デビュー5年のフリードが今なお大人気! ステップワゴンやフィットが不振な中でホンダの小型車販売をけん引

  • 筆者: 鈴木 ケンイチ
  • カメラマン:和田 清志・Honda・ホンダアクセス
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ホンダのコンパクトミニバン「フリード」が好調だ。現行型は2016年のデビューから5年目を迎えているがその勢いはまだまだ続いている。反面で気になるのは兄貴分「ステップワゴン」の不振ぶり。ホンダの中で顧客の奪い合いが起きているのも確かだが、それ以上にホンダの小型車販売拡大に大いに貢献しているという。モータージャーナリストの鈴木 ケンイチ氏がレポートする。

目次[開く][閉じる]
  1. デビュー5年のフリードが最新モデルのフィットやヴェゼルよりも売れている!
  2. 「ちょうどよさ」がユーザーの心を掴んだフリード
  3. かつての花形ミニバン「ステップワゴン」が苦戦を強いられているのはフリードのせい!?
  4. フリードはステップワゴンの減速分以上を販売し、むしろホンダの小型車市場を拡大させた功労者(車)だった

デビュー5年のフリードが最新モデルのフィットやヴェゼルよりも売れている!

ホンダのミニバン「フリード」の販売が堅調だ。新車販売ランキング(一般社団法人日本自動車販売協会連合会 乗用車ブランド通称名別順位・軽を除く)を見ると、2021年1~6月の成績は9位(3万5551台)。現行のホンダ フリードは2016年9月発売の第2世代であるが、発売5年目であるのにベスト10入りしているというだけでなく、ホンダとしての最上位ともなる(軽のN-BOXを除く)。

なんと、2020年2月発売のホンダ フィットの12位(2万9686台)、2021年4月発売のホンダ ヴェゼルの20位(2万103台)の2台の新型車よりも、古いモデルであるホンダ フリードの方が順位は上なのだ。これは驚くばかりの数字である。

密を避けた家族単位での移動にもミニバンは最適なツールだ

まず、売れている理由で大きいのは、「ミニバン大人気」という背景がある。新車販売ランキングのベスト10のうち、2021年1~6月の成績を見ると、10モデルのうち4モデルがミニバンだ。その顔ぶれはトヨタ アルファード、トヨタ ヴォクシー、ホンダ フリード、トヨタ シエンタ。続く11位にも日産 セレナがランクインしている。

年間販売ランキングのベスト10のうちミニバンが占める数は、2015年が2台、2016年が3台、2017年が4台、2018年が3台、2019年が4台、そして2020年が4台。ベスト10の中のミニバンの数は増えているのだ。

特に昨年からはコロナ禍ということもあり、「公共交通機関ではなくクルマで移動」を行う人が増えている。いくつものアンケート調査でも、そうした傾向があることが見受けられる。しかも、家族で移動するのであれば、クルマの中でもミニバンがベストだ。そうしたコロナ禍の影響もミニバン人気を支える一因に違いない。

「ちょうどよさ」がユーザーの心を掴んだフリード

しかし、ミニバンであれば、すべて売れているわけでもない。その中でホンダ フリードが健闘しているのは、やはり商品そのものに魅力があるということだ。

では、ホンダ フリードの魅力は何か。それは「ちょうどよい」というホンダ フリードのキャッチコピーそのものと言えるだろう。

5ナンバーという使いやすいサイズ。それでいて超低床化された室内空間は広々。燃費性能の良いハイブリッドもある。2019年のマイナーチェンジで先進運転支援システム「ホンダ・センシング」を全車標準装備としており、安心感も十分。

もちろんインテリアの質感に不満はない。「もう、これで十分でしょう」というホンダ開発陣の声が聞こえるような内容だ。まさに「ちょうどよい」のがフリードである。2008年に誕生した初代モデルのコンセプトを継承し、磨き上げたのが勝因と言えるだろう。

かつての花形ミニバン「ステップワゴン」が苦戦を強いられているのはフリードのせい!?

しかし、フリードが「ちょうどよい」と言ってしまうと、大変に困る人がいる。それがフリードの兄貴分となるホンダ ステップワゴンだ。フリードが「ちょうどよい」となると、ステップワゴンは「行き過ぎている」ことになるからだ。

まあ、言葉のアヤは置いておいて、実際のところステップワゴンは、フリードの登場を境に販売台数を落としている。初代フリードが登場する2008年よりも前、ステップワゴンは、ホンダ唯一のスライドドアのあるミニバンであった。

かつては売れ筋だったステップワゴンがフリードに「喰われて」しまった!?

年間販売ランキングはベスト10位入りが当然のことで、年間販売台数6~10万台をコンスタントに記録していたのだ。ところが初代フリードが2008年に登場した後、ステップワゴンの年間販売台数は4~6万台に。明らかに数字を悪化させている。

特に2015年4月に登場した現行のステップワゴンは、2016年に15位を記録するが、翌2017年は23位にまで落ちる。2017年といえば、現行の2代目フリードがデビューした翌年のこと。

ちなみにステップワゴンは、2018年は16位にまで挽回しているが、2021年1~6月は17位。ヴォクシーの8位や、セレナの11位と比べると厳しい数字と言えるだろう。

フリードはステップワゴンの減速分以上を販売し、むしろホンダの小型車市場を拡大させた功労者(車)だった

しかし、フリードがステップワゴンの数字を食ったという一面はあるが、良いこともある。それは、フリードが年間で5~10万台を売っていることだ。この数字は、ステップワゴンが減った分よりも多い。ステップワゴン1台だけだったときより、2台体制になってからの方がホンダとしての全体のパイを拡大しているのだ。

フリードの功罪を挙げるのであれば、功は全体のパイを大きくしたこと。罪はステップワゴンの顧客の一部を奪ってしまったことではないだろうか。

とはいえ、ステップワゴンとフリードの顧客が被らないようなような、上手な棲み分けができれば、もっと良いのではないだろうか。

2モデルとも、あと数年のうちに次のフルモデルチェンジがあるはず。その結果、2台がどれだけ違ってくるのかに注目したい。

[筆者:鈴木 ケンイチ/撮影:和田 清志・Honda・ホンダアクセス]

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鈴木 ケンイチ
筆者鈴木 ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。最近は新技術や環境関係に注目。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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