打倒ハイエース! 日産が新型キャラバンのマイチェンで最も力を入れた個人ユーザー向け最上級版はライバル超えの快適さを得た

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街中で頻繁に見かける商用車に、ワンボックスボディの商用バンがある。日産 キャラバン(NV350キャラバン)とトヨタ ハイエースはその代表だ。2021年10月20日(水)に、日産 キャラバンのガソリンエンジン搭載車がマイナーチェンジを実施した。国内外の新型車に精通する“新車の鬼”こと、カーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が、新型キャラバンに緊急試乗! ライバルのハイエースが強みを発揮する個人ユーザー市場に向け、新たに用意された最上級グレードが、新型キャラバン最大の注目ポイントになるという。

実車の印象や開発者へのインタビューなどを通じ、改良を受けた新型ガソリンエンジン車の変更内容について探ってみた。

目次[開く][閉じる]
  1. マイナーチェンジで車名から“NV350”がとれた新型キャラバンは内外装の質感が大幅に向上した
  2. 新型キャラバンはAT(オートマチックトランスミッション)の7速化により燃費が向上し静粛性も高まった
  3. 快適装備の採用もさらに拡大! 先進運転支援機能も充実しサポカーSワイドの対象に
  4. 打倒ハイエース! 市場シェア拡大の近道は、近年成長を遂げる個人ユーザー需要の獲得だ

マイナーチェンジで車名から“NV350”がとれた新型キャラバンは内外装の質感が大幅に向上した

マイナーチェンジを受けた日産 新型キャラバンだが、従来の車名は「NV350キャラバン」だった。今回、商用車のシリーズ名となるNVを省いて「キャラバン」に戻している。開発者に変更の理由を尋ねると「市場では長く“キャラバン”と呼ばれ愛用されているから」だという。

なおディーゼルモデルは遅れてマイナーチェンジする予定のため、しばらく(向こう半年くらいか)は従来型「NV350キャラバン」のまま併売される。

マイナーチェンジ後の新型キャラバンを見ると、フロントグリルが力強いデザインに変更されている。外装色には新色のピュアホワイトパール、ミッドナイトブラック、ステルスグレーを加えた。

快適度大幅アップの新シートに注目! 内装も上質になった

新型キャラバンの内装はブラック基調になり、視認性を向上させた5インチTFTディスプレイ付きの新型ファインビジョンメーターも採用している。ステアリングホイールは、ほかの日産車と同じくD字型になった。

シートの変更にも注目したい。長距離ドライブでの疲労を軽減させるスパイナルサポート機能付きシートを全車に標準装着している。

新旧モデルで座り心地を比べると、改良後は体が背もたれや座面に沈み込む印象が抑えられ、着座姿勢もズレにくい。背骨/骨盤/大腿部という体のラインに沿って、乗員をしっかりと支えるので、峠道のようなテストコースを安心して運転できた。体にムダな力が加わらないので、疲労も抑えられる。

新型キャラバンはAT(オートマチックトランスミッション)の7速化により燃費が向上し静粛性も高まった

日産 新型キャラバン(ガソリン車)の走行性能に関しては、AT(オートマチックトランスミッション)を従来の5速ATから7速ATに変更している。ちなみにライバルのハイエースは6速ATだ。

多段化によってギヤ比の変速幅がワイドになり、さまざまな機能を向上できた。高速道路では7速ギヤを使うことでエンジン回転数が下がり、ノイズも減って燃費性能は向上する。

カタログ燃費は、従来型のNV350キャラバン(ガソリン)が10.0km/L(JC08モード燃費)だったが、改良後の新型キャラバンでは10.5km/Lになった。新基準のWLTCモード燃費では8.3km/Lとなる。

改良後の動力性能を試すと、フル加速時にはエンジン回転を高い領域に保ちやすい。おおむね6200回転まで高まり、シフトアップすると4500回転付近まで下がり、再び上昇を開始する。

QR20DE型 直列4気筒 2リッターガソリンエンジンの動力性能は、最高出力が130馬力(5600回転)、最大トルクは18.1kg-m(4400回転)だ。4500~6200回転を往復する加速を行えば、エンジンパワーをフルに出し切ることができる。

一般の乗用車ではフル加速する機会は少ないが、4ナンバーサイズに収まるキャラバンのロングボディでは状況が変わる。荷物を積んでいない状態でも、車両重量は1680~1820kgと重く、最大積載量の荷物が加われば、さらに1000~1250kgの重量増加になるからだ。

これだけ重いボディを、わずか2リッターのノーマルエンジンで加速させるには、パワフルな回転域を有効活用することが大切になる。この時にATの7速化が役立つ。

ATには新たにマニュアルシフトモードも採用した。このモードを使うと自動的なシフトアップは行われず、ドライバーが意図した通りに変速できる。例えば峠道を走る時など、2速や3速に固定することも可能で、少ないエンジンパワーを思い通りに活用しやすい。なおATを進化させる一方で、マニュアルトランスミッションは廃止された。

快適装備の採用もさらに拡大! 先進運転支援機能も充実しサポカーSワイドの対象に

新型キャラバンの装備については安全面、先進運転支援機能に注目したい。

全車に標準装着されるインテリジェントエマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)には、ミリ波レーダーと併せて、遠方の対象物も検知できるフロントカメラを採用した。その効果で歩行者の検知も可能にしている。

またペダルの踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱警報、標識検知機能、ふらつき警報、対向車などを検知してハイ/ロービームを自動的に切り替えるハイビームアシストを全車に標準装着した。

これらにより“サポカーSワイド”(セーフティ・サポートカーS・ワイド)の対象となっている。

グレード構成については、VXとマイクロバスのDXを廃止する一方で、EXと最上級のグランド プレミアム GXを加えた。

従来からのプレミアムGXを含めた3グレードには、液晶タイプのインテリジェントルームミラー、機能を向上させた死角を補うインテリジェントアラウンドモニターなどを標準装着している。

グランドプレミアムGXになると、LEDヘッドランプ、本革巻きのステアリングホイール、オートエアコン&リヤクーラーなど、ミニバンのような快適装備も備わる。

打倒ハイエース! 市場シェア拡大の近道は、近年成長を遂げる個人ユーザー需要の獲得だ

今のキャラバンに課せられた使命は「打倒!ハイエース」だ。

開発者によると「キャラバンの国内新車登録台数は、2018年に約3万台、2019年は2万5000台弱、2020年は2万台少々」だという。

一方、ライバル車のハイエース(既に廃止された姉妹車のレジアスエースを含む)は、2019年が9万300台、2020年は7万8410台であった。キャラバンの売れ行きは、2012年に現行型へ切り替わって先代型の2倍以上に増えたが、それでもハイエースの25~30%に留まる。

そして今の売れ筋のワンボックスバンは、キャラバンとハイエースだけなので(一部のOEM車も含む)、実質的に両車の一騎打ちだ。キャラバンが増えればハイエースが減る関係だから、ライバルの隙を突いた商品強化を行わねばならない。そこでインテリジェントルームミラーなど先進装備を積極的に充実させている。

ハイエースの強さは個人ユーザー支持層の厚さ

この背景には、ワンボックスバンにおけるパーソナルユーザーの増加もある。コロナ禍の影響もあり、個人的な趣味の空間として使う傾向が従来以上に強まった。キャラバンのユーザーは、法人が50%、1人親方と呼ばれる自営業者が約30%、趣味で使うパーソナルユーザーが20%だ。この内、法人は価格の安いDXを選ぶが、1人親方とパーソナルユーザーは上級指向が強い。

特にライバル車のハイエースは、パーソナルユーザーに人気が高く、全体の40%に達する。近年はハイエースの上級グレード「スーパーGL」をさらに上質にした特別仕様車「DARK PRIME II(ダーク プライム ツー)」が特に人気が高いという。またドレスアップを楽しむアフターパーツなども、ハイエースについては多く開発されている。

個人ユーザー獲得のカギは新グレード「グランド プレミアム GX」や「プロスタイル」にあり

そこでキャラバンも、現在の「プレミアム GX」をベースにした最上級モデル「グランド プレミアム GX」を用意したり、専用防水シートやアルミホイールを装着した特別仕様車「プロスタイル」を設定するなど、上級グレードのラインナップにも力を入れている。

また日産では「アフターパーツのメーカーにも働き掛けを行っている」という。

ハイエースは強敵で、牙城を崩すのは容易ではないが、ワンボックスバンは実用勝負の世界だ。今回の快適性向上をはじめ、ハイエース人気の要因とされる耐久性を含めて地道に商品力を高めれば、少しずつ認知度と信頼性は高まっていく。

今後はさらに乗り心地を快適にし、ワゴン車感覚を強めた仕様も必要になってくるはず

今後の改善点としては、やや硬い乗り心地が挙げられるだろう。重い荷物を積む用途ではこの硬さが必要だが、自転車を積んだり釣りやキャンプに出かける時に使うパーソナルユーザーを狙うなら、ここまで乗り心地を犠牲にする必要はない。

パーソナルユーザーや軽い荷物を積む用途を対象に、グランド プレミアム GXやプロスタイルのような上級グレードを用意するなら、最大積載量を下げてワゴン感覚を強めた“コンフォートパッケージ”のようなオプションも選べるようにしたい。

そんな仕様があれば、広い車内をワゴン感覚で使えるワンボックスバンとして、さらにユーザーから歓迎されることだろう。

[筆者:渡辺 陽一郎(カーライフジャーナリスト)/撮影:島村 栄二・NISSAN]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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