水素供給・利用技術研究組合・山梨文徳インタビュー(3/5)

水素供給・利用技術研究組合・山梨文徳インタビュー
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クルマも水素ステーションも着実に前進している

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燃料電池自動車は、1990年代後半にその名を我々に広く知らしめ、未来の自動車として期待を抱かせた。だが、いま現在、燃料電池自動車に関する話題はほとんど耳にしない。なぜなのか?

山梨文徳 理由は二つあると思います。

一つは、燃料電池自動車をつくるための技術は、性能面ではいろいろ課題の解決が進み、残った大きな課題はコスト低減になっています。

そして、自動車メーカーがコスト低減などの技術開発に地道に取り組んだため、新型FCVが出たというような目立った話題がなく、皆さんから記事として採り上げられなくなっていたと思います。

今回の報道関係者限定の見学会や試乗会をHySUTが催したのも、HySUTは、水素ステーションの普及を行うわけですが、その成果は、きちんと国民の皆さんに伝えなければいけない、見ていただかなければいけないという戦略の一環として実施しています。

燃料電池自動車のコスト削減については、トヨタがBMWと提携し、日産がダイムラーと提携したことでも明らかなように、大量生産に持ち込むことによる低価格化へ一歩踏み出したといえます。

いまという時間軸で見ると、ディーゼルターボエンジンや、ガソリンエンジンの過給によるダウンサイジング化、またハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーの登場により、燃料電池自動車が陰に隠れているかもしれません。しかし、世界の主要自動車メーカーである、GM(ゼネラルモーターズ)、ダイムラー、トヨタ、日産、ホンダ、ヒュンダイといった各社は、いつかは燃料電池自動車の時代がくると考え、着実に開発を続けています。しかしそれが、ここ何年かはきちんと伝わっていなかったのですね。

燃料電池自動車が、いまニュースになりにくい理由の二つ目とは?

山梨文徳 二つ目は、水素ステーションのコスト低減は進んでいましたが、技術的にはあまり進化していなかったので、話題になりにくかったのです。

はじめのうちは、水素を入れられるようにするだけで精一杯でした。それが、航続距離延長の要請もあって、水素タンクへの充填圧力を70メガ・パスカル(MPa)まで高める。またその充填を短時間で終えられるようにするという、普及へ向けた使い勝手に関わる要望が出てきました。そうなるとプレクールと言って、水素ガスをあらかじめ冷やす必要が生じるなど、充填に関する技術開発が進んできました。

同時に、法規制の壁もあります。水素ガスの安全に関する監督官庁は、原子力保安院の中にあります。ガソリンスタンドの消防庁とは別なのですね。

もともと高圧ガスは工業地帯などで利用されてきたので、ガソリンスタンドのように街中で高圧水素を充填する想定に法律がなっていないのです。現状では、住宅の密集する都会に水素ステーションを開設できず、そのままでは、当然不便なので、燃料電池自動車の普及など前へ進みません。

また、同様にガソリンスタンドに水素充填設備を併設しようとしても、そのような想定が無いため、法律の見直しが必要でした。

そうした広範囲の規制を解決していくため、最新の水素ステーションが東京都杉並区宮前の住宅地に建設されました。ここで実証実験を行い、安全が確認されることによって、街中への水素ステーションの普及への足掛かりがはじまります。

さらに、神奈川県海老名市、愛知県名古屋市と豊田市の3カ所で、70MPaの高圧ガス水素ステーションが今年度中に建設され、ガソリンスタンドに併設(豊田市は除く)というかたちで水素ステーションの普及に前進が見られる予定です。

昨年3月11日の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故によって、原子力保安院の体制に動きがあり(原子力事業を推進する経済産業省と分離するため)、その影響が、水素ステーションの法改正にも影響を及ぼしている。

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御堀 直嗣
筆者御堀 直嗣

1955年東京出身。自動車ジャーナリスト。玉川大学工学部機械工学科卒業。1978年から1981年にかけてFL500、FJ1600へのレース参戦経験を持つ。現在ではウェブサイトや雑誌を中心に自動車関連の記事を寄稿中。特に技術面のわかりやすい解説には定評がある。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。また現在では電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副会長を務める。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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