スズキ キザシ 試乗レポート(2/2)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:オートックワン編集部
走行フィーリングは想像に反してかなりスポーティ
直列4気筒2.4リッターエンジンは、138kW/230N・mのパワー&トルクを発生する。スズキではエスクードに同じエンジンを搭載しているが、エスクード用に比べるとキザシ用のエンジンはパワー&トルクの数値がやや向上している。
ただ、性能的にはクラスの平均レベルといった感じで、カムリ用とアコード用のエンジンの中間的な位置づけとなる。アクセルワークに対するレスポンスはかなり敏感な印象だったし、低速域でのトルク感や吹け上がりの良さなどについても、上々のレベルに仕上がっていた。
このエンジンフィールや足回りのチューニングなども合わせて、実際に走らせた印象はかなりスポーティなものだ。これは想像に反して、といった感じの印象である。
キザシは、ヨーロッパよりも先にアメリカで販売されたことなどから、どちらかといえばラグジュアリー志向の強いクルマに仕上げられているかと思っていたのだが、足回りはかなり硬めのしっかりした乗り味にチューニングされているし、ステアリングフィールもしっかりした手応えと、十分なダイレクト感のあるスポーティな味付けだった。
特にステアリングフィールなどは、センター付近のレスポンスが敏感すぎるくらいの印象で、乗り心地なども含めてもう少し快適性重視の方向に味付けを振っても良いような印象があった。
ただ、現行スイフト以降のスズキのクルマが、ヨーロピアンテイストの走りを特徴としていて、それによって高い評価を得てきたことを考えると、今回のキザシの味付けはその延長線上にあるものともいえる。このあたりは好みの問題でもあるので、キザシのユーザーがどのような反応を示すかだろう。
CVTには6速マニュアルモードが設けられていて、シフトレバーだけでなくステアリングの裏側に設けられたパドルによってシフト操作をすることも可能。
レバーによる操作は手前に引くとシフトアップ、前方に押すとシフトダウンという、BMWやフォード、マツダ系の操作法になっている。パドルで操作を行った際には、一時的にマニュアルモードに入って、しばらくすると元に戻るが、レバーによってマニュアルモードにした場合には、戻らないだけでなく選択したギアもそのまま固定される。
なので、6速のままでアクセルを踏み込んでもほとんど加速しない、といったシーンもある。これはアクセル開度などによってキックダウンするような設定にしても良いように思えた。
キザシはスズキが初めて取り組んだアッパーミドルクラスのクルマとしては、それなりに良くまとまっていたと思う。ただ、このクラスのクルマは、国内だけを見てもカムリやアコードなどが競合車として存在するし、欧米に行けばさらに多くの競合車がある。
キザシは、それらのクルマとは違う立ち位置でバランスの取れたクルマになっているものの、まだまだ熟成を進める余地のあるクルマだと思う。進化がとても楽しみなクルマだ。
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