全な証拠にはならなくても、装着する価値は高いと判断できるだろう。

また裁判には至らず、示談交渉で済むケースが多いことも納得できる。事故当時の記憶が曖昧でも、ドライブレコーダーの映像を見たことで明確に蘇り、自分に過失があったと気付くこともあるだろう。さらにいえば、当事者の片方が自分に有利な虚偽の主張をしようとした場合でも、相手方のドライブレコーダーに信号無視など自車の過失が記録されていれば、虚偽の主張を続ける気持ちが萎えてしまう。

いずれにしろ高額な費用を要する裁判に至らず、示談交渉で済めば、当事者双方にとってメリットになり得る。当事者双方の車両にドライブレコーダーが装着されていれば理想的で、事故の状況をさらに正確に記録できる。

事故が起きてしまったときの「真実」を記録して、正当な過失が証明できる

事故車イメージ資料提供:富士通テン

刑事事件としても、ドライブレコーダーの映像が有利に働く場合がある。人身事故の加害者になった時などは、相手方の行動によって過失の度合いが変わるからだ。

例えば横断歩道のない車道に自転車や歩行者が飛び出した場合、建物や駐車車両の陰からいきなり飛び出したのか、それとも飛び出す前にドライバーからその姿が見えていて飛び出す可能性を予測できたのか、それによって過失の度合いも変わる。ドライブレコーダーが装着されていれば、ドライバーから見た時の状況をかなり正確に知ることが可能だ。ドライブレコーダーによって相手方の過失が証明され、罪を問われなかった事例もあるという。

車両の前後の映像を記録できるドライブレコーダーなら、複数の車両が絡んだ玉突き追突事故でも効果を発揮する。例えば3台の車両による玉突き追突事故で、自車が中央に位置した場合、衝突したタイミングが自車の過失を左右する。まず自車が前方の車両に追突して、その後に後方の車両から追突されたのであれば、前方の車両の損害については自車も相応の責任を負う。後ろから追突される前に、すでに自車が前方の車両に追突して損害を与えていたからだ。

しかし自車が追突を受けたことにより、玉突き状態で前方の車両に追突したなら、自車の責任は軽くなる。追突されなければ前方の車両に被害を与えることもなかったからだ。車両の前後の映像を時間を含めて記録できれば、自車が前方の車両に追突したのが先か、それとも追突されたのが先か、判断が可能になる。

「当たり屋」などの被害に巻き込まれてしまったときも効力を発揮する

富士通テンドライブレコーダー内蔵のカーナビ

追突事故を故意に誘発させて不当な請求を行う「当たり屋」への防御対策にもなるだろう。昔からある典型的な手口としては、当たり屋は2台1組で行動して、被害車両を前後から挟む。後続車両がクラクションを鳴らしたりして被害車両の注意を引き付け、前方の車両が急ブレーキをかける(ブレーキランプを点灯させないようにサイドブレーキを使うこともある)。そして追突させるわけだ。

このような事例でもドライブレコーダーは役に立ち、特に車両前後の映像が記録されていれば、後続車両の注意を引くための挙動も分かり、交通事故の真実に迫ることができる。

今は犯罪の捜査に防犯カメラの映像が使われるが、ドライブレコーダーも「走る防犯カメラ」として機能している。記録の仕方によって効果が異なり、プライバシー保護の問題も絡むから映像の使用には慎重さが求められるが、ドライブレコーダーはいろいろな可能性を備える。パトロールカーなどの警察車両にも、情報管理の性能を高めた「ポリススペシャル」のドライブレコーダーが搭載されている。

これらの実績が重なれば、ドライブレコーダーの信頼性と信憑性も向上して、証拠能力も高まっていくだろう。「互いに監視する」と考えれば気持ちの良い話ではないが、交通事故が発生した時の実況見分を補填する機能は高い。

ライター: 渡辺陽一郎

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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